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UQ Com田中社長、高速&オープン志向「UQ WiMAX」のメリット語る


 幕張メッセで開催中の「Interop Tokyo 2009」で11日、UQコミュニケーションズ(UQ Com)代表取締役社長の田中孝司氏による基調講演「WiMAX:真のモバイルインターネット時代の幕開け」が行われた。7月1日より有料サービスとして正式スタートするモバイルWiMAX「UQ WiMAX」の概要とともに、サービスエリア強化の方針などを説明した。


無線LANをいつでもどこでも~将来的にはIEEE 802.16mでさらなる高速化も

UQコミュニケーションズ代表取締役社長の田中孝司氏
 田中氏はまず、モバイルブロードバンドの前提となる電話やPCの歴史的変遷を振り返った。1970年ごろから普及し始めた固定電話は、コードレス電話を経て携帯電話へと進化。どこからでも音声通話が可能になった現状を踏まえた上で、田中氏自身は「電話としての進化はほぼ完了したのではないか」との考えを示した。

 進化の頂点を迎えつつある携帯電話とはいえ、小型・軽量が前提の製品である以上、絶対的な性能や入力デバイス面では限界がある。FTTHや無線LANによる快適なネットワーク環境を当然のごとく享受できるPCの代替品にはなり得ず、ノートPCの存在を抜きにモバイルブロードバンドの実現は語れない――というのが田中氏の主張だ。

 一方、これまでのモバイルインターネットサービスといえば3G携帯電話がその代表格だが、無線LANと比較して通信スピードは十分でなく、利用者の増大による通信帯域の逼迫なども懸念されている。

 さらにPCのビジネス用途が拡大しており、社内イントラネットへ高速にモバイルアクセスできなければ仕事にならないという問題も顕在化。ネットワーク上のサービスやアプリケーションをリモートで活用するクラウドコンピューティングという潮流もあって、モバイルブロードバンドの必要性は急激に高まっていると田中氏は指摘する。

 田中氏はUQ WiMAXについて、「家の中や会社の中では気軽に使える無線LANを、どこでも使えるようなサービスにしたい」と表現。無線LAN系の技術であるOFDMAおよびMIMOを採用していることからも、携帯電話とは異なる体系のサービスであると補足した。

 なお、UQ WiMAXでは現在、IEEE 802.16eという上り10Mbps/下り40Mbpsの通信規格を採用しているが、田中氏はより高速な通信技術の導入も視野に入れていると説明。具体的にはIEEE 802.16mを挙げ、上り112Mbps/下り350Mbps通信の実現を目指すという。


WiMAXの位置付け UQ WiMAXでは、将来的にIEEE 802.16mの導入も目指す

デバイスとネットワークのオープン化で新しい用途を創出

デバイスとネットワーク双方のオープン化、新たな用途の創出を目指す
 田中氏はUQ WiMAXの特徴として、3G携帯電話と比較した場合の高速性、公衆無線LANでは“点”レベルだったサービスエリア展開を“面”へと拡張できること(基地局1台でサポートできる通信エリアの広範さ)を挙げる。また、隠れた特徴の1つとして、OS上ではダイヤルアップ接続機能を使うことなく、あくまでも有線LAN/無線LANと同等に扱われる点に言及。リアルタイム性が厳密に求められる通信などにも適しているという。

 WiMAXという世界標準規格を採用するメリットも強調した。「携帯電話の場合は、まず通信キャリアを選んでから端末を選択するのが普通。しかしWiMAXなら、世界中で流通するさまざまなWiMAX機器を先に選び、キャリアはあくまでも後」。汎用製品からのアクセスが前提のため、契約手続き自体もユーザー自身でワイヤレスで可能。携帯電話のように専門販売店へ足を運ぶことなく加入契約できる点も大きな違いだ。

 UQ Com自ら販売する通信機器はもちろん、UQ WiMAX対応機器を内蔵したノートPCもメーカー各社からすでに発表されている。田中氏も「おそらく1年以内にはすべてのPCにWiMAXモジュールを内蔵できるはず」と期待感を示した。

 さまざまなWiMAX機器が利用できる“デバイスのオープン化”に対し、“ネットワークのオープン化”もUQ Comでは進めていく。ニフティやNECビッグローブをはじめとするプロバイダー、ヤマダ電機やビックカメラなど量販店もすでにMVNO事業者としての参入を決めており、課金体系もバリエーション豊かになると見られる。田中氏も「通信事業への参入が容易になったことで、我々キャリアが想像し得なかった利用形態も生まれるはず。UQ Comはあえて“土管屋”に徹したい」と、パートナー企業との協力関係をより重視する姿勢だ。


「一にも二にもサービスエリアの充実を」と田中社長

無料お試しサービスでは、サービスエリアに関する声が多数寄せられたという
 田中氏は2種類のオープン化を積極的に推し進めることによって、モバイルブロードバンドの新たな利用形態も生まれるだろうと展望する。「携帯電話がよりPCに近づいていく過程でスマートフォンが生まれたように、MID(Mobile Internet Device)といった小型機器がノートPCの延長線上に必ずや誕生するはずだ」と説明する。海外で実験が進むスマートメーター(電力計に通信機器を内蔵し、機器のコントロールや電力量の把握をリモートで行う技術)への採用なども考えられるという。

 より具体的な利用例としては、デジタルサイネージ(電子式広告板)への内蔵が考えられているという。また、カーナビへの内蔵も「今後1~2年度程度で実現でするのでは」と解説した。

 田中氏からは、2月から行われていたUQ WiMAXお試しサービスの結果も紹介された。月額料金・機器代金ともに無料のモニターには6000名が参加、機器購入者は約2000名に上った。利用者からは高速性に満足する声が寄せられる一方、サービスエリアの不十分さを多数指摘されたという。

 田中氏も「電波が届いてさえいれば十分速度が出るが、つながりにくい場所はやはりある」「山手線エリア内は充実しつつあるが、多摩や横浜、千葉エリアはまだまだ」と認めており、その上で「一にも二にもサービスエリアを広げていく」と強調。「来年の今ごろにはご不便なく使っていただけるようになるのでは」との見込みも示した。

 田中氏は最後に「UQ Comは従業員200名ほどの小さな会社だが、次世代の国内通信市場がガラパゴス化してしまわないよう、高い志で仕事に臨んでいる。今後ともご支援を賜れれば」と聴講客に語りかけ、講演を締めくくった。


関連情報

URL
  Interop Tokyo 2009
  http://www.interop.jp/
  UQコミュニケーションズ
  http://www.uqwimax.jp/
  UQコミュニケーションズ「Interop Tokyo 2009」特設サイト
  http://www.uq-event.net/trade_show/interop.html

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( 森田秀一 )
2009/06/11 17:45

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