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【レポート】

CRLのプロジェクトが目指す“4G”とは何か

2Gを制御回線としたシームレスな次世代モバイル環境

■URL
http://www2.crl.go.jp/mt/b190/j/top/top.html

●4Gとはシームレスな通信環境

 FOMA、CDMA2000 1xなどの第3世代、いわゆる“3G”のサービスが商用化された現在、携帯電話業界や通信業界にとって「“4G”とはなにか」ということは、もっとも重要なテーマのひとつだ。しかし、その実情は「さらなる高速化」「セルラー技術と無線LANの組み合わせ」といったキーワードで簡単にくくられ、明確なビジョンを見出すことはなかなか難しい。

 そんな中、e-Japan戦略/e-Japan重点計画のもと、独立行政法人通信総合研究所(CRL)が推進している「新世代モバイル研究開発プロジェクト」で次世代モバイルネットワークの研究に取り組む井上真杉氏は、4Gのビジョンをはっきりとした口調でこう語る。

「4Gというと『携帯電話が、あるいはW-CDMAがどう発展するか』という話が中心になっています。しかし私は、4Gとは『携帯電話がどうなるか』という範囲を超えたものだと思っています。そういう方向性ではなく、現在まったく別々のレイヤーとして構成されているFTTH、ADSL、携帯電話、PHSなどのサービスを、無線で、かつどのシステムを利用しているかを意識せずシームレスに利用できるよう融合し、ユビキタスを実現すること──これが4Gだと考えています。」

●4Gで再び脚光を浴びるPDCとポケットベル

MIRAIのPDAタイプの実験機。見ての通り、装着された拡張スロットに、有線LANインターフェースをはじめ、無線LANやPHSなどの通信カードが全部入りである
 では、多種多様のインターネットアクセスをシームレスに利用することが最大の目的となる4Gを実現するために、具体的にどういう技術を研究しているのだろうか? 井上氏によれば、キーになるのは意外にも、我々のよく知る“2G”すなわちPDCやポケベルの回線なのだという。携帯電話やPHS、無線LANなどさまざまなインターネットアクセス回線を制御する手段として考えているというのだ。

 現在、無線LANにせよ、3Gや2G、PHSにせよ、複数の端末をパソコンで利用していたとしても、実際に通信してパケット交換を行なっているのは1つの端末(=回線)だけだ。これに対して、4Gのあるべき姿としてプロジェクトで開発中の実験用モバイルネットワークシステム「MIRAI(Multimedia Integrated network by Radio Access Innovation)」では、実際にデータのやりとりを行なう回線のほかに、常に接続状態を保ち、「どの端末を使ってデータを流すか」を制御するネットワーク「BAN(Basic Access Network)」を用意するという斬新的なアークテクチャーを取り入れている。

「BANには、PDCやポケベルの回線を利用することを考えています。この制御用ネットワークは、つなぎっぱなしの状態で、利用できる回線の一覧や相手先の稼働状況を参照する役割を受け持ちます。そしてユーザーの居場所や、契約しているサービスの情報、IDなど接続に不可欠な情報のほか、コスト優先なのか、パフォーマンス優先なのかといったユーザーが設定したプロファイルにもとづいて、そのとき接続可能な回線の中で最適な通信回線に接続します。BANは、ユーザーが実際にインターネットで利用するWebやメール、ファイル転送などのデータを通信するわけではないので、ナローバンドでも問題ありません。それよりもBANには常時接続性が求められるます。すでにネットワークが広く敷設され、既存の資産を利用できる2Gやポケットベルがいいだろうということになるわけです。」

●MIRAIとMobile IPでシームレスな通信環境

 すでにこのアーキテクチャーは実験段階に入っている。取材にうかがった研究室では、MIRAIを利用して無線LANからPHS、3G、2Gへと自動的に切り替えるデモを見せていただいた。

 デモは、接続回線を自動で切り替えながら、ノートパソコンでPing送信を行なうというもの。ノートパソコンの位置は固定されたままだが、ソフトウェアで擬似的に位置情報を変化させて、有線LAN、無線LAN、PHS、3G、2Gの順にバウムクーヘン上に構成されたカバーエリアを横断する。2GベースのBANで端末の位置情報をサーバーに送信し、返ってきた情報をもとに複数の接続可能な回線から高速なほうを選んで切り替えている。サーバー側のモニターには、端末がどの位置にいるか、どの回線に接続しているかがマップ上に示されている。

各回線のカバーエリアと端末の位置(水色の星印)を表示したサーバー側のマップ。中心から有線LAN、無線LAN、PHS、3G(W-CDMA)、2G(cdmaOne)という設定だ 端末側のクライアントソフトには、その位置で利用可能な回線を一覧表示。写真では、端末がエリアの中心部にあるため、有線LANが選択されている一方、制御用として2Gも使用していることがわかる
エリア内で端末の位置(通信状態により位置を表わす星印がピンク色に変化している)を擬似的に周辺部に移動させると…… クライアントソフトに表示される利用可能な回線の種類が少なくなり、その中でより高速な回線に切り替わる仕組みだ

