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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年3月23日


HEADLINE 3 articles

スカイネット計画スタート
HPも独自Java技術を開発
NTTのアクセスチャージ改定が認可される
余談3題:インターネット修正論に対して/企業通信網の運用代行サービス/アウトソーシング検索サービス


 

[インフラストラクチャ][実験政策](レベルA'
スカイネット計画スタート

 21日の朝日新聞1面と日経新聞10面、及び日刊工業新聞2面には、郵政省科学技術庁が20日、NTTやNEC、IHIなどと共同で成層圏プラットフォーム開発協議会」を23日に設立すると発表したという記事が掲載されている。高度約20kmの成層圏に飛行船を浮かべて通信・放送の中継基地とする「スカイネット計画」を推進する。2002年をめどに小型の飛行船を日本上空に50基ほど停空させて実証実験を行い、2005年ごろには全長270mで重量30tの飛行船が最大200基が日本上空に打ち上げられる見通しという。

 このシステムをインターネット通信に利用する場合、衛星を使ったシステムと比べて低予算で構築できる、通信距離が短い、飛行船は動かない、などの理由から、低通信料金で通信遅延を気にせず高速データ通信が実現できそうだ。また、送受信アンテナも小型化できるだろう。
 なお、この計画の技術的な部分や、同様のコンセプトで開発を進めている米スカイステーション社とのシステム比較などは、97年5月26日号のNEWS Watchを参照していただきたい。今後は日米のシステム開発競争に場面を移していく事が予測される。




○HPも独自Java技術を開発
 22日の日経新聞7面には、米Hewlett-Packard(HP)社が20日、情報家電や携帯端末向けに、Javaとは別の独自技術を開発し、マイクロソフトなど他社へのライセンス供与を始めたと発表したという記事が掲載された。HPはサンとの法的衝突を避けるため、Javaとは別名を付けるとしており、独自技術を開発した理由も「サンの要求するライセンス料が高い」ためだという。

 HPのリリースでは、組込用システム市場向けに新たなバーチャルマシン技術とクロスライブラリを20日に発表したと書かれており、ライセンス第1号となる米MSは、Windows CEや他の製品開発用のJava言語サポートの統一のために導入するとしている。
 米MSとアップルがサンのJavaとは別の「Visual J++6.0」を出した事(3月13日号のNEWS Watch参照)に加えて、HPのような産業機器関連にも強い企業から独自Java技術が発表され、サンはますます苦しい立場に追い込まれていると思われる。「write once, run anywhere(一度書けば、どこでも動く)」を売り物とするサンJavaの理想も、自ら作った現実(ライセンス料の高さ)とのギャップによって、引き裂かれてしまうのかも知れない。


○NTTのアクセスチャージ改定が認可される
 21日の日刊工業新聞6面と23日の日経産業新聞8面には、郵政省が20日、NTTが申請していた接続料金(アクセスチャージ)改定を含む「指定電気通信設備に係る約款」を条件付で認可したという記事が掲載された。
 この約款に関する郵政省の電気通信審議会の答申では、今秋のアクセスチャージ改定までに、通信網の減価償却費を控除したり、工事費などのコストを出来るだけ実費とするなどの3項目を検討事項に挙げている。また郵政省に対しても、通信網改造ソフトなどの開発費低減など、5項目を課題として挙げている。しかしISDNに対しては、将来動向予測の難しさから算定基準を示すことは差し控えた形となったようだ。

 これまで各々の通信事業者との間で決めていたNTTの通信網との接続料金が今後一律になるということで、NTT以外の通信事業者間の不公平感は無くなるだろう。しかし、対NTTとの通信料などの価格競争が適正に行われるためにも、各通信事業者が提出した意見書にもあるように、今秋のアクセスチャージ改定まで議論を尽くす必要があると思われる。



余談その1:インターネット修正論に対して
 23日の日経産業新聞3面には、米PSINetのハロルズ・ウイルズ上級副社長が日経のインタビューに答えて、PSINet回線保有を熱心に進めている理由を語っている記事が掲載された。それによると、光ファイバー回線自体の低価格化が追い風となり、回線保有増加が電話会社に支払っていた回線賃借料を軽減してコストダウンに結び付いているという。
 それに加えて3月4日号のNEWS Watchでも取り上げた、米ワールドコム社などがインターネット接続料を従量制に移行する事に対しても、電話会社の論理をインターネットに押し付けているとして、PSINetは回線保有による定額制の維持を目差すと語ったという。

 現インターネット・ユーザーにとっては、何とも頼もしい宣言に聞こえる。

余談その2:企業通信網の運用代行サービス
 23日の日経産業新聞2面には、BTネットワーク情報サービス(BT・NIS)が4月にも、インターネット技術を利用した企業通信網の運用代行サービスを展開するという記事が掲載された。英ブリティッシュ・テレコム・グループの海外拠点と連携し、日本だけでなく顧客の海外拠点での運用代行も手がけるのが特徴という。インターネット技術を使いながら機密性を保てる企業向けコンピューター通信サービス「コンサート・インターネット・プラス」の販売と組み合わせて、日本の多国籍企業の通信需要を取り込む狙いのようだ。

 企業情報網をイントラ/エクストラネットを応用して、安価に構築しようというニーズは高まりつつある。4月の通信ビックバンに向けての布石としては硬い線と言えるだろう。

余談その3:アウトソーシング検索サービス
 22日の日経新聞3面には、通産省が23日から、インターネットを利用したアウトソーシング(外部委託)の検索サービスを開始するという記事が掲載された。「経理・財務」や「金融関連」などの外部委託したい業種や条件を入力すれば、企業の所在地や契約条件などが表示される。既に300件ほどが登録済みで、それ以外の700社は冊子にて情報提供されるという。

 アウトソーシングを欲する企業も、それを請け負う企業も、中小・中堅企業が多いのが現状なので、現在通産省が進めている貸し渋りに対する中小・中堅企業対策」の一つとして、このサービスも有効に機能してくれることを願いたい。


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