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MicrosoftのHassan氏、「数年後にはギガビットの無線LANに」


 9月1日、東京・渋谷で、IDGジャパンと米Jupitermediaの主催により、無線LAN関連イベント「802.11 PLANET Conference & Expo Japan 2003」が開催された。開幕に当たって、米Microsoft Wireless Architect Windows Networking and CommunicationsのAmer A. Hassan氏が「今後5年間の802.11の構想について」と題した基調講演を行なった。

 講演は無線LANの現状について所感を述べた後、今後のロードマップと課題について語る形で進められた。会場は立ち見が出るほどの大盛況。ビジネスマンが中心の聴衆に対して、Hassan氏がオフィスでの無線LANの利用を促す場面が多く見られた。


「法人への導入が思ったほど進んでいない」

米Microsoft Wireless Architect Windows Networking and CommunicationsのAmer A. Hassan氏
 Wi-Fi Allianceのメンバーとして活動を行なっているHassan氏は冒頭、「IEEE 802.11規格はここ数年で一気に普及が進んだが、正直なところ、オフィスでの利用が思ったほど伸びていない」と指摘。その理由については、「セキュリティや信頼性の高さ、社内のネットワークが多様化しても管理がしやすいことなどが、企業にとっては重要な要素だが、これを現状では十分に満たせていないことが原因だろう」と語った。

 Hassan氏はさらに、「企業側の論理として、有線で確保できるセキュリティを得るために、わざわざ多額のコストをかけてまで無線にするかというと、それはしないだろう。無線であっても、はじめからセキュアな環境を作らなければいけない。また、職場でも自宅でも様々な場所で使われるので、管理のしやすさ、という部分が重要だ。職場、自宅、それぞれのセキュリティポリシーにしたがって自在にアップデートができるような仕組みが必要だ」と語るなど、セキュリティと管理のしやすさについて再三強調した。

 その中でも、特にHassan氏が重要視していたのはアップデートの容易さだ。デバイスそのものを買い換えなくても、ファームウェアやドライバの更新により、新しいセキュリティシステムやQoSのサポートなどの新機能を追加できること、デバイス側で後方互換性を守っていくことの重要性を訴えていた。これらの環境が整えば、保守コストが大幅に下がるため、企業への導入がより進むためだ。


「P2Pは必ずブレイクする」

 無線LAN一般の普及については、「アプリケーション環境を整えてこそのワイヤレス・ネットワーク。リアルタイムの通信コミュニケーションが重要なカギを握っている」と言及。さらに、「ユビキタスネットワーキングの時代において、P2Pは重要なテクノロジー。マイクロソフトでは必ずP2Pがブレイクするだろうと考えている。これらの技術とWi-Fiを組み合わせることによって、ユビキタス化はさらに加速する」などと語った。想定されるアプリケーションとしては、ロケーション、つまりユーザーの居場所に深く関わるものや、家庭におけるAVコンテンツのストリーミング配信などを挙げている。


Microsoft全社で42,000以上のアクセスポイント

 次に、ケーススタディとして、Microsoftでの導入事例を紹介。Microsoftでは、42カ国、150以上の社屋で述べ42,000以上のアクセスポイントを設置しているという。これらはいずれもWPAによるセキュリティを完備。10,000人以上の従業員が使用している。このうち600人の社員を対象にしたアンケートによれば、93%が「今まで使わなかったような場所でもコンピュータを使うようになった」、24%が「1日に6時間以上使っている」、「72%の仕事はWi-Fiだけで遂行できる」などの結果が出たという。

 さらにHassan氏は無線LANを取り巻く状況について、「現状では、公衆無線LANサービスは始まったばかりでどういうふうにビジネスモデルが成立するのかよくわかっていない。残念ながらまだまだばらばらの状態。周波数効率の面を考えても、これから4.9GHzや5GHzはどんどん使われるようになるだろう」「中堅企業はWebソリューションに興味を持っていることが多いが、無線LANにも目を向けてほしい。WPAなどセキュリティ面も充実してきている」「管理のソリューションにもまだまだ改善の余地がある」などと雑感を語った。


「ギガビットワイヤレスは必ず実現する」

 その後、Hassan氏は無線LAN技術のロードマップをスクリーンに表示した。これらの見通しを語る前に、現時点での技術的課題として、「Wi-FiとBluetoothとの共存についてはいろいろ議論がされてきた。携帯のうちの50%がBluetoothを積むようになるだろうと思われていた。だが、無線LANとの干渉問題が大きく響いている。これらの問題は研究中で、いずれ解決されるだろう」と述べた。

 次いで、今後3年以内の見通しとして、「ノートパソコンの95%が無線LANを搭載する。セキュリティについても新しい暗号化について802.11委員会で審議しているところだ。無線LANと3G、GPRSなど無線WAN(WWAN)分野とのローミングも進むのではないか。家庭の中でのストリーミングも一般的になるだろう」と予測。

 さらに、3年以上先の段階では、「ギガビットワイヤレスは必ず実現されていくだろう。もちろんギガの前に100Mbpsという1つの区切りもあるが、ギガはひとつの課題としてどうやって達成するかというチャレンジの意味も込めている。Wi-FiとWWAN(Wireless Wide Area Network)とのハンドオーバーも可能になる」などと語った。

 Windowsのロードマップとの関連については詳しく語られなかったが、ワイヤレス通信規格を積極的にネイティブサポートしていく方針だという。すでに出荷済みのWindows XP、Windows CE .NET、Windows Server 2003についても認証、自動構成など無線LANを意識した設計になっていることをアピールした。

 講演の最後に同氏は、「Wi-Fiというのはひとつのブランドです。いろいろなところと連携を取りながら、中立機関として無線LANの利用をさらに推進していきたい」と語り、基調講演を締めくくった。


Wi-Fiは「ユビキタス化」には欠かせない技術だという 3年以上先には、ワイヤレスのギガビット時代になる?

Windows側でも、積極的にWi-Fiへのサポートを進めていく Wi-Fiのメンバーとして、ソフトウェアメーカー、デバイスメーカー、サービスプロバイダーなど各プレーヤーにアピール

関連情報

URL
  802.11 PLANET Conference & Expo Japan 2003
  http://www.idg.co.jp/expo/j802.11/index.html
  Microsoft(英文)
  http://www.microsoft.com/
  関連記事:Wi-Fiアライアンス、WPAや802.11gへの対応など活動状況を報告(Broadband Watch)
  http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/2116.html


( 伊藤大地 )
2003/09/01 15:39

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