「つくばフォーラム 2004」初日の21日には、NTT東日本ネットワーク事業推進本部長の大木一夫常務取締役が、「NTT東日本のブロードバンド戦略」と題して特別講演を行なった。
● 東京、神奈川、埼玉ではFTTHがADSLを逆転
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NTT東日本ネットワーク事業推進本部長の大木一夫常務取締役
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大木氏はまず、国内のブロードバンド利用者数を確認。「2004年6月時点ではトータルで約1,600万。最多なのはADSLで約1,200万ユーザー。CATVは着実に伸びて270万ユーザーとなった。FTTHは142万ユーザーだ」と説明。しかし、2004年の3月から6月にかけて伸び率では「ADSLの8%、CATVの4%と比較して、FTTHは25%と高い」とFTTHの成長性を強調した。
続いて、NTT東日本によるフレッツ・ADSLとBフレッツの2003年度加入者を比較。「2003年度はフレッツ・ADSLが85万人、Bフレッツが32万人となった。2004年度はフレッツ・ADSL70万人、Bフレッツ60万人を計画している」という。さらに2005年度では「フレッツ・ADSLが50万人、Bフレッツが100万人」とADSLとFTTHが逆転する見込みだ。
大木氏によれば、「実際に東京では6月時点でFTTHの純増数がADSLを上回った。神奈川、埼玉などの首都圏でも7月からは同様の状況だ」とし、FTTHの普及に自信を見せた。
● FTTHによる“トリプルプレイ”を強化
その後、フレッツ網を利用したNTT東日本のサービスについて言及。テレビ電話端末「フレッツフォン」による多地点テレビ会議や、映像配信サービス「4th MEDIA」による動画配信、IPv6サービス「FLET'S.Net」によるフレッツ網内のP2P通信などを紹介した。
今後は、「FTTHによるトリプルプレイを強化する」という。トリプルプレイとは、1つの回線で「インターネット接続」「IP電話」「映像配信」の3機能を提供すること。「距離や回線状況などにより速度が安定しないADSLと比べて、FTTHは比較的安定しているため、高品質なサービスが提供できる」とし、FTTHの利点を強調した。
大木氏は、特に光通信によるIP電話サービスについて述べ、法人向けの「E-CAS」や集合住宅向けの「ひかり電話サービス」を紹介。いずれも、OAB~J番号での発着信やNTTの加入電話で利用する場合は同番移行できることが特徴で、ひかり電話サービスの場合は110番や119番などの緊急通報も利用できる。なお、大木氏は、一般家庭向け光IP電話サービスについても「そう遠くない時期に提供を考えている」と述べた。
NTT東日本では2005年度以降、電話や専用線、フレッツ網などを統合するネットワークを構築する方針。「バックボーンでは光ファイバの芯線不足が起こっており、光ファイバ共有して利用するために波長多重(WDM)を進めていく」という。「統合されたフルIPバックボーンを背景に、通信と放送の連携、固定電話と携帯電話の連携などを実現する」としている。
関連情報
■URL
つくばフォーラム 2004
http://tsukuba-forum.jp/
( 鷹木 創 )
2004/10/22 12:10
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