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10Gbpsの無線通信など、NTTの基礎研究の成果を披露


基調講演を行なうNTT先端技術総合研究所の河内正夫所長
 NTT先端技術総合研究所では15日、研究開発の成果を披露する「NTT R&Dフォーラム2004 in 厚木」を同研究所で開催した。フォーラムでは、NTT先端技術総合研究所の河内正夫所長による基調講演などのほか、通信に関する基礎研究の成果が披露された。

 NTT先端技術総合研究所は、NTTの中でも主に基礎研究を中心とした分野を手がけており、会場では光ファイバやレーザー光源などのハードウェアや、10nm(10万分の1mm)の解像度での加工を行なうナノテクノロジーなどの展示が多く行なわれていた。

 通信技術を中心とした展示コーナーでは、NTTマイクロシステムインテグレーション研究所による120GHz帯の電波を利用した最大10Gbpsの無線通信に関する展示が注目を集めていた。100GHzを超える帯域としては初めて、総務省から7月に実験局免許が交付されていたもので、会場では実際のアンテナを用いて、2本のハイビジョン映像を無圧縮で同時に転送するデモが行なわれた。現在のところ1km~2km程度の距離で10Gbpsの通信が可能ということで、放送局などを中心として高精細動画の無線中継などに利用可能な技術として期待できるという。

 120GHz帯というこれまでにない高い周波数帯を利用するために周波数幅が広く利用でき、10Gbpsの高速通信が実現できるということだが、弱点としては雨などの気象条件の影響を受けることと、宇宙からの微弱な電波を観測する電波天文に影響を与えないようにしなければならないため、引き続き実験を続け実用化を目指すという。


120GHz帯を利用した10Gbps無線通信の概要 実験に使用されているアンテナ。1km~2kmの距離で10Gbpsの通信が可能

 また、同じNTTマイクロシステムインテグレーション研究所の展示では、カメラ付き携帯電話を利用して、撮影した画像に別の画像を合成する技術「PopRi」も来場者の注目を集めていた。仕組みとしては、合成位置を示すマークをプリントした紙を地面に置き、携帯電話のカメラで撮影してサーバーに送信することで、別の画像を合成して送り返してもらうというものだ。サーバー側で、画像中のマークから位置や角度を計算することで自然な合成を実現するということで、利用分野としては家具やインテリアなどの購入前にシミュレーションを行なうといった使い方や、博物館や美術館などのアトラクション展示といった利用法を想定しているという。

 このほか、NTTコミュニケーション科学基礎研究所の成果としては、人の流れをつかむ移動軌跡データベースシステムが展示されていた。GPSなどから取得した位置情報をもとに、小売店や商店街などで人がどのような動きをしているかを分析するシステムで、区画ごとに人数や滞留時間などが把握できるものだ。これまでの交通調査のような地点ごとの測定ではなく、ある特定の人がどのように移動しているかを追跡することで、ある地点の次にどの地点に向かう人が多いかといったデータが把握できる。また、このシステムは人だけでなく、タクシーやトラックなどの配車管理システムなどが利用分野として想定されているという。

 午後に行なわれた基調講演では、NTT先端技術総合研究所の河内正夫所長がNTTの研究開発の現状について触れ、「通信会社の競争が激化することで、NTTの研究開発は縮小してしまうのではないかという声もあるが、そのようなことはない」と述べ、「NTT法では研究開発を行なうことはNTTの責務であるとされているが、そうした法律上の責務の有無に関わらず、今後も産官学との共同研究などを通じて技術開示や研究論文の発表などに務めていくことがNTTの基本姿勢である」と語った。


「PopRi」の画像例。携帯電話で撮影した画像(左)のマークの部分に、サーバー側で人形を合成している(右) GPSなどの情報を利用した移動軌跡データベースシステムの概要

関連情報

URL
  NTT R&Dフォーラム2004 in 厚木
  http://www.ntt.co.jp/forum/2004atsugi/


( 三柳英樹 )
2004/10/18 16:33

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