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電子コード・RFIDが郵便サービスと融合〜デビットポストカードとは


 「お年玉つき年賀ハガキに本当に現金のお年玉がくっついてくる」という、一見荒唐無稽なことが近いうちに現実のものとなるかもしれない。CEATEC JAPAN 2004・3日目に行なわれた「紙(郵送)媒体が電子武装する日〜デビットポストカード戦略〜」という講演では、NTTデータの吉田淳一氏が、ハガキや手紙にバーコードやRFIDを内蔵させることでそのハガキ等に貨幣価値を持たせ、決済手段としても利用できるようにするという「デビットポストカード」という構想を披露した。


なぜ郵便にバーコードやRFIDを載せるのか?

NTTデータの吉田淳一氏
 そもそもこのような構想に至った背景は何なのか。吉田氏はダイレクトメール(DM)などを利用したマーケティング戦略、そしていわゆるデジタルデバイド・ITデバイド問題の2つが背景にあると語った。

 まずデジタルデバイド問題については、政府のe-Japan計画などの成果により、日本国内におけるインターネットのインフラは世界的に見ても高水準なものとなったとして、政策の成果を評価した。しかし、そのインフラの活用は十分に行なわれているとは言いがたく、特に子供や高齢者層における活用が遅れていると指摘。これに対する政府のu-Japan構想は、成果を上げるにはまだ相当時間がかかると考えられると延べた。

 そこで、「郵便サービスはすでに日本国内におけるユニバーサルサービスとして整ったインフラであり、子供や高齢者でも簡単に利用できるという特性があることから、できるだけこの既存インフラを活用して新規インフラとの融合を図っていくべき」と考えたと語った。

 一方、企業のマーケティング戦略という側面からは、日本企業におけるIT投資が主に間接業務の効率化の分野で行なわれてきたこともあってか、日本企業の半数以上がIT投資の効果に対して不満を持っており、うまくITインフラを顧客拡大に活用できていないという問題を指摘。これに対して郵便のDMは現在でも堅調な伸びを示し、既存顧客の囲い込みなどで大きな効果を発揮していると述べた。そこで、郵便サービスとITインフラを組み合わせることにより、少ない設備投資でIT分野への投資効果を上げることを狙ったという。


ハガキに印刷されたコードで現金を引き出したり買い物したり

 では具体的に「デビットポストカード」とはどのようなものなのか。本来これは「Universal/Ubiquitous Post Card(UPC)」という構想の一環として生まれたものだそうで、あくまでデビットポストカードはその応用例の1つだという。

 当初スタート時のサービスイメージとしては、ハガキやDMなどにバーコードや二次元コードを印刷。コードに対応した情報を「UPC管理センター」と呼ばれるセンターのサーバで一括管理し、各企業やユーザーはコードをPOS端末や携帯電話で読み取り、センターを呼び出すことで、コードに紐付けられた商品情報を見たり、そこに貯められたポイントを商品購入時に利用したりといったことが可能になるという。

 印刷されるコードは、必ず企業向けのバーコードとユーザー向けの二次元コードの2つがセットになっているという点が重要だという。企業向けには、すでに物流の世界で標準的なコード規格となっている「UCC/EAN128」に対応したバーコードを利用。これにより、既存のPOS端末にソフトウェアを追加するだけで簡単にUPCによるサービスに対応が可能で、必要な投資額が少なくて済むという。一方、個人向けには、カメラ付き携帯電話で簡単に読み取れる二次元コードを利用することで、こちらもユーザーは新たに機器等を購入することなくサービスの利用が可能となる。前述の「既存インフラを可能な限り活用する」というコンセプトが活かされていることがわかる。

 UPCをデビットポストカードとして使う場合、基本的なモデルとしては、あらかじめUPCコードが印刷されているハガキを郵便局に持ち込み、そこで入金手続きを取りUPCコードに預かり金情報を紐付けて、センターのサーバに記録。その後、そのハガキを郵便で送り、受取人がそのハガキを郵便局に持ち込むと、UPCコードに紐付けられたお金の情報が呼び出されるので受取人は現金受け取りが可能となる。現金として引き出すと同時に預かり金情報とUPCコードが無効化される――というモデルが現在のところ考えられているとのことだ。

