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JATE・TELECの認証を受けずに新製品が発売できる、通信機器の「自己確認制度」


CIAJの適合性評価委員会で副委員長を務める沖電気工業の中村勝弘氏
 以前は、携帯電話やPHSの新機種情報をチェックするために、JATE(財団法人電気通信端末機器審査協会)やTELEC(財団法人テレコムエンジニアリングセンター)のWebページの確認は欠かせなかった。というのも、新機種の発売前に、その機種が国の技術基準を満たしているかの確認としてJATEやTELECの認証を受ける必要があり、さらにその情報は一般に公開されることになっていたからだ。ところが、今年1月からJATEやTELECの認証を受けなくても、各メーカーが総務省に届出を出すだけで新機種を発売できるようになったことは案外知られていない。

 今年から始まった新しい制度というのが、「技術基準適合自己確認制度(以下「自己確認制度」と略す)」だ。幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2004では8日、CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)の適合性評価委員会で副委員長を務める沖電気工業の中村勝弘氏が、この自己確認制度の概要と現在までの利用状況、今後の課題について説明した。


自己確認制度とはいったいどのようなものか?

 通信機器の認証については、平成13年に認証を行なえる事業者が公益法人以外に拡大されたことから、JATE・TELEC以外にもいくつかの事業者がこの認証業務に参入するなどの動きが見られていたが、今回の規制緩和はさらにこれを拡大することで「政府の規制を最小限にすることで効率よい認証を行なう一方で、消費者の信頼を引き続き確保するという趣旨」と中村氏は説明した。

 具体的にまず問題となるのは自己確認制度の対象となる機器だが、基本的には電気通信事業者の提供する通信網に接続される機器のうち「有線機器全て、並びに携帯電話・PHSの端末とコードレス電話機」が対象。もちろんこの対象に含まれている機器であっても、必ず自己確認を行なわなければならないというわけではなく、従来どおりJATE・TELECなどの第三者認証機関による認証を利用することも可能であるほか、自己確認手続の一部(検査・届出など)のみを外部委託することも認められている。ただし有線機器については、各通信事業者が独自に技術的条件を定めている場合は自己確認制度の利用が不可能で、必ず第三者認証機関の認証を受ける必要があることになっているという。

 また無線機器については、現在のところ無線LANやBluetoothなどを内蔵した機器の場合は自己確認が行なえないなど、自己確認制度の利用可能な範囲が非常に狭い。この点について中村氏は「現在これらの機器についても、自己確認制度の対象となるように活動を行なっている」と語った。

 自己確認制度を利用する場合には、同制度を利用する端末の設計概要、端末が技術基準をクリアしていることをあらかじめ定められた測定方法で測定した結果、また実際に製造される端末が設計に合致していることを確認する方法などを、あらかじめ用意された様式に記載して総務省に届け出ると届出番号がもらえるので、各メーカーはその番号を端末に表示して販売を行なう。中村氏はこの手順について「手続きとしては基本的には従来の第三者認証と変わらないが、新たに測定器の管理に関する項目(1年以内に較正を受けたものを利用する等)が増えた」と解説した。

 なお今回の制度改正で、メーカー側には(第三者認証・自己確認の別を問わず)端末に認証番号やマークを表示する等といった従来の義務に加え、新たに検査記録を検査後10年間保存する義務、実際に製造される機器が事前に届け出た設計と合致していることを保証する義務などが課せられる。これに違反すると、従来は違反した機器について認証を取り消されるといった程度で済んでいたものが、今後は「認証番号やマークの表示の禁止(最高2年間)」といった処分が行なわれるとのこと。これにより「違反したメーカーはその間自社製品を事実上市場に出せなくなるため、かなりメーカーにとっては重い処分となる」と中村氏は述べた。さらにこの「表示の禁止」を破った場合や紛らわしい表示を行なった場合などには、懲役・罰金(最高1億円)などの罰則も科せられるという。


今のところ利用は低調、今後積極的な利用のために改善を働きかける

 このように自己確認制度では、今まで国から指定された第三者機関による認証を受けなければ端末を販売できなかったものについて、各メーカーが自分の責任で端末を販売できる裁量を広げたものといえる。中村氏は「ざっくばらんに言って、各メーカーの自己責任という点は変わらない」「自己確認の届出は無料で行なえるので、技術基準を遵守してさえいれば、どんどんメーカーは自己確認に持っていけばよいのではないか」との見解を語った。

 中村氏によれば、今のところ自己確認制度を実際に利用して届出が行なわれた機器は、電波法に基づく無線端末の認定が9件、電気通信事業法に基づく端末の認定が16件に留まっているということで、これまでのところやや低調な状況だという。今後は前述した無線端末に関する自己確認制度の適用範囲の拡大を始めとして、制度の活用に関する技術情報の共有、自己確認と第三者認証のどちらを使うのが好ましいかについてのガイドラインの充実などを図っていきたいとの意向を示した。

 自己確認制度の利用の際に義務付けられる機器の測定法についても「もっといい方法がある」という意見が既に出てきているほか、届出に当たり今のところ電子申請が利用できない点、自己確認制度により届出が行なわれた機器に関する情報の公開が十分に行なわれていない点など、制度の運用に当たって総務省側への不満もいろいろと出てきているとのことで、これらについて今後制度の改善を働きかけていく考えも示していた。


登録認定機関と自己確認制度の流れ 届出の際に記入が必要となる事項

関連情報

URL
  CEATEC JAPAN 2004
  http://www.ceatec.com/


( 松林庵洋風 )
2004/10/12 13:36

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