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ちょっと知りたいページの裏側

第7回:自動車ニュース&コラム

 「ちょっと知りたいページの裏側」は、皆さんがご存知のさまざまなサービスやコンテンツが、どうやって作られているのかといった、なかなか知る機会がないところをインタビューしようというものです。

 さて第7回目は、自動車に関する日々のニュースのクリッピングと、自動車に関する読者の意見などを載せた日刊のメールマガジン「自動車ニュース&コラム」です。

 今回は、このメールマガジンの発行者である北田さんにお話を伺いました。

■自動車ニュース&コラム
http://www.venus.dti.ne.jp/~corvette/mailnews.html


●メールマガジンのきっかけは報告書

IW編>>まず、メールマガジンを始めたきっかけを教えてください。

北田:もともとは、(会社で)毎日仕事しているよ、という報告書から始まったんです。自動車の部品関係の会社に勤めているんですが、企画という形で拾ってもらったので、社長になにか新しいこととかビジネスチャンスを伝えるのが使命みたいなものだと思っていまして。最初のころ、インターネットや新聞で新しいことがあると、会社に関係があるんじゃないかとか、こういう感じの仕事を新しくしたら面白いんじゃないか、といったことを、社長宛に箇条書きにして電子メールで送っていたんです。あるとき、「まぐまぐ」という存在を知りまして。ほかに発信できないかなということで始めました。

IW編>>なるほど。もともとは報告書だったんですね。現在も社長さんは読んでいらっしゃるんですか?

北田:もちろん読んでいます。ただ、社長にはそれに付随して、「こんなビジネスチャンスがあるんじゃないですか?」といったことも送っています。

IW編>>メールマガジンを始めた時期を教えて下さい。

北田:'97年の9月です。結構続いていますね(笑)。まぐまぐ('97年1月よりサービス開始)でも古株になりつつあります。最初は企画で入社して、何していいかわからなかったんですよ(笑)。ちょうど2年ぐらい前ですか、サイトの数もかなり増えてきたところで。この調子でいくなら、今のうちに種をまいとかないと乗り遅れるんじゃないか、というような妙なベンチャー意識みたいなのがあって。

IW編>>日刊で出していらっしゃいますが、仕事をしながらだとかなり大変なのでは?
   作業の流れを教えて下さい。

北田:起きたらまずメールチェックをします。その後、会社で新聞チェックやWebを見たりして記事を作り、会社でもメールをチェックして作っていきます。そんな状態なので、趣味の時間をとられてしまいましたね。仕事とインターネットの生活という感じです。

IW編>>1日でニュースを作るためにかけている時間はどのくらいですか?

北田:メールマガジンにかけている時間というのは、一概に言えないんですが、神経だけは、ずっとニュースにかかりっきりですね。例えば、ネットにつないで電子メールを見たときに投稿が来ていれば、すぐその場である程度編集して、テキストでメモ帳とかに貼り付けて保存するとか。ついでに、そのときにWebサイトも回ったりします。

IW編>>自宅と会社の原稿のやりとりはどのようにしていますか?

北田:投稿は、Windowsの「メモ帳」にコピーして随時編集しているんです。もともとこのメールマガジン用に、罫線を入れたフォーマットを作ってあるので、仕上がったものはそれにペーストしていきます。メールは、会社では見るだけにしておいて、自宅のマシンですべて吸い上げます。会社と自宅の原稿のやりとりは、テキストを添付ファイルでくっつけて送るようにしています。

IW編>>このメールマガジンのニュースソースを教えて下さい。

北田:インターネットと新聞ですね。最近特に、インターネットを見る方が多くなってきました。ちょっと目が疲れますね(笑)。新聞は日によりますが、インターネットは毎日決まった通り道があって、そこを見ています。

IW編>>Webはどんなところを回っていますか? また、どんな新聞を読んでいるのか教
   えて下さい。

北田:Webは、日経など大手新聞社を中心に、だいたい、12~13社です。新聞は、日によりますが、4~5誌見ています。会社にある新聞です。

IW編>>それだけのものをチェックするのはかなり大変そうですね。

北田:Webと比べると、新聞のほうが見つけやすいので、新聞を目を通す時間は少ないです。やはり、なにがどこにあるかというのはすぐ分かりますから。しかし、ネットのほうは何がどこにあるかというのは難しいので、結構時間がかかりますね。

IW編>>作業の時間は決めているんですか?

