1997年8月26日
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●NTTの関心推定システム
○子供たちを巡るマルチメディア環境整備について
余談2題:地上波デジタルTV/DVDフォーラムその後
[システム開発][ネットワークエージェント](レベルA')
●NTTは、ブラウザー使用時に利用者の関心を持つ情報を推定するシステムを開発
日経産業新聞1面には、NTTがホームページ閲覧時に利用者がとった行動からその人が関心を持つ情報を推定するシステムを開発したという記事が掲載されている。マウスやキーボードの操作、ホームページの閲覧時間などから点数をつけて利用者の嗜好を割り出す仕組みらしい。検索ソフトに使えば、利用者が情報を効率よく探し出せ、エージェント・ソフトに応用すれば、個人の好みを的確につかむ「電子秘書」を実現できるとしているようだ。試作した推論システムは、WSとブラウザーのほか、画像処理装置とカメラ、マウスやキーボード操作の履歴を記録するソフトで構成されてもいる。
これまでNEWS Watchでもエージェント関連のニュースは積極的に取り上げてきており、日本においても、東芝の「マルチエージェント」や「秘書エージェント」(2月27日のNEWS
Watchにも関連記載あり)、富士通研究所の情報検索「エージェント」(3月18日のNEWS
Watchにも関連記載あり)、日本IBMのエージェントソフト(6月9日のNEWS
Watchにも関連記載あり)など、ネットワークと各エージェント・システムの機能やその進化の過程を見てきている。それらシステムは、情報検索などにエージェント機能が使われるケースが多く、また検索作業の中でこそ、各エージェント・システムの特長が一番出易いとも言えるのだが、このNTTのシステムでは、キーワードやリンク先の情報のみならず、カメラと画像処理装置で利用者が注視していたホームページの場所まで分析するようなので、より正確な嗜好の把握が出来、検索作業での効率UPが図れそうだ。今後は、NTTが提供する検索サービス(多分gooだろうか)にも、実験的に提供されるらしいので、どれほど有効かを体験出来る機会もあるかもしれない。
これまでのPC画面の中だけの情報で嗜好を判断するエージェントとは異なり、人間の目の動きに注目したような、人間工学的な要素も取り入れた嗜好判断エージェント・システムとなっているのが特長でもあるので、この様な人間の特性を情報として取り込むようなシステム構築を進めていくと、トータルな意味での嗜好判断が出来るエージェントも生まれてきそうだ。
(その分、我々はPCやネットワーク端末から注視される存在になってしまうのだが...(^_^;)
[エディキュテインメント][学習机](レベルB、8月25日のやじうまPC
Watchにも関連記載あり)
●子供たちを巡るマルチメディア環境整備について
日経産業新聞2面には、NTTが、子供が遊びながらマルチメディアやクリーンエネルギーなどを学べるホームページ「WNNエナジーランド冒険旅行」を開設するという記事が掲載されている。8月25日のNTTのニュース・リリースでは、NTTが進める「マルチメディア&クリーンエネルギー」に関する取り組みのひとつとして、このHP開設があるとしており、東京電機大学が7月18日から9月下旬まで行っている、「ソーラー電気自動車」でヨーロッパ・北アメリカ大陸を走破するイベントも紹介されている。
また同じく日経産業新聞10面には、ソフト制作会社のファブリックが東北電力岩手支店と共同で、学校向け教育ソフト「ハルくんの部屋・幻灯機編」を開発したという記事も掲載されている。家庭ゴミなどから地球温暖化まで、環境問題をPCを使ってゲーム感覚で学習できるようだ。上記2件とも、最近のエコロジー・ブームがマルチメディアと相まって、学校教育にまで浸透しつつあることを示しているようだ。
そんなマルチメディアな教育環境中で、来年度の新入学児童達には、以下のような学習机が各家庭に必要となってくる事が、日経新聞15面において示されている。そこには、コクヨ等の大手4社の来年度の学習机の新製品が出そろったとして、PC対応型が主流に定着したという記載がある。コクヨやイトーキクレビオのパソコン対応学習机は、PCを机の横に置くサイドボード・タイプで、くろがね工作所と小泉産業の机は、机全面の棚を一部取り外すとPCが置ける構造となっているようだ。価格的にも55,500円~16万8千円の幅がある中で、10万円前後のものが売れ筋らしい。
少なくとも上記エコロジー共々、パソコンも教育分野ではブームであり、学習机にまで子供の将来を想う親の気持ちが、強く反映されてきているようだ。このままブームが続けば、モデムやTA、Ethernet等の端子を持つネット型学習机が発売されるのも時間の問題のような気もするが、果たして子供の頃からPC等のネットワークに繋がれてしまうのは、子供たちにとって幸か、不幸なのかは何とも言えない。エディキュテインメントに使われるコンテンツの充実と、ネット上にある有害(と呼ばれる)情報コンテンツの適度な抑制が行われれば、教育上好ましいと言われそうではあるのだが...
余談その1:(4月22日のNEWS
Watchにも関連記載あり)
日経新聞7面には、郵政省が98年度から、地上波デジタル放送の実用化に向けたモデル実験を始める方針であるいう記事が掲載された。放送事業者や電機メーカーなどど共同で「双方向TV」等のマルチメディア・サービスを一般家庭に提供する実験など、98年度予算に研究費:2臆5千万円を盛り込んだようだ。
4月の段階で、地上波デジタルTV放送を検討する委員会を5月中に発足し、来年秋には一定の結論を出すとしていた郵政省のスケジュールはまだ守られているようだ。米FCCのDTV方針発表(4月4日のNEWS
Watchにも関連掲載あり)以来、TV製造業界も規格の折衝とTV出荷台数の不調の間で大きく揺れ動いているアメリカに比べて、何とも日本はゆったりしていることであろうか。
余談その2:(8月25日のPC
Watch-Web記事にも関連掲載あり)
日経新聞11面&日経産業新聞9面及び、日刊工業新聞10面には、東芝、松下電産など日米欧の10社が25日、記録容量を4.7GBに高めた次世代DVD-RAMの規格作りを今秋から開始すると発表したという記事が掲載された。DVDフォーラムでの様子は、PC
Watch記事の方が詳しいのでそちらを参照した方が良いのだが、その会議もソニーなど別規格で商品化を目指す3社に対する欠席裁判とはならなかったようである。
この日米欧の10社に、まだソニーなどの3社は入っており、次世代規格作りには参加する方向とも伝えられていることから、まだまだ二次、三次の規格(局地)戦争が勃発する火種は残っていると考えられそうだ。
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