「Interop Tokyo 2009」と同時開催されている「デジタルサイネージジャパン 2009」では、多くの来場者が足を止めて展示に見入っていた。
● 映画「マイノリティレポート」の世界が再現
デジタルサイネージとは、屋外や店頭、交通機関などの場所において、ディスプレイなどの表示機器で情報を発信する媒体のこと。イベントの運営事務局によれば、デジタルサイネージに特化した展示会は国内初だという。
株式会社ゼロユニットは、ディスプレイ前方の空間に3D立体映像を浮かび上がらせるシステム「ホロ」を展示。凹面鏡や反射鏡の工学技術により映像の焦点を前方にずらすことで、3D立体映像を裸眼で閲覧できるのが特徴だ。
パソコンの画面の映像がRGBケーブル経由で専用ディスプレイに転送され、映像が空中に映し出される仕組み。立体映像ならではの映像制作技術が不要なため、制作費も抑えられるという。17インチの専用ディスプレイから空中の映像までの距離は約30センチ。
また、空中に映し出される映像は、赤外線を通じてタッチ操作を行える。デモでは空中に浮かんだ腕時計を触る様子が披露された。説明員は、「空中の映像を直感的に操作できるのが特徴。映画『マイノリティリポート』の世界と似ている」と話していた。
3D映画や遊園地のアトラクションなどでも3D立体映像が導入されているが、これらは専用のメガネが必要だった。これに対して、裸眼で3D立体映像が閲覧可能なホロは、街角などに設置することで、多くの人の注目を集められるという。
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説明員は「空中の映像を直感的に手で操作できるのは、映画『マイノリティリポート』の世界と同じ」と話していた
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空中に浮かび上がる腕時計を操作しているところ
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リンクアース株式会社、スキルアップジャパン株式会社、株式会社しくみデザインの3社は共同で、スクリーンに移る人の動きに合わせて映像が変化するインタラクティブコンテンツを展示している。
展示では、ビデオカメラで撮影した来場者の顔や身体を乳白色のスクリーン上に表示。画像認識技術で顔や身体を判別した上で、顔にはヒゲやメガネ、身体には服を映し出すデモを行っている。
乳白色のスクリーンは、通電した瞬間に透明に変化する素材が使われている。デモでは、通電するとスクリーンの後側にマネキンが映し出されていた。スクリーンの商品名は「淡陽」で、リンクアースが販売する。ショーウィンドウなどでの用途を見込んでいるという。
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画像認識技術で顔や身体を判別した上で、顔にヒゲやメガネなどを映し出している
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乳白色のスクリーン「淡陽」は通電すると透明に変化する。スクリーンからショーウィンドウに早変わりした
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デジタルサイネージの効果測定ツール「iCapture」。ディスプレイの上に設置された専用センサーで視聴者を撮影し、人数や性別、年齢群などを分析する
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広告媒体としての活用が期待されているデジタルサイネージだが、マクニカネットワークスはデジタルサイネージの効果測定ツール「iCapture」を展示している。
iCaptureは、ネットワークに接続した専用センサーをデジタルサイネージの周辺に設置する。専用センサーにはWebカメラが搭載されており、デジタルサイネージ付近にいる視聴者を撮影し、顔認識技術を使って映像を分析する。
これにより、視聴者の人数や性別、年齢群(大人、子供、シニア)、視聴時間などのデータを測定できる。視聴者情報をリアルタイムに広告主に送信することで、男性が多い場合には車の広告、女性が多い場合には化粧品の広告などに切り替えることも可能という。
説明員は「テレビや新聞、Webに次ぐ新たな広告メディアとして注目されているデジタルサイネージだが、広告主が判断するための広告指標を設けることが課題になっている」と述べ、効果測定ソリューションの重要性を訴えていた。
関連情報
■URL
デジタルサイネージジャパン 2009
http://www.cmptech.jp/dsj/
( 増田 覚 )
2009/06/11 11:12
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