5月11日から14日まで、東京・有明の東京ビッグサイトで開催している展示会「IPAX Spring 2004」では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が未踏ソフトウェア創造事業として支援するソフトや技術が多数展示されていた。また、企業の出展も目立った。
● “NATを越えて”接続するP2Pアプリ用モジュール「NAT Traversal SDK」
「NAT Traversal SDK」は、UPnP-IGD(Universal Plug and Play - Internet Gateway Device)と、STUN(Simple Traversal UDP through NAT)を組み込んだP2Pアプリケーション用のクライアントモジュール。NAT Traversal SDKをアプリケーションに組み込むことによって、プライベートIPアドレスの端末間で“NATを越えた”接続が可能になる。
開発したニューロンの山田育矢代表取締役社長によれば、「従来、UPnP-IGDとSTUNを組み合わせても、対応できない環境が多かった。ルータによって、規格の実装が細かい部分で異なるからだ」という。ニューロンでは、こうした問題を解決するために20社以上の国内ルータメーカーの製品を検証。「安定動作を確認した」としている。
なお、NAT Traversal SDKではHTTPトンネリング機能を実装。SOCK5サーバーにも対応しており、「ファイアウォールを越えてP2P接続できる」という。
● 日立、P2P技術とICタグを用いた情報共有技術
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手前に並ぶのが実験に使用したPDA
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日立製作所のブースでは、無線LAN搭載のPDAをP2Pネットワークで接続し、ICタグを活用して情報共有する技術を展示。ICタグを読み取り、その情報をPDAから閲覧したり、書き込みするもので、2003年11月に都内の遊園地「としまえん」で実証実験を実施していた。
会場スタッフによると、実験ではキーワードが登録されたICタグを“お宝ID”とし、園内に隠したという。ICタグを探し出して、グループで共有することで隠された言葉がわかる仕組みだ。「P2P技術を利用しているので、サーバーレスでシステムを構築できる」という。今後は、「量販店などの店頭販売や、観光地などに提供したい」としている。
● サーバーへの不正アクセスを防ぐ“サンドボックス”を高速・柔軟に
東京農工大学共生科学技術研究部システム情報科学部門の品川高廣助手は、サーバーへの不正アクセスを防ぐ手法“サンドボックス”に関する技術を展示していた。
品川氏によると、「従来のサンドボックスでは、サーバーのプログラムと不正アクセス防止のプログラムが異なるプロセスで動作していたため、速度が遅くなりがちだった」という。今回展示されていた技術では、「細粒度保護ドメイン」技術を利用して、サーバープログラムと不正アクセス防止のプログラムを1つのプロセスで実行する。「同一プロセスで実行するため、高速化できる。また、不正アクセス防止プログラムをユーザーレベルで実装できるため、柔軟性も増す」としている。
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起動画面
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関連情報
■URL
IPAX Spring2004
http://www.ipa.go.jp/event/ipax/spring2004/
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http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/05/11/3051.html
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http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2004/05/11/3060.html
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http://bb.watch.impress.co.jp/cda/event/5212.html
( 鷹木 創 )
2004/05/12 13:15
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