北田:昔は、昼休みに読んでいただけるように配信していたんですが、なかなかそういうわけにもいかなくて。今は、みなさんが会社を帰る、仕事が終わるぐらいの時間までに届けたいなと思っています。

IW編>>インターネットウォッチもそうなのですが、日刊ですといつ締め切るかが難し
   いと思うんです。何時までに来た投稿までを載せる、などの区切りはあります
   か?

北田:難しいですね(笑)。一応紙面を作って、今日の記事を配信しようかなと思ってまぐまぐのWebページにいくんです。そのときに、メールもチェックするのですが、そのときに来ていたもので、おもしろい投稿もあればそれも載せるようにしています。なので、最短だと20分ぐらいで載ってしまうものもありますね。

●大変なのは、日々の投稿の要約

IW編>>一日の投稿はどのくらいなんでしょうか。

北田:多い日だと50通ぐらいですね。結構大変ですね。昔はそれに対して返事を書いたりしていたんで、もっと大変でした。もうこの規模なので、お返事を出していないとか、失礼なこともしていますね。

IW編>>メーカー関連の方からの意見も多いようですが。

北田:やはり、大メーカーの従業員の方が多いですね。やはり、仕事しながらインターネットができるという環境が整っているからでしょうね。でも、内容的に載せたくてものせられないこともあります。

IW編>>最近、投稿の中で、清水和夫さんがでていらっしゃいますよね。レーシングドライバーの清水和夫さんなんですか?

北田:そうです、あの清水和夫さんです。もともと知り合いというわけではないのですが、購読していただいていて、ご意見をいただいたのだと思います。清水和夫さんは、インターネットのホームページもがんばっていらっしゃいますね。

IW編>>最初、「まさか」と思ったのですが、投稿内容をみるとやはりそうかな、と。

北田:ほかに、雑誌で書いている方からも投稿が来ますね。そう名乗るわけではないのですが、××編集部というシグネチャーがついていたりします。そうすると、ちょっとボツにはできんなぁ、という気になったりしますね(笑)。

IW編>>メールマガジンで苦労していることなどはありますか?

北田:結構手間はかかっていますね。ニュースは端折って短く、わかりやすくするというコンセプトがあるんですが、投稿の方もクレームを受けない程度に読みやすく要約しています。10K Byteぐらいの投稿を送ってきてくれる人もいるのですが、紙面の都合もありますし、そのまま載せるわけにいかないので。それぞれ読んで、ピンポイントで5~6行にして、話を合うように上下つなげて…というのが大変です。

IW編>>あぁ、分かります。特に読者投稿の編集は気を使うところですし、手のかかる作業ですよね。

北田:そうなんです。でも、たまに疲れて編集をサボってしまい、長い投稿もあったりしますが(笑)。

IW編>>読者の方からクレームを受けることもあるんですか?

北田:このニュースが載ってないじゃないか、という意見もたまにあります。取り上げてないみたいですけど、これはどういう事件なんですか、といったものとか。どこそこで知り合いが事故にあったんですけど、情報ありませんか? といったメールもあります。警察から直接情報をもらっていればいいんですが、基本的にいったん事実を仕入れた情報をピックアップして、という形なので難しいこともあるんです。

IW編>>確かに、ちょっと辛いところですね。

北田:メールマガジンというのはどうしても、読者の人から手厳しい意見もいただくことがあります。半分喧嘩みたいな話になると、やる気もなくなりますし、精神的にも疲れますね。舵取りを一人でやっているんで、しょうがないじゃないかという思いもあります。

IW編>>少し前の話しになりますが、メールマガジンの中でチャイルドシートの議論は
   盛り上がりましたね。

北田:そうですね、そのときは1日に70~80通ぐらい来ました。技術的なことだと少ないですが、精神論だと多いみたいです。

IW編>>まったく議論がなくてもつまらないですし、逆に白熱しすぎて辛くなるときもありますよね。その辺うまくまとめていらっしゃると思うんですが、投稿の選び方はどのようにしていますか?

