【連載】

個人でできる!セキュリティの基礎知識

第5回(最終回):コンピュータウィルス

 最近「セキュリティ」についてよく耳にします。もちろんプロバイダーやシステム管理者がやるべきこともありますが、まずはその前に身近なところで、自分のセキュリティから見直してみましょう。この連載では、セキュリティを守るために、知っておいたほうがいいこと、自分でできる対策などを解説します。(編集部)


 インターネットで情報をやりとりする際には、コンピュータウィルスに気をつけたい。コンピュータウィルスは、マシンに感染し増殖する能力をもつ悪質なソフトウェアをいう。もちろん、人間には感染しない。ウィルスの中にはマシンを動かなくしたり、音を出したり、画面にメッセージを吐き出す自己主張の強い種類があり、往々にしてコンピュータに被害をもたらす。

 コンピュータウィルスは次のようにして感染していく。最初に人間によってウィルスは作られ、パソコン通信やインターネットを通じて撒かれる。このウィルスは、さまざまな経路を通じて、文書、プログラム、OSに感染する。あなたが感染したファイルを電子メールやフロッピーで誰かに渡せば、それを受け取った側も感染する。

 ウィルスによる被害はさまざまだ。個人レベルなら最悪マシンが壊れたり、ハードディスクの中身が消えてしまうくらいだが、企業レベルでなら、製品にウィルスが混在し回収騒ぎになって、損害に対する保障、謝罪広告、企業イメージダウンに発展する。企業ユーザーは特に気をつけたい。なお、このような点に注目し、セキュリティビジネスも盛んだ。

 ウィルスが感染するファイルは「起動時のブートファイル」、「アプリケーションやユーティリティ」、「ファイルの特定部分(リソース)」、「特定ソフトによって書かれたファイル」などで、ウィルスによって対象が異なる。3年前からマイクロソフトのワードやエクセルのファイルに感染するマクロウィルスと呼ばれるタイプが増えている。これらのファイルの取り扱いには注意したい。もしウィルスを発見したら、毎月ウィルス感染情報を公表している情報処理振興事業協会(IPA)に報告するとよい。

 ウィルスを予防、退治するには、専用のソフトウェアを使う。このソフトは、あらかじめインストールしておいて、ウィルスを予防するものが多く、「ワクチンソフト」と呼ばれて販売されている。ものによってはフリーウェアもあり、インターネットやパソコン通信で手軽に入手可能だ。しかし、ワクチン自身がすでに感染されていたという例や、最新のウィルスに対応する速度が市販製品より遅いという一面もあるので、市販のワクチンソフトが人気だ。

 ワクチンソフトは、数千ものウィルス情報を持っており、やってくるウィルスから防衛してくれる。でも、ワクチンも知らない未知のウィルスには対応できない。そのため、時々新しいウィルス情報をワクチンソフトに更新しておこう。ちなみに最近は、ネット経由で更新できるソフトも登場してきた。

 コンピュータウィルスの情報は、ワクチンメーカーのホームページで知ることができる。個人レベルでもウィルス情報は流れているが、入手元に気をつける必要がある。電子メールでコンピュータウィルスの情報として流れる偽ウィルス情報が登場しているからだ。GoodTimes、AOLFreeといったものが有名で、これらは実在しない偽ウィルスだ。偽ウィルス情報は、人を騒がせるのが目的のため、無視するのが最善の策だ。

 コンピュータウィルスは、自己増殖するため分析すると興味深く、研究対象にしている人もいるが、取り扱いを誤ると痛い目にあうことがある。人間に感染するウィルスと同様に素人は深追いせず、予防に徹する事を勧める。

■参照URL
ワクチンメーカー
・トレンドマイクロ社 http://www.trendmicro.co.jp/
・シマンテック社 http://www.symantec.co.jp/

・情報処理振興事業協会(IPA) http://www.ipa.go.jp/index-j.html
・米エネルギー省CIAC(偽ウィルス情報が豊富) http://ciac.llnl.gov/

('98/3/5)

[Reported by 古川泰弘]


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