ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年7月11日


HEADLINE 3 articles

30年後、科学技術予測では...
リムネットのインターネット国際電話サービス
大学生協の電子マネー実用実験
余談3題:インターネット規制/アップル関連/休刊連絡


[技術予測](レベルA'
30年後、科学技術予測では...


 日刊工業新聞1&7面及び、日経新聞13面&日経産業新聞5面には、科学技術庁科学技術政策研究所が10日、2025年までの30年間にわたる技術予測調査結果を科学技術会議政策委員会に報告したという記事が掲載されている。それによると、2003年には世界中のどこからでもマルチメディア通信ができ、2009年にはエイズの治療法が実用化され、2013年にはガソリン車並みの走行性能がある電気自動車が普及し、がんも解明されるらしい。インターネットに関しても、「安全性の高い次世代型の実用化」が2003年と予測されており、現在のインターネット普及の影響を受けて、ネットワークに関するテーマも12件と5年前の調査時の6倍に増えたようだ。
 前回の第5回のリポート(1992年11月、英語版)の本文の中に有る、情報やエレクトロニクス、通信のテーマを見ると、アクセスタイム1nsのシリコンメモリLSIが2000年に、1テラByteのデータベースを10秒以内に検索出来るのが2003年に、50ccサイズで3時間動作する携帯電話が1998年、低軌道衛星を使った携帯電話サービスが2004年、ATMベースのB-ISDN実現が2003年などがあり、特に情報通信分野では予測より早く実現されているケースが多い。しかし、Eメールやデーターベースの使用によるマルチメディア・データの自動変換実現が2003年と予測しているように、まだまだインターネットがここまで普及するとは予想していない様子も分る。
 過去の予測を評価してみると、一部または全部実現しているテーマが2/3で、1/3は外れているようなので、その中でもほとんど前倒しで実現しているインターネットを含めた通信分野の開発スピードが、その他の分野より驚異的に速いこともことも分るだろう。
 



[インターネット電話](レベルA'
リムネットは、インターネット国際電話サービスを始める


  日経新聞11面には、プロバイダーのリムネットが8月から、郵政省の規制解禁(7月8日の郵政省のプレスリリース及び、7月8日のINTERNET Watch-Web記事を参照)を受けてインターネット国際電話サービスを始めることを決めたという記事が掲載されている。米国でインターネット電話サービスを手掛けるGXC社と提携し、会員向けに提供するということで、通話料は日米間で3分90円前後(3分超過すると30円/分)を想定しており、リムネットの株主であるKDDの約1/5になるようだ。
 今年1月28日のINTERNET Watch-Webでも、リムネット会員を対象に4月から国内電話サービス「リムフォン」を3分60円の通話料金でスタートさせており、一般の電話機同士で利用できるインターネット国際電話サービスの予告も掲載していることからも、解禁を待ちに待った感がある。
 しかし、同じくプロバイダーの日本ITSも、米国との国際電話に参入予定(2月18日のNEWS Watch記事及び、2月19日のINTERNET Watchダイジェスト記事参照)だったことや、UUNETによる通常FAX機器による国際インターネットFAXサービス「UUFAX 」(昨日のNEWS Watch記事を参照)なども始まり、早くも参入ラッシュが予想される厳しい市場になりそうだ。



[電子マネー][EC](レベルB
大学生協の電子マネー実用実験


 日経新聞1面トップには、関東甲信越地方の59大学の生活協同組合(生協)が、NTTデータ通信や金融機関と提携し、参加人数が最大43万人という大規模な電子マネーシステムが今秋にも実用段階に入るという記事が掲載されている。学生が大学生協で書籍を購入する際などに、電子マネー機能を持ったICカードで支払える体制を整えるようで、カードは学生証の機能も持つほか、銀行のキャッシュカードとしても使用できるらしい。
 また同じ面の解説にも、大学生協が推進することにより、地域限定の小規模インフラを各地に作り、これらを統合して全国規模に拡大する方法が、ICカード型電子マネー普及の主流となる可能性が出てきたとしている。
 学生証と銀行のキャッシュカードを兼用ということでは、昨日のINTERNET Watch-Webにも掲載されている、4月から早稲田大学生協生協ICカード導入したケースが先行しており、このICカードはあさひ銀行のキャッシュカードと生協組合員証がひとつになっているようなので、今回の大学生協東京事業連合(生活協同組合連合会 大学生活協同組合東京事業連合)が11月にも横浜市立大でサービスを開始し、一橋大、法政大、千葉大などの大学生協に広げる予定となる、電子マネーシステムの実用化への叩き台ともなりそうだ。
 ICカードを使うだけに、各学校間での共通利用や残高の照会など、”便利”な機能を実現できるのだが、次に控える”ネット決済”に向けての取組みも必要だろう。




余談その1:
 日経新聞2面には、日本でのインターネット規制を巡って、その是非や方法論でかなりの隔たりがあるという記事が掲載された。また同面には、海外でもインターネットの公的規制は暗中模索であるという記事も掲載されている。
 これまでのこの件に関連する事象を並び立てるだけでも、数が多く多岐に渡り、国別の事情の違いもあって、その立場立場での違いが分るぐらいにしかまとめ切れないのが実情だろう。
 それだけに、Watchの「本誌の方針について」に関する意見や提示される解答が、一石を投じるものと期待される

余談その2:
 今日の新聞各紙面は、米アップル社会長の辞任問題の解説記事が多く掲載されている。日経新聞11面の記事同面のアンダーソンCFOのインタビュー記事、日刊工業新聞5面の記事と、同11面の日本アップルとその他の日本企業の反応などが掲載されている。
 その中で特に印象的だったのは、日経産業新聞28面(最終面、ビジネスTODAYコーナー)での、アップル創業者の一人である、ウォズニアック氏のインタビュー記事だった。そこには、間違った開発中断があったとしていたり、ソフトを独立事業にした方が良いなどという、もっともな意見が書かれている。
 彼がアメリオ会長のアドバイザーであったことを考えても、こういった”当たり前”とも思われる意見も通らないほど(どこかの国の組織や企業のように)会社自体も硬直してしまっていたとなると、会社存続の為には、もっと強い大鉈を振られる必要性が出てきそうだ。

休刊連絡:
 来週の月曜日のNEWS Watchは、(本当の)新聞休刊日の為、お休みいたします。ご了承の程を...m(__)m



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