9月17日から開催されているアジア最大級のデジタル展示会「WPC EXPO 2003」。電力線によるインターネット接続を研究する社団法人、高速電力線通信推進協議会(PLC-J)のブースでは、最大45Mbpsのインターネット接続デモが行なわれている。
PLC-Jは関西電力や日立製作所、富士通、松下電器、三菱電機などが参加する社団法人。PLC-Jが実用化を目指す電力線インターネットは、2~30MHz帯を使用して最大200Mbps程度のスループットを実現する。だが、現行の法規制では帯域が制限されて高速な通信が不可能。実用化に向けては、まず既存の同じ帯域を使っている無線局に対して影響がないよう、技術的な問題をクリアし、さらに法改正が必要となる。
電力線インターネットは、電力が戸外から入ってくる電力引込線を分電盤経由でPLCモデムと接続、そこから家庭内のコンセントに分配する仕組みになる。各コンセントからパソコンに接続する際も、おのおのPLCモデムが必要になるという。
デモでは、電力線が直に接続された住友電工製のPLCモデムを使用。モデムに接続されたパソコンからWeb閲覧ができる状態になっていた。
このほかブースでは、三菱電器製やデモに使われた住友電工製のPLCモデムが参考出品されていた。これらはいずれもOFDM方式を利用した最大45Mbpsの通信に対応している。また、米国で今秋出荷予定の機器として、ACアダプタの形状をしたモデムに無線LANカードを組み合わせた製品も展示されていた。これはコンセントに差すだけで無線LAN環境を構築できるという。
スタッフに実用化時期を聞いたところ、「現行の法律では実現が難しく、実用化は法整備が進んだ後になる。政治的な部分を含むので、なかなか目途が立たない状態だが、技術的には十分実用レベル」とのこと。また、「現在の開発状況では、最大200Mbps程度のスループットが得られるが、商用化の折りには50Mbps程度になるのではないか」「光ファイバーが有望なのは事実だが、ラストワンマイルの問題はずっとつきまとうだろう。その面では電力線インターネットは有利」とも話していた。
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デモには住友電工製のPLCモデムを使用
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コンセントからインターネット接続のラインを引いている
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三菱電機製モデム
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こちらは米国向け製品。アダプタ状のモデムに無線LANカードを組み合わせたものだ
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関連情報
■URL
高速電力線通信推進協議会
http://www.plc-j.org/
WPC EXPO 2003
http://arena.nikkeibp.co.jp/expo/2003/
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http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/08/29/299.html
関連記事:電力線インターネットの高速化へ向けた規制緩和は見送り
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0731/plc.htm
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http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0430/plc.htm
( 伊藤大地 )
2003/09/18 18:05
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