 また、将来的にはコンビニなどと提携し、受取人がUPCコードに入金が行なわれたハガキを持ち込むと、そのハガキでそのままプリペイドカードのように買い物が可能となるような使い方も検討されているという。この結果、冒頭に書いたような「お年玉付き年賀ハガキに本当にお年玉を付与し、そのハガキでそのまま買い物ができる」という世界が実現するというわけだ。


デビットポストカードの例。このように2つのコードがセットで印刷される 想定される利用例。将来的には決済手段や電子投票への応用も検討しているという

DMとして利用した場合には企業側に大きなメリットが

 ただしこれだけでは、別にわざわざ新たなサービスを立ち上げなくても、通常のプリペイドカードや書留などで十分目的は果たせるように思える。果たしてこのサービスのすごいところは何なのだろうか。

 これをDMに応用することを考えた場合、まず大きなメリットとなるのは「粗品の発送コストを下げられる点」だと吉田氏は語る。従来顧客向けに粗品などを発送する場合は封書や宅配便業者を利用するために発送コストがバカにならなかった。また、顧客から見た場合には粗品が自分の不要なものだった場合に不満が残ってしまっていた。これに対しUPCコードを利用すれば発送コストは1顧客当たりハガキ1枚分で済むし、顧客はそのハガキを最寄のコンビニ等に持ち込んで好きなものを購入できるため、双方にメリットがあると吉田氏は説明した。

 さらに、UPCコードに情報を紐付けるのはコードを発送する前とは限らない。例えばアンケート付きのDMの場合、先にUPCコードをDMに印刷して送っておき、それを受け取った顧客がアンケートに答えたことが確認できた段階で初めてそのコードに現金やポイント情報を付与するといったことが可能だという。従来であれば、アンケートの回答が確認できた段階で改めて粗品を発送しなければならなかったために企業は二度手間になっていたのが、これであれば手間は一度で済むし、発送コストも半分で済むというわけだ。

 また、これまでのDMの場合はほとんどの場合「送ったら送りっぱなし」で、果たしてそのDMの効果がどの程度あったのかといった測定を行なうことが難しかったという。これに対して、UPCコードを利用したDMであれば、顧客がUPCコードを利用した時点でその情報がセンターにリアルタイムで集まるため、企業はその情報を元に、レスポンス率や商品の購買動向などかなり精密な効果測定を行なうことが可能になると吉田氏は説明。とくに、デパートなどにテナント展開する専門店チェーンなどでは、レジのPOS情報はデパート側が独占してしまうために専門店のチェーン本部側で素早い効果測定を行なうことがこれまで困難だったが、これによりその問題が解消されるとアピールしていた。


実際の処理フローのイメージ DMとして利用した場合のメリット

将来的には電子透かしやRFIDの利用も検討

NTTデータが想定している市場規模
 吉田氏は最後に、将来構想として、UPCコードをバーコードの形だけではなく、ステガノグラフィー技術を利用した電子透かしやRFIDなどの形でも提供することも視野に入れていると語った。

 バーコードに比べると、電子透かしやRFIDを利用した場合はまずデザイン上の自由度が上がるし、とくにRFIDの場合は、バーコードや電子透かしに比べて汚れに強い、セキュリティを強化できる、複製を防止しやすいといった利点がある。吉田氏は、仮にUPCが全面的にRFIDを利用する形態に移行した場合、年1億枚以上の需要が発生することが考えられるとして、RFIDの低価格化に大きく貢献できるのではないかという考えも明らかにした。

 UPCに関しては、とくにセキュリティ面について「もしUPCコードの入ったハガキを盗まれたらどうするのか」「バーコードをコピーされたら終わりではないのか」などといった問題が考えられ、吉田氏も同種の問題の存在を認めていたが、それに対する対策等については「一部特許の関係があってお話しできない部分がある」として今回は言及を避けた。ただ来年にはこのサービスを実際に開始したいと考えているそうなので、果たしてどういう形で一般に登場してくるのかに注目したいところだ。


関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2004
  http://www.ceatec.com/


( 松林庵洋風 )
2004/10/08 18:38

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