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ひかり売りの人々
~住宅に街に、広がる光インターネットと支える人々~


第3回 “光セールス”の網からこぼれ落ちた小規模マンションへの導入戦略(その1)

 すでに約27万世帯に光ファイバーが届き、少し前まで言われていた「夢の100Mbps !」もすっかり現実のものとなってきた。このシリーズでは、光ファイバーが家庭に届くまでの要所要所に立つ人たちを「ひかり売りの人々」と名付け、彼らの着想や視点、迷いや決断の経験を通じ、光ファイバー接続サービスの今と未来を探っていく。

●分譲とはいえハードルの多い“小規模物件”

筆者の住まいがあるマンションとUSENの高架作業車。ここに至るまでに越えるべきハードルはいくつもあった
 あなたの住居が「都市部の人口密集地」の「戸建て持ち家住宅」なら、光ファイバー導入にまつわる障害は、もはやほとんど残っていない。Webサイトで確認すれば、家の近所にはたぶんどこかのキャリアの光ファイバーがすでに張り巡らされていることがわかる。そうなっているならば、申し込んでから工事までに2か月も3か月も待たされるケースはごく少ないと思っていい。

 マンションのほうはもうすこし話が複雑で、管理組合での承認やら規約の改訂が伴う場合も出てくる。ただ、マンション内である程度の数の希望者がまとまるようであれば、そうした説得作業にキャリアの協力が見込める。潜在ユーザーが密集居住している営業効率の高いマンション向けに、キャリア各社は専門の営業部隊をこぞって拡充させているようだ。ユーザーと直接コンタクトする「ひかり売りの人々」たる営業マンは、管理組合の説得ノウハウを蓄積し、日々パワーアップしているのである。

 一方で、賃貸住宅の場合は一にも二にも「オーナーの意向」が問題となる。前回まで紹介してきた、回線導入に非常に意欲的な河野さんのようなオーナーはまだまだ少なく、「ダメ」を出すオーナーを翻意させるのは容易なことではない。ただ、オーナーを変える、すなわち引っ越しするという選択肢もあるので、どうしても光回線がほしい場合、オーナーが最大のネックになるかといえば案外そうでもない、と言えるわけだ。

 しかし、上記のどれにも属さない、光セールスのマーケティング上の盲点は現に存在する。そのひとつが「都市部の人口密集地に立地する、小規模な分譲マンション」。組合を説得する説得の手間は同じでも、見込めるユーザー数が少ない。いきおい、優先順位は低く、マーケティングの網からはこぼれてしまう。実は筆者の住まいがそれだった。

●「光ファイバーは要らない」人がいたから、NGがOKに!?

 これまでの取材の経験を通して、筆者宅のような建物はなかなか光ファイバーが開通しにくいタイプの物件であることは薄々感じていた。かといって『ひかり売りの人々』なんて記事を書いていながら、自宅に光が来てないなんていう恥ずかしい状態のまま済ますわけにはいかない。

 そこで「戦略」が必要になってくる。光キャリアが回線の引き込みに関して乗り越えなければいけないいくつかのハードルを、あらかじめ低くしてあげるのだ。まずは、いまキャリアがいちばん苦労し手間もかけている「管理組合への説得」という高いハードルに細工しておくことから始めた。

筆者宅のベランダ。結局、ここに光ファイバーを直接引き込むことになった
 ちょうど2002年の11月に入って、筆者の自宅周辺に投げ込みチラシが入ってきた。「現在お申し込みいただくと工事費無料!」という、USENのキャンペーンのお知らせである。そしてタイミングのいいことに、11月に入ってマンションの区分所有者が集まる臨時の理事会が予定されていた。筆者の住むマンションの総戸数はわずかに8戸で、区分所有者は6名。定例では毎年6月だが、このときはたまたま共有部分の改修工事について話し合う必要が出たため招集されていたのである。

 で、この席上「私、光ファイバーを引きたいんですけど」と申し入れたところ、アッという間に承認が得られた。それも「個宅引き込み工事」で承認されたのだ。
 他に誰も「それなら私も引いておきたい」と言い出す人はなく「今なら電話みたいなので速いのもあるんでしょ(ADSLのこと)、光ファイバーまで要らない」という方々ばかり。かつてCATVインターネットの調査に来てもらったが、屋内テレビ配線の更新が必要で、新たな配線工事と合わせ40数万円の見積もり書に場が白んだという経験もある。たぶんこれも逆の意味でいいほうに作用した。

 区分所有者の少ないマンションで全体工事が必要になる場合、一人当たりの負担額はどうしても大きくなる。「小規模マンション」が光セールスのターゲットからこぼれるのも当然で、説得には大規模マンションより余計に手間がかかるのかもしれないからだ。そうしたCATVでの経験もあってか、「喜多さん、どうぞご自由に」となったのだ。

 ただ、小なりとはいえマンションの理事会も人間どうしの利害調整の場だ。そうであるからには派閥が生じ政治が生まれるのも当然。政界という荒海を泳ぎ渡るには、日頃から人より余計に汗をかき、敵を作らず、足を引っ張られないようにしていくことが鉄則といわれるが、区分所有者わずか6名の管理組合にもそれは当てはまる。階段の蛍光灯がチラついていたら早めに交換したり、自転車置き場が乱れていたら並べ直したり、生ゴミの日にはカラスの食い散らかしを率先して掃除したりしてきたからこそ「個宅引き込み工事」がスムーズに承認されたのだと私は信じている。

●USEN担当者も驚いた“組合の承認書”つき申し込み書

 というわけで管理組合の承認が得られた。その内容を書面にし、必要事項を記入したUSENのチラシのウラの申し込み書と一緒に、指定の宛先にファクスした。

(株)有線ブロードネットワークス御中
平成14年11月9日

***号室への光ファイバーケーブル導入について

 平成14年11月9日に行われた当マンション管理組合臨時総会において、光ファイバーケーブルの***号室(喜多氏宅)への引き込みの可否について討議を行い、これを了承しました。
 工事に当たっては建造物・工作物等に損傷を及ぼさないよう注意深く施工されることを求めます。

****マンション管理組合
理事長 ******(印)

 文面は自作だが、日付もちゃんと記載され、理事長直筆のサインもハンコもある、私文書としてはちゃんとしたものだ(と思う)。2日ほど経ってUSENの営業マンから電話がかかってきた。「お申し込みありがとうございます! 理事会の承認書もついていたので、営業所でもビックリしてたんです。すぐ、打ち合わせに伺いますから……」。

 USENに限らず、光セールスの現場に立つ人たちを最初から最後まで悩ます「管理組合」という高いハードルが、スタートのピストルとともに追い風で倒れてしまったようなものである。これなら気分良く走り出せる。たとえ誰かが引っ張って倒していたのだとしても……。

(続く)

◎関連記事
ひかり売りの人々 第2回 “各種通信回線完全対応マンション”の落とし穴(その2)

(2003/4/25)

[Reported by 喜多充成(kita.mitsunari@nifty.com)]

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