北田:うーん、勝手にまとまってくれているんですけどね(笑)。でも、一応こういう投稿だとまとめて掲載するとか、違う日の投稿分でも同じ種類の投稿だとまとめたりして、ある程度操作はしています。やっぱりうちでしか読めないという情報がいいなと思っています。

北田:今は、ニュースと投稿で成り立っている感じですが、昔は投稿がそれほどなかったので、コラムのような感じでもっと自分の意見を書くことが多かったですね。最初は自動車の雑誌を目指していたんですが、ちょっと旗色が変わってきたというか、メールマガジンにはメールマガジンの世界があるんじゃないかと。大手の出版社さんとか、なんでやらないんだろうと思いますね。


●今後の目標は、専門分野ごとの細分化

IW編>>メールマガジンの今後について教えて下さい。有料化する予定はあるのでしょうか。

北田:ちょっとは料金をいただきたいなという気持ちはありますが、有料化すると、今自動車会社の中で読んでいる人が、とってくれないのではないかと思っているんです。やはり、多くの自動車に関わっている関係者からの意見が欲しい。有料・無料で足切ってしまうと、いい情報が入らないかもしれないなと思って。本心からすると、こちらからも情報を送るからそちらも情報をくださいよ、と。インターネットの世界はもともとそういう感じですよね。なので、有料化はできれば避けたいと思っています。


IW編>>メールマガジンの今後の展開について考えていることがあれば教えて下さい。

北田:専門分野ごとに細分化していきたいです。規模を大きくして、情報量も増やしていきたいですね。例えば車でも、全体的なニュースの流れとして、基礎の部分をAとして、Bはトヨタ系であるとか、エンジン系駆動系であるとか。ある人はトヨタ社にのっているから、Bを読むとか、ライバル会社の動向が知りたいからCを読む、といった感じですね。今でも、こんなに送ってこなくていい、という人もいるんです。ちょっと悩みどころではありますね。

IW編>>普通版ともうひとつ、ライト版を作っていらっしゃいますね。

北田:ライト版は、普通の生活をしている人には必要ないなというニュースを端折ったものです。あまり長いとイヤになるじゃないですか。この話は前から続いているから載せないといけないけど、普通の人は興味ないんじゃないかというネタや、これはちょっと業界ネタすぎて興味が湧かないんじゃないかという情報を間引いてます。ライト版のほうが実は面白いんじゃないかと思うんですけど。あまり深いことを考えずに済むんで(笑)。

IW編>>確かに、たまに読んでしばらく考えさせられるような、複雑な話しが続くこともありますね。

北田:ほかに、今は重いのでしませんが、HTMLメールとか、いずれリッチテキストみたいな形のフォーマットでできればと思っています。やはり、人がほしがるものを作りたいと思っているんです。今やっていることを誰かに任せて、自分は新しいものを作りたいですね(笑)。

●乗ってて嬉しいのは、いい音楽といいソファの車

IW編>>御自身のことについて教えて下さい。これまでずっと車関連の仕事をされてい
   たんですか?

北田:最初は信用金庫で働いていました。そのあとコンピュータ関係のメーカー営業に移って、計りのメーカーに移って、ちょっとだけ放浪して今の会社に拾ってもらったんです。


IW編>>いつ頃からパソコンを使っていたんですか?

北田:パソコンは、PC6001とか、あの時代にBasicで絵を書いたりしてました。ポケコンとかシャープのPC12551とか、1350とか、あのあたりで遊んでいたんです。X68000が流行りはじめた頃、ネットというものを知らなかったんで、どんなに情報を詰め込んでもその場限りだし、効率的じゃないと。やっぱり、ほかのほうがいいと思って、パソコンは一旦足を洗ったんです。


IW編>>インターネットを始めたきっかけは?

北田:たまたま知り合いがインターネットカフェを始めるということで、どのくらいパソコンは進んだのかとちょっと出かけてみたんです。でも、あんまり面白くない。情報量も少ないと。けど、今だったら、一生懸命やれば結構目立つことができるんじゃないかと思って、ホームページを作るためにパソコンを買ったんです。

IW編>>パソコンは何を使っているんですか?

北田:なんだっけな…FMVです。パソコンの世界のこと、疎いんですよ(笑)。自宅では、28.8kのダイヤルアップ接続でやっています。

IW編>>あまり車とは関係のない仕事が多かったんですね。車は昔から好きだったんで
   すか?

北田:祖父の代から車が好きだったので、車を身近に感じていました。雑誌やカタログなどもよく見ていました。

IW編>>自分で整備などもなさるんですか?

