【業界動向】
W3C、ロイヤリティーフリー特許方針に対する最終コメントを募集■URL World Wide Web Consortium(以下W3C)は、W3Cの特許方針ワーキンググループ(以下特許WG)によるロイヤリティーフリー特許方針に関する草案を発表した。4月30日まで、W3C会員および一般からのコメントを受け付けている。 特許WGは1999年、P3P(XMLを利用したプライバシー保護技術)の仕様策定過程で障害となる特許請求が発覚したことをきっかけに結成。その後P3Pの仕様策定に特許侵害の恐れはないことが法的に確認され、仕様策定は問題なく終了したが、“Web基盤について鍵となる技術に対して、これを抑止する特許の可能性を抑え、標準仕様策定を順調に完了させる”という課題に対しての解決法を探るために、同WGで引き続き検討を行なってきた。 これまで特許方針に関する草案はこれまで数度発表されているが、このうち2001年8月に公開された草案では、“標準規格に技術を使用される企業が、低額の非独占的な方法で特許料を徴収することを認める”という方針(RAND方針)を提案。これが大きな反発を呼んだことから、2002年2月に発表した草案ではRAND方針を取り下げ、標準規格ではいかなる条件でも特許料を徴収することを禁止。仕様策定参加者はロイヤリティーフリー(以下RF)で技術をライセンスすることに同意しなければならない“RF方針”を打ち出した。その後2002年11月に発表した草案でも、RF方針を改めて協調している。 今回発表した最終草案の特許方針では、RFに基づいてW3C勧告の実装を可能にすることを第一の目標としている。つまり、勧告仕様の策定参加者(企業)は、基本特許(仕様の相互運用性を阻害する特許)について、RFに基づいたライセンス合意が求められる形となる。また自身が保持しているかどうかに関係なく、W3C勧告の実装に必要不可欠となり得る特許の存在に気付いた場合には、該当するW3C会員(企業)に対して、その特許の開示を要求できる。 また標準仕様に対して、特許料を求める特許保持者が現われるなど、この特許方針で定義された条件では利用できない技術が含まれる場合、W3Cで問題調査を目的とした特許諮問委員会(PAG)を召集する。PAGは該当する仕様策定のWGに参加しているW3C 会員の代表者らによって構成され、特許の法的分析や、特許に抵触しない技術設計を試みること、特許に抵触する機能の削除の提案などを行なう。場合によっては、該当する分野のすべての仕様策定活動の中止を提案する可能性もあるという。 W3Cでは3月19日から4月30日まで、この草案に対するレビューコメントを募集中だ。W3Cは今回が最終募集となることを期待しており、コメントの内容を受けて、順調に進めば5月に最終的な特許方針を決定できるとしている。 ◎関連記事 (2003/3/20) [Reported by aoki-m@impress.co.jp] |
|