【業界動向/音楽配信】
JASRAC、着メロの徴収額が73億円と前年度比の2倍に■URL
JASRACの2002年度の使用料等の徴収額は、1,060億6,000万円で、前年度比0.7%に相当する7億8,000万円増となった。これについて同協会理事長の吉田茂氏は、「2002年度は音楽CDの生産実績が不振を続け、前年度比90.6%と大幅な減収となったものの、携帯電話の着信メロディなど、インタラクティブ配信の大幅な伸長によってわずかながら増収につながった」と説明。 インタラクティブ配信の徴収額は76億5,746万円で、前年度比91%増となっている。このうち着信メロディの徴収額は73億2,382万円と、インタラクティブ配信の実に95.6%が着信メロディのダウンロードによるものとなっている。吉田氏は挨拶の締めくくりに、「音楽著作者の擁護に力を注ぎ、知的財産権の整備に2003年度は今まで以上に注力していく」と語った。 続いて、JASRAC常任理事の加藤衛氏より、詳細な説明が行なわれた。加藤氏は、2002年度の使用料の徴収を支える形となった着信メロディについて、「着メロはそろそろかな」と、今後大幅な成長が期待できないとの見解を示した。しかし、インタラクティブ配信では、auが昨年12月よりサービスインした「着うた」に注目しているとコメントし、依然として携帯電話を使った音楽配信サービスに期待がかかっていることも語られた。 また同氏は、着信メロディ配信サービスの成長がピークを迎えたとする理由を挙げ、「すでに100社以上が着メロサービスに展開し、料金の値下げ競争が始まっている」と述べた。インタラクティブ配信の使用料の徴収は、1998年から開始されたが「着信メロディサービスがこれまでのように2倍、3倍と増えていくとは思えない」としている。 加えて、着うたサービスに関しては、サービス開始から4カ月ですでに多数の支持を集め、3月だけで100万件を越えるダウンロードがある点が指摘された。着うたサービスは、1曲のダウンロード料金は値下がり傾向にあるものの、値下げ競争になりつつある着信メロディサービスよりも単価が高い。JASRACでは、着信メロディおよび着うたサービスを、1曲5円を下限に配信料金の7.7%を著作権使用料として徴収しているため、まだまだ伸びる可能性のあるサービスとして期待しているようだ。 このほか、インタラクティブ配信分野のダウンロード数トップ10も発表された。なお、同分野は95.6%が着信メロディによる徴収額となっているため、ほぼ、着信メロディのベスト10といって間違いないという。1位となったのは、宇多田ヒカルの「SAKURAドロップス」、2位以下にZONEの「secret base ~君がくれたもの~」、桑田佳祐の「白い恋人達」と続く。なお、宇多田ヒカルはトップ10に3曲がランクインしており、JASRACが著作物の使用料の分配額によって決定するJASRAC賞でも「traveling」が銀賞に輝いている。
◎関連記事 (2003/5/21) [Reported by 津田啓夢] |
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