 MIRAIにはMobile IPが実装されているため、接続回線が変わってもPingの発信元のIPアドレスは変わらない。また、通信の切り替え時、認証やダイヤルアップで継ぎ目が生じた場合は一時的に、制御系の回線として使われている2Gの方にパケットの流れを退避させる。このため、通信速度の変化はあるものの、パケットの流れは遮断されることがなく、Ping送信が継続されるわけだ。

 なお、先日発表されたアッカ・ネットワークスとの実証実験は、今回見せていただいたデモの使い勝手を、既存のネットワークで実現するものだ。ユーザー側があらかじめ無線LANサービスやPHSサービスなどのIDとパスワードを入力しておくことで、クライアントアプリケーションがエージェントとなって最適な通信環境を選択する。ただしMIRAIとは異なり、Mobile IPも使っていないし、BANと呼ばれる制御系の電波を使用しているわけではない。通信しながら移動した場合、その継ぎ目でパケットロスが生じたり、IPアドレスが変わってしまうことは避けられない。いわば、現状から未来のモバイルネットワークのあり方、“MIRAI”への過渡的な試みといえるだろう。

●セキュリティ面でも2G回線にメリット

 MIRAIのキーテクノロジーはBANだと前述したが、BANを導入するメリットはそれだけではない。セキュリティ面についても井上氏は言及する。

「2Gやポケットベルなどは個別認証も簡単で、誰が設置したかもわからないアクセスポイントを経由する無線LANなどと比べたら、はるかにセキュアです。たとえナローバンドでも、制御系としてセキュアな回線を1本確保していれば、通信サービスに必要なIDやパスワード、オンラインショッピングに必要なクレジットカード番号を送信する場合でも安心です。Webやらメールを無線LAN経由でしていたとしても、守らなければならない情報は制御系のネットワーク経由で流せるわけです。」

 また、MIRAIのアーキテクチャーを応用すれば、複数の通信デバイスをパソコンなどに内蔵していても、制御系とデータ通信に使うデバイスだけに通電すればよい。つまり、すべてのデバイスを待ち受け状態にしないで済むため、モバイルには重要な要素となる省電力という側面でもメリットも兼ね備えているのだ。

 一方、今後の課題は、位置情報の取得だという。「このようなシステムをより使いやすいものにするためには、位置情報は欠かせません。GPSでは屋内にいる場合に精度が悪くなります。まだ、これといったソリューションは見つかっていないのが現状です。」

●携帯電話の未来の姿とは、新たに生まれるビジネスとは

 4Gのあり方、そして実現するためのアーキテクチャーをお聞きしてきたわけだが、MIRAIのようなネットワークが現実となった日、我々が持ち歩く携帯電話や通信デバイスはどのようなものになっているのだろう。

「携帯電話が今のパソコンの世界と同じように、『自分は無線LANとPHSが必要だからこういうチップを入れる』といった、完全に個人の用途にシフトしたものになっていくと思います。モバイルの場合、ユーザーひとりひとり行動範囲も要求するネットワークも変わってきますから。」

 ところで、このようなモバイルインターネットの世界がやってきた場合、3Gのような移動体ベースと、FTTHやADSLといった固定系のインフラを双方とも押さえているNTTやKDDIなどの通信大手が市場を牛耳るようなかたちにはならないのだろうか?

「むしろ逆だと思います。サービスの多様化が進むにつれ、コーディネートするビジネスが生まれるのではないでしょうか。旅行で例えて言うとわかりやすいんですが、飛行機もホテルもユーザーが自分で選んで購入するのではなく、パッケージツアーのように携帯、PHS、無線LAN、光ファイバーなど、サービスをユーザーの好みやニーズに応じてパッケージして売ったり、あるいはコーディネートする旅行代理店のような存在が必要になるでしょう。『無線LANサービスはここ、自宅のFTTHはここ、携帯はここ、ISPはここ』といった具合に。」

新世代モバイル研究開発プロジェクトでは、通信回線側だけでなく端末側のシームレス化も研究している。写真のようなPDAや携帯電話などで管理・制御することで、異種端末間のハンドオーバーを実現する技術だ 例えば、自宅のセットトップボックスで視聴していたストリームコンテンツの“続き”を外出先のデスクトップPCに受け渡して視聴することが可能になる。写真は、Bluetoothを使ってハンドオーバー先の端末を選択しているところ

 MIRAIをはじめとする次世代モバイルネットワーク技術の研究に取り組んでいる同プロジェクトは、2002年度から4年間の予定でスタートした。来年2004年度にも仕様を固め、最終年度となる2005年に実証実験を行なう考えだ。

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(2003/5/26)

[Reported by 伊藤大地]

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