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| このエリア内なら、ほぼ接続可能。右のカラフルなエリアが商店街 |
現在、さまざまな種類のモバイル端末からのインターネットアクセスに関する実証実験が行なわれている。その中で、モバイルインターネットサービス株式会社（MIS）が行なっている実験が、東京・三軒茶屋エリアでIEEE 802.11b準拠の無線アクセスによるインターネット接続を提供する「街角無線インターネット」だ。8月29日に体験会が開催されたので、実際に使ってみた様子をレポートする。
■街角無線インターネットとは
「街角無線インターネット」は、IEEE 802.11bという規格に準拠した無線アクセスで、伝送速度は11Mbpsだ。現在、三軒茶屋駅近辺の商店街や民家の軒先に屋外型の基地局（アクセスポイント）を15～20個設置しており、市販のPCMCIAタイプの無線LANカードに独自ドライバーを入れることで簡単に接続できる。基地局の設置に電柱を使わないことで、大幅なコストダウンと導入の迅速化（家主と直接交渉だ）を図っている。基地局からインターネットへの接続は、有線ブロードネットワークスの光ファイバー網を利用している。
「街角無線インターネット」の秀逸な点は、移動しながらの接続に対応していることだ。802.11bとは、実は2.4Ghz帯を使った家庭用無線LANなのだが、MISはハンドオーバー機能(エリアを移動した時に基地局をスムーズに切り替える機能)を強化している。例え自動車で移動しても、街中でドライブしている限りは接続が途絶えないという。また、家庭内などプライベートな空間で固定のユーザーが利用するのであれば十分なユーザー認証やセキュリティも、不特定多数のユーザーが使う公衆インターネットでは成りすましなどの危険性をはらむが、MISでは動的に変化するセキュリティー鍵を使ったシステムを運用している。
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| 基地局（アクセスポイント） | 無線LANカード |
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■実際につかってみて
体験会で貸し出された端末を実際に使ってみて、まず一番最初にしたことはスピード測定だった。商店街のアーケードに設置された基地局が見えるところで測定してみたところ、およそ1～2Mbpsという結果だった。また、喫茶店内での測定では、およそ1.2Mbpsで、まずまずの速度を示した。だが、同じチームに組み込まれた他の体験者の端末では、同時に測定して400～500kbpsという低い数字に終わっている。MIS施設本部運用部の長沼良和主任によると、「体験会ということで、多くの人が同時に接続しているので、帯域を取り合っているのではないか。1基地局あたりの接続者が1、2名ならば、平均して4～5Mbpsは出る。」とのこと。確かに、喫茶店内で測定した時には、3端末が集合した状態だった。
一方、ハンドオーバー機能を試すため、ストリーム放送につなぎっぱなしにして商店街を歩いてみたところ、番組は中断されることなく再生された。細い路地や柱の裏側など、電波が届きにくそうなところに立ってみたが良好だった。しかし、冷静になって考えてみると、移動しながらテレビを見る人がいないように、歩きながら動画コンテンツを再生させる必要があるだろうか。むしろ、インターネットラジオのような音声ストリームコンテンツを聞いたり、インターネット対応のデジタルビデオを使った情報の発信など、ノートPC以外の携帯型インターネットデバイスにより活路が見出せそうだ。
「街角無線インターネット」にも問題点はある。まず、1つの基地局に多くの端末が集まるとつながりにくくなることだ。現在の仕様では、1つの基地局あたり4端末までは処理できるが、それ以上になると、どうしてもつながりにくくなるのだ。また、基地局の設置場所にも疑問が残る。実際に目で確認できたのは、商店街のアーケードの柱に据え付けられたものだったが、設置された高さはおよそ2メートルのところ。こんなに低くて電波が有効に飛ぶのだろうか。長沼主任も「バスやトラックが間に入ると、接続が切れてしまうかもしれません」と言っていた。そして最後に、802.11bを使っていることも気になる。この規格で使われている2.4Ghzの電波は、多くの電波機器が使っている。これから先、家庭内無線LANを使うユーザーが増えるだろうし、競合他社による屋外無線LANサービスが開始されるかもしれない。「電波の干渉」という宿題が残されているのだ。
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| 現時点では、このような光景は奇妙かもしれない | 主な使い方はこんなイメージか （三軒茶屋駅前java coffeeにて） |
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(2001/8/29)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]