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イベントレポート
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三菱やNTTなど各社、情報家電のマルチベンダー環境における相互接続をデモ


 CEATEC JAPAN 2004では、いわゆるネット家電の相互接続に関して多くの企業がデモを行なったほか、DLNA(Digital Living Network Alliance)が独自のブースを出展して、実際にマルチベンダー環境でネットワークを構築した状態での再生デモなどを繰り広げた。


従来型のAV機器とDLNA対応機器を相互接続するゲートウェイ

 まず最初にご紹介するのは三菱電機。同社は今回DLNA・UPnPに対応し、TCP/IPによる通信が可能なネット家電と、IEEE 1394(iLink)インターフェイスのみを搭載した従来型のAV機器とを相互接続。PC側のHDDに保存された動画を通常のテレビで再生したり、逆にiLink端子しか持たないVTRの映像をPCで再生したりするデモを展開した。

 三菱電機では、「一般的に家電の寿命は購入から約10年ということを考えると、単にこれから出る新製品をDLNA・UPnPに対応させるだけでは不十分。すでに購入済みの機器との間で問題なく通信が可能になるような仕組みを導入しなければ、消費者に受け入れてもらえない」として、このシステムを開発したという。今回展示されていたのはゲートウェイとして独立した機器だったが、製品化の際にはこのような単独の形での販売は考えておらず、地上デジタル放送対応テレビやハイエンドのHDDレコーダーなど、Ethernet端子とiLink端子をあわせ持つ機器に、こうした相互接続の機能をソフトウェアで搭載する形態を検討していると会場スタッフは語っていた。

 同ブースではまた、IEEE 1394でネットワーク化された家電同士を無線で接続するデモも行なわれていた。こちらは物理層のプロトコルにはIEEE 802.11aを利用しているとのことだが、QoS機能などはIEEE 1394の機能をもとに同社で独自開発したものを利用。IEEE 802.11eなどの汎用プロトコルは利用していないという。独自開発のQoS機能については、基本的に標準化組織への提案などは考えていないとのことで、同社の独自技術として今後製品化を検討するとしている。


IEEE 1394対応機器とUPnP/DLNA対応機器の間を変換するゲートウェイ IEEE 1394機器同士を無線LANで接続するデモ。左右の箱の上にアンテナが載っている

UPnP対応機器と非対応機器を混在させたコントロールが可能

 続いてご紹介するのは日立製作所。こちらはUPnP・DLNAをベースに、UPnP非対応の白物家電やWebカメラなどを1台の機器でコントロールする「シームレスプラグアンドプレイ」をデモンストレーションしていた。

 今回のデモでは、エアコンなどUPnP非対応の機器にエコーネットに似た独自プロトコルのサーバーを組み込み、そこからの情報をコントロールサーバーで受け取り「仮想UPnPレイヤ」で変換して、UPnP対応機器と非対応機器をシームレスにコントロールできるようにしたとのこと。UPnP非対応機器についても、初回の接続時に設定を行なう時点で「仮想UPnPレイヤ」の設定が行なわれるため、それ以降はUPnP対応機器と変わらない形で操作可能だという。

 また、コントロールサーバーにはWebサーバーを内蔵。Webブラウザ機能を搭載したテレビやPCから簡単に家庭内の家電をコントロールできるほか、適当なセキュリティ機能を追加してやれば外部からのコントロールにも対応が可能になるという。具体的な製品化については今のところ未定だとのことだが、今後の開発に期待したい。


シームレスプラグアンドプレイのコントロールサーバー 実際にテレビからUPnP対応機器と非対応機器をコントロールしているところ

DLNAブースでは多くのメーカーの機器を相互接続

DLNAブースで展示されていた、三菱電機のDLNA対応コンテンツプレーヤー
 このほかDLNAブースでは、ソニー、富士通、松下電器産業、東芝、NEC、ケンウッド、デジオンなど、DLNAに参加する多くのメーカーが自社製品をデモンストレーション。マルチベンダー環境で、DLNA準拠の機器同士が相互接続してコンテンツを再生していた。

 ただ、今回各メーカーが出展した機器の多くは試作品であり、技術的な問題が解決したとしても、実際に家庭で利用するにはコスト面などまだまだハードルがあるという印象だ。例えば松下電器産業は、地上デジタル放送対応チューナーである「TU-MHD500」のソフトウェアを改造してDLNA対応にしたものを展示していたが、DLNAに対応するためのソフトウェアのサイズが大きくファームウェア用のメモリのほとんどを使ってしまった結果、通常のテレビ放送が映らなくなってしまった。「かといって、ファームウェアのメモリを増量するとコスト面などの問題が発生するため、実際にDLNAに対応した製品を発売するにはまだ時間がかかりそうだ」(会場スタッフ)という。


シャープのコンテンツサーバー ソニーのDLNA対応オーディオシステム

NTTはセキュリティゲートウェイの動作デモを展示

NTTのセキュリティゲートウェイ
 ネット家電でもうひとつ問題になるのが、屋外からのリモートアクセス時のセキュリティ。これについてはNTTが、9月29日に発表したセキュリティゲートウェイ、並びにIPsec Proxyアダプタを持ち込み、実際に動作デモを行なっていた。

 機能の詳細については先日本誌でもご紹介しているので省略するが、気になるのはNTTコミュニケーションズが推進する「m2m-x」など、NTTグループが開発する他のネット家電の接続システムとの関係。これについて、NTT情報通信プラットフォーム研究所ユビキタスコンピューティング基盤プロジェクトの山田孝二主任研究員は、「m2m-xは、より強力なセキュリティ技術であるIPsecが使えるなどの特徴があり、HGWとは共存可能な技術。どちらが優位というような比較対照ではない」との考えを示した。

 ちなみに山田氏によれば、このセキュリティゲートウェイ、本当はアラビア語で「開けゴマ」を意味する言葉(イフタフ・ヤー・シムシム)にちなんで「シムシム」という名称で発表する予定だったらしいのだが、この「シムシム」という名称が某大手電機メーカーの持つ商標に引っかかってしまうことが判明。発表直前に泣く泣く名前を変更したという裏話があったのだそうだ。今でもこの「シムシム」という言葉には未練があるようで、山田氏は「何かの機会にこの『開けゴマ』というエッセンスを利用したい」と語っていた。

 また、IPsec Proxyアダプタは、実際には初期設定時にユーザーごとに固有の共通鍵をアダプタ内に埋め込み、その共通鍵を利用してIPsecで使われる鍵交換などを行なうことで面倒な設定を省略するという仕組みになっているという。このため、同じ固有鍵を持つアダプタ同士であれば自由に通信が可能になる一方で、実際にサービスとして提供するためにはユーザーごとに異なる固有鍵をアダプタに設定するための仕組み作りが必要になる。山田氏は「固有鍵をネットワーク経由でアダプタに設定する部分で、ユーザーからなんらかの料金を支払ってもらえるようなビジネスができればと考えている」との意向を明らかにした。

 ただ、山田氏は「これらの技術で儲けるつもりはなく、こういった技術を通じてもっと光ファイバを使っていただくというのが我々にとっての究極の目的」とも語り、これらのサービスの利用料金をできるだけ安価に設定して多くのユーザーに使ってもらいたい考えだ。


ゲートウェイの設定画面。左下に“シムシム”の名前が見える IPSec Proxyアダプタの中身

関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2004
  http://www.ceatec.com/

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( 松林庵洋風 )
2004/10/06 12:57

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