北田:以前、コルベットのスティングレーというのに乗っていたんです。'82年式だったんで、そろそろガタが来はじめる頃で。乗っていた時は自分で整備したりしていました。

IW編>>やはりディーラーに任せきりだと、費用もかかりますしね。

北田:あとは、展示会向けに電気自動車に改造するというのもやりましたたね。会社で企画したものなんですが、(技術の人に)休日に4日ぐらい出てきてもらって一緒にエンジンを抜きまして、モーターを放り込んで電気自動車に改造したんです。実際の作業はあまりしませんが(笑)。これが、エンジンがなくなったらものすごく少ないスペースで済むんですよ。でもこの上に車用のバッテリーを10個のせないと走ってくれないんです。それでも40~50kmぐらいしか走れないんで1時間ぐらいでパーになっちゃうんですけど(笑)。バッテリーの技術が進んでいないので、今のところ実用化は無理ですね。

IW編>>MG-Bとは、ちょっともったいないような(笑)。

北田:社長の愛車だったんです。職業柄、排気ガスばっかり出すのを手伝ってるのもなんだから面白いことしましょうよ、と(笑)。モーターとか、電圧を変化するコントローラーをアメリカから買ったんです。向こうで70~80万するものなんで、日本に入ってきたら100数十万はしますね。でも、あんまり面白くならなかったんですけど(笑)。

IW編>>特に好きなメーカーがあれば教えてください。

北田:(車は好きですが)メーカーとしてはどれも嫌いかもしれない(笑)。商売とし
   て見たり、裏側を知ってしまうと、あまり好きというふうには言えないです
   ね。でもメーカーは何ごとも一面しか見えないですからね。全部見えないの
   に、好き/嫌いというと、ちょっと問題があると思っています。

IW編>>現在乗っている車と、車の経歴を教えてください。

北田:現在の車は、本田のHRVと、アメ車のシボレーカマロのオープンです。HR-Vは、家族で共有しています。経歴は、トヨタ、シボレー、マツダ、トヨタ、シボレー、シボレー、クライスラー、シボレー、ホンダという感じです。ドアは4枚より2枚の方が好きですね。結構好きな車が多いんですよ。メーカーとか国とかこだわらずに、この車は好き、この車は嫌いというのがあるんで。

IW編>>外車がお好きなようですが?

北田:外車が好きですね。自分の手に届くとなると、中古車ですが。「くるまにあ」とかよく読んでいます。カマロはクーペにのっていたんですが、忘れられなくてオープンを買いなおしました。一番乗ってて嬉しいのは、やっぱり、いい音楽といいソファの車です。

IW編>>かなり音楽も好きなんですね。

北田:学生の頃、ずっとバンドやっていたんです。ギターを担当していました。ライブハウスを回ったりとか。プロモーションしようと思って、自主製作でCDを作ったりもしました。でも、まわりがCDを作ったことで達成感みたいなものが大きかったみたいで、「もうええやん」みたいな(笑)。音楽とパソコンの世界って似てますよね。結構やってることが地味ですもんね(笑)。

IW編>>車でどんな音楽を聞かれるんですか?

北田:有線で最近のヒット曲をテープで編集したり、スタンダードとか、ビートルズなどです。

IW編>>走りに行ったりはしますか?

北田:やっぱり昔は、踏め! 曲がれ! というようなことをしていましたね(笑)。コルベットでは、サーキットも走りました。自分の車はいったいどういう動きをするんだろうと思って。でも、昔は怖さを知らなかったんです。交通事故とか責任とか、リスクを考えたときに、速い車より、部屋で応接ソファーに座ってワインを飲むような、くつろげる車のほうがいいですね!

IW編>>乗ってみたい車があれば教えて下さい。

北田:アストン・マーチンに一回のってみたいですね! V8のタイプです。


IW編>>ありがとうございました。

【インタビューを終えて】
 北田さんは、メールマガジンのほかにも、アメ車関連のメーリングリストも運営するなど、アクティブに活動していらっしゃるようです。メールマガジンのコメントを見ていた限りでは、落ち着いた年令の出版関係の方をイメージしていましたが、実際に御会いしてみて、予想以上に若くみえる(実際の年令は秘密)方で少々驚きました。

 今回のインタビュー時には、愛車の写真やEV化の作業の写真を持ってきて下さり、車に詳しくない担当に丁寧に解説して下さるなど、車好きであることを改めて実感。毎日の作業で、少々疲れ気味かな、という場面もありましたが、読者の意見を取り込んだ、企業ではなかなか取り上げにくいところを扱ったメールマガジンの存在は貴重だと思います。ぜひ、このままがんばって下さい!


【編集部より】
この「ちょっと知りたいページの裏側」では、取材先を募集しています。「ぜひこのページをとりあげて欲しい」、といった要望がありましたら、おすすめの理由を添えてinternet-watch-info@impress.co.jpまでお送りください。

('99/7/12)

[Reported by junko@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当 internet-watch-info@impress.co.jp