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ひかり売りの人々
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第4回 “光セールス”の網からこぼれ落ちた小規模マンションへの導入戦略(その2)

 すでに30万世帯以上に光ファイバーが届き、少し前まで言われていた「夢の100Mbps!」もすっかり現実のものとなってきた。このシリーズでは、光ファイバーが家庭に届くまでの要所要所に立つ人たちを「ひかり売りの人々」と名付け、彼らの着想や視点、迷いや決断の経験を通じ、光ファイバー接続サービスの今と未来を探っていく。

●光接続への“過渡的な手段”と位置付けられているADSL
<前回のあらすじ>
 都市部の住宅密集地のマンションであっても、戸数が少なければ光キャリアにとって魅力的な物件とはいえない。こうした「光セールスの網からこぼれ落ちた」マンションに住む筆者は一計を案じ、管理組合から取り付けた「承諾書」を申込書と一緒にファクスした。

USENの高所作業車を、筆者自宅のベランダから撮影。なお今回の工事写真は、いずれも光ファイバー回線導入時のもの
 都会の真ん中の水たまりのような小さな池にも、春になればオタマジャクシがわいてくる。その「うようよ」を見ていると思わず口ずさんでしまう「♪オタマジャクシはカエルの子……」という歌に、実は重要な示唆が含まれている。オタマジャクシを古語では蝌蚪(かと)というそうだが、タマゴからいきなりカエルは孵らない。手が出て、足も出てカエルになるためには「蝌蚪である時期」を経ねばならない。光ファイバーの導入に際しても「過渡的な手段」とされるADSLを経ないでは、スムーズにコトが運ばないのである。

 総務省の「DSL普及状況公開ページ」は、ADSLの加入者数の推移や研究会の報告書、行政指導の記録など、わが国のDSLサービスの進展を示す重要データが集積されている。そこでの議論は、DSLサービスを「加入者線の光ファイバ化に伴う全てのメタル線の撤去完了までの間、高速化を実現する技術の一つ……」と位置づけるところから始まっている。もちろんNTTによる以前からの光化戦略も背景としてはあるが、ここで表明されたような「ADSLは過渡的措置」という位置づけを聞かされ、同時に光はブロードバンドの理想型であり最終形なのだと聞かされれば、誰だって「あわててADSLにするより、光を待とう」と思うのが人情だ。

 しかし、自宅への光ファイバー導入のあれこれを振り返ってみたとき、筆者にはADSLが不可欠のステップだったと思えてならない。ADSLを二重三重の意味で利用し、しゃぶり尽くしたと言ってもいい。カエルの話をする前に、まずオタマジャクシについて説明しておこう。

●二転三転した“電話線”引き込み工事

光接続で利用するメディアコンバータ
 「承諾書付き申込書」をUSENに送る半年ほど前、ADSLを自宅に入れた。それ以前はISDNを電話とファックスで利用し、ネットワーク接続にはフレッツISDNを利用していた。自宅を仕事場として使う比重が増したのでブロードバンド回線が必要になったが、すでに2番号をフルに使っているISDNをアナログ回線に戻すことはできず、休止中の加入権を復活させて電話を新設、8MのフレッツADSLを申し込んだ。

 しかし電話線を宅内まで引き込むのが、意外なほどやっかいだった。室内のモジュラーコンセント裏には10対ほどのバラ線が顔を出しており、1階のMDF(分配装置)の端子にも十分な空きがある。どれかをつなげばすぐ開通かと思ったら、配線工事に来た業者さんはさんざん調べたあげく、「ぜんぶ切れてますねェ。生きてるのは今使っている回線だけですよ」と言うのである。

 おそらく、4階の筆者宅まで上がってくる経路のどこかで、リフォーム工事か何かの折りに、切られてしまったようなのだ。築30年をゆうに超える古いマンションだから何があっても不思議ではなく、入居して3年以上たった今では、文句の持っていきどころもない。

 そこで筆者は、夕方に援軍を連れて出直してきた業者さんに「架空線からの直引き」を提案した。架空線とは、文字通り空に架かった通信線のことで、電柱づたいに張り巡らされているアレだ。我が家はマンションの4階で、架空線は3階フロアの膝程度の高さ。垂直距離にして3m弱を引き上げることになるが、もちろん不可能ではない。

