【業界動向】
W3C、「ロイヤリティフリー特許方針」を承認■URL World Wide Web Consortium(以下W3C)は、W3C勧告仕様策定における「ロイヤリティフリー特許方針」の承認を発表した。 これは4月末まで受け付けていたロイヤリティフリー特許方針の草案に対するコメント募集を受けて発表したもの。W3C会員による圧倒的な支持に加え、W3C特許方針ワーキンググループ(以下WG)内での合意などに基づき、W3C技術統括責任者のTim Berners-Leeによって承認された。 特許方針は、特許保持者であるなしに関わらず、Webの構築や利用に関わるすべての関係者間で、ロイヤリティフリーに基づくWeb標準仕様の実装を可能にすることが前提となっている。ただ、特許一式すべての放棄を要求しているわけではなく、特定のW3C標準仕様の実装に必要不可欠な技術に対し、W3CのWG参加者が特許を保持している場合のみを対象にしているという。 特許方針の概要は以下のとおり。
特許方針に矛盾する技術が仕様策定に必要な場合(特許保持者が特許料を請求した場合などが該当する)、W3Cでは問題調査を目的とした特許諮問委員会(Patent Advisory Group、以下PAG)を召集する。PAGは特許の法的分析や、当該WGに対して特許に抵触しない技術設計、特許に抵触する機能の削除を試みることを促す。また場合によっては、当該分野におけるすべての仕様策定活動の中止を提案する可能性も持つ。 PAGの活動を含めて、W3C特許方針に矛盾しないすべての方法を検討しても解決方法が見出せない場合、PAGはその技術を含めるか否かについての判断を、W3C会員全体に委ねる。この場合、明確なライセンス条項が一般公開され、なおかつ一般、W3C会員、W3C技術統括責任者によるレビューが条件として求められる。ただ、こうした取扱いは例外的で、非常に稀なケースでのみ利用されるべきであるとしている。 Tim Berners-Leeはこの承認に関して、「Webの誕生後、最初の10年間にWebの構築に携わったW3C会員は、特許料が請求されない、ユビキタスに実装可能な標準策定に貢献すれば、彼ら自身と世界全体が最も恩恵を得るだろうという経営判断を下した。この特許方針は、技術標準に関する基本特許方針の策定にあたり、これまでで最も徹底的な議論が行なわれたことを象徴している。戦略上必然的に意見対立も生じ得る分野において、精力的で思慮深い作業を成し遂げた特許方針WG参加者に感謝している」と述べている。なお特許方針WGには、AOL Time Warner、Apple、Hewlett-Packard、IBM、Intel、Microsoft、Motorola、Nokia、Oracle、Sun Microsystemsなど20社と、Free Software Foundation、Open Source Initiativeなどの専門家が参加している。 ◎関連記事 (2003/5/21) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
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