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北岡弘章弁護士講演「個人情報保護法の全容」


 日本弁護士連合会 コンピュータ委員会は3日、「ネットワーク時代における個人情報保護の最前線」と題したシンポジウムを東京都千代田区にある弁護士会館で開催した。ここでは、弁護士の北岡弘章氏の講演「個人情報保護法の全容」をレポートする。


個人情報を取り扱う民間事業者についての規制

北岡弘章弁護士
 講演では、個人情報保護法の中で個人情報を取り扱う民間事業者についての規制を中心に話が進められた。北岡弁護士はまず、個人情報保護法の構成を紹介。個人情報保護法は、以下のような章立てとなっている。

・第1章 定義
・第2章 国および地方公共団体の責務等
・第3章 個人情報保護の保護に関する施策など
・第4章 個人情報取扱事業者等の義務
      第1節 個人情報取扱事業者の義務
      第2節 民間団体による個人情報の保護の推進
・第5章 雑則
・第6章 罰則
・附則

 このうち、民間の事業者について定めたのが第4章だ。北岡弁護士は、第4章第1節について、「事業者と個人との法律関係に対して直接的な効果を持たないと定義されている」と紹介した後、「特定商取引法などと比較して民事的な効果はないが、開示の求めについては“裁判の規範性がある”として一部分に民事的な効果もある」と説明した。

 「ただし、事業者が個人情報保護法に違反した場合でも、それをもって直ちに契約関係が無効になるわけではなく、主務大臣が改善命令を発し、その命令にさらに違反した場合に初めて罰則が行なわれる」と補足した。


個人情報とは

 個人情報保護法の第2条第1項では、個人情報を「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む」と定義している。これについて北岡弁護士は、「みなさんが考えている個人情報の範囲よりも広くなる可能性」があるとして、範囲の解釈については「今後明らかになっていくのではないか」と今後の判例の積み重ねによって具体的な定義付けがなされるとの見方を示した。

 また北岡弁護士は、個人情報保護法の核となる概念として「個人情報データベース」を挙げた。個人情報データベースとは、「個人情報を含む情報の集合物を検索できるように体系的に構成された」ものを指し、コンピュータ内にあるデータだけでなく、紙媒体のマニュアルも個人情報データベースに含まれると述べた。ただし検索エンジンについては、「体系的ではない」として、個人情報取扱事業者から外れる旨の政府答弁があったことを付け加えた。


個人情報の利用目的など

 続けて、15条第1項の、個人情報保護法の利用目的の特定と制限では「利用目的をできる限り特定する」と定められており、「合理的な範囲を超えて変更する場合には、あらかじめ本人の同意を得なくてはならない」と説明。また17条では事業者は情報の取得に関して、偽りや不正な手段で情報を取得してはならないと規定されていることを紹介したが、どのような場合が不正な手段に該当するかについては「解釈上の問題となるのではないか」と延べ、現在は法曹界でも解釈の幅があり得ることを示唆した。

 次に、北岡弁護士は個人情報を第三者に提供する場合や本人の求めに応じて情報を開示する場合について触れ、第三者への提供は原則として本人の事前の同意を得る必要があること、しかし23条1項の但書により、法令に基づく場合や国などに協力する場合などはこの限りではないことが規定されていることを紹介。また、保有する個人情報については、情報の保有者である本人が容易に知り得る状態に置く必要があり、“容易に知り得る状態”には本人の求めに応じて遅滞なく回答する場合が含まれるとした。なお、個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められる場合には、例外的に非開示とすることも可能だが、濫用を防ぐため“著しい支障”の解釈は非常に縛りが強いものとなっている述べた。


第三者提供の制限 保有個人データの公表

個人情報保護法の適用除外項目

 また北岡弁護士は、個人情報保護法に関しては「企業活動を監督する所管省庁の主務大臣が報告の徴収をはじめ、勧告および命令などを行なう権限を持ち、これにより個人情報の保護が図られていく」と語った。ただし権限行使の制限事項として、表現、学問、宗教、政治活動の自由を妨げてはならないと規定されていると述べた。

 また、個人情報保護法には適用除外項目が50条に定められていることを紹介。報道機関が報道目的で、大学などの学術団体が学術活動で、宗教団体が宗教活動で、政治団体が政治活動でそれぞれ利用する場合などには適用を除外されると解説。この場合の報道機関などには、報道を仕事として行なう個人も含まれると述べた。

 適用除外項目に定められた用途で報道機関などが個人情報を扱う場合には、データの安全管理や苦情処理などについて適正な措置を講じ、かつこれらの措置を公表する努力義務が課せられる。しかし、これらはあくまで自主的な取り組みであって、主務大臣による指導など、行政機関が関与する権限はないという。

 最後に、北岡弁護士は個人情報保護法について「必ずしも個人の側に強い権限を認めているわけではない」とコメント。個人情報は非常に広い範囲の情報を含むこと、また基本的に全事業者が対象となることから、「全事業者を対象とする法律は、ある程度ゆるやかに定めざるを得ないのではないか」と述べ、講演を締めくくった。


関連情報

URL
  日本弁護士連合会
  http://www.nichibenren.or.jp/

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“個人情報保護法”とは〜総務省の入江晃史氏が講演(2003/12/02)


( 村松健至 )
2003/12/04 12:42

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