 「うーん、それしかないとは思ってたんだけど、でもお客さん、ベランダまではいいとして、そこからどうやって部屋に入れる? エアコンの穴?」

 だが、そんな必要はないのである。入居時のリフォーム工事で、室内各所にLAN配線のためのCD管(保護・ガイドのためのプラスチックの管)を引き回すと同時に、ベランダから仕事部屋まで、同軸ケーブル4本を仕込んだ太いCD管を床下に通してもらっていた。うち2本をBSとCSのアンテナ線として使っていたが、まだ2本も余っている。それを「イバラの城のお姫様方式」で、引き抜くなりなんなりすればいいのだ。

 業者さんはさっそく通線を試みたが、同軸ケーブル4本がギチギチに詰まっており、できなくはないが時間がかかりそうと分かった。すでに日も傾いてきたので、私から再度「余っている2本の同軸ケーブルの心線を1対の信号線として使おう」と提案した。

 「そんなことやったことないし、責任もてないよー。でもしょうがないか」と言いながら、業者さんはベランダで線を剥き、保安器に接続。架空線からの引き込みを終えた援軍のもう一人が室内に入って、モジュラーコンセント部の処理を済ませ、通話試験。

 「オッケー、雑音もない。バッチリよ、お客さん!」ってな感じで、数日後にADSLも開通、ルーター(ファイアウォール)を介して家庭内LANもスムーズに稼働した。最後の数メートルを同軸ケーブルに頼るという変則方式ながら、無事ADSLでのブロードバンド環境に移行できたのである。

“メカニカルスプライス”と呼ばれるファイバー接続のための機器 光ファイバーに巻かれた樹脂被覆を除去する テスターで信号レベルを確認

●ADSLがあるからこそ、“待ち”にも耐えられる

 この工事に関し、管理組合に対しての説明は事後となった。だが、そもそも電話線を引くのに異議を唱える人はおらず、難航した工事の様子を説明し納得してもらえた。そして、光ファイバー導入に際しての工事方針もここで固まった。「架空線からベランダへの引き込み」と「ベランダから同軸ケーブルを引き抜く形で室内へ」という方針である。

 「承諾書付き申し込み書」に反応して駆けつけてくれたUSENの担当者に上記方針を説明したのが11月の初旬。「了解しました。時期が来ましたらご連絡致します」となった。だが、工事が入ったのは翌2003年の2月の末。実は3か月半も待たされたわけである。

 しかしこの待ち時間を「放置プレイ」などと自虐することなく平穏に過ごせたのは、「過渡的」に導入していたADSLのおかげである。家庭内LANも徐々に100BASE-TXに切り替え、ファイルサーバーの整備なども進めることができた。ADSLがなかったらそんなことやる気にはならなかった。管理組合の臨時総会では「個宅引き込み」がすんなり承認され、光キャリアも(どちらかというと嫌がられる施工法である)架空線から4階ベランダへの引き込みをリクエスト通りにやってくれた。いずれもADSLのために電話線を引いていたという「前例」があったからだ。

 そして2月末のある日。午後1時半からスタートした工事は、架空線の途中のクロージャーボックスでの融着、ケーブルのベランダへの引き込み、屋内に通じるCD管への通線、ファイバー被覆を剥いてのメディアコンバーター接続と進み、4時半には接続試験を終了した。かくして最大速度66.24Mbpsという「立派なカエル」が、わが家に飛び込んできてくれたのである。

【蝌蚪】おたまじゃくし(春の季語)

 総務省の報道資料「インターネット接続サービスの利用者数等の推移(速報)」によると、今年3月末の時点で、日本には700万匹のオタマジャクシ(ADSL)と30万匹のカエル(光接続)がいるそうである。自然界ではすべてのオタマジャクシがカエルになるわけではないし、もしそうなったら池は爆発だ。「ひかり売りの人々」は、なるべくたくさんのオタマジャクシに、順序よくカエルに育ってほしいと願っているに違いないが、たぶん世の中、そううまく行くとは限らなかったりするのである。

(続く)

◎関連記事
第3回 “光セールス”の網からこぼれ落ちた小規模マンションへの導入戦略(その1)

(2003/5/1)

[Reported by 喜多充成(kita.mitsunari@nifty.com)]

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