NTTグループが主催する通信技術関連展示会「つくばフォーラム 2004」では、光通信を利用した通信技術が多数展示されている。光通信技術そのものだけでなく、光通信と無線を組み合わせて、ADSLなどの提供が困難な地域にもブロードバンドを提供する技術なども展示されている。
● イーサネット技術を活用するGE-PONでバックボーンのコストダウン
光通信関連では、IEEE 802.3ahとして6月に標準化された技術「Gigabit Ethernet Passive Optical Network」(GE-PON)を展示。GE-PONでは広帯域を確保するためにイーサネット技術を活用し、地域IP網から利用者宅までのエンドトゥエンドでイーサネットフレームによる通信が可能だ。伝送容量は最大1Gbpsで、それを光スプリッタを介して最大32までの宅内終端装置(ONU)で共用できる。NTTアクセスサービスシステム研究所では、イーサネット技術を活用することで大幅なコストダウンが実現できるとしている。
なお、GE-PONではQoS的な機能も追加されている。「動的帯域割当(Dynamic Band Allocation)」と言われるもので、ONUごとにデータの送信量を制御。時間ごとに設定可能で、最低保証帯域や最大帯域も設定できる。
● 光+無線によるブロードバンドサービス
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左手前から「WT(Wireless Terminal)」「AP-RFU」「AP-IFU」
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NTT東日本では、福島県原町市で2003年7月からFWA(加入者系無線アクセスシステム)によるブロードバンドサービスを提供している。これは、地域イントラネットの光ファイバ網に、ラストワンマイル回線として26GHz帯のワイヤレスIPアクセスシステム(WIPAS)を組み合わせたものだ。
会場ではWIPASの基地局などを展示。基地局には、通信方式にTDMA/TDD、変調方式にQPSK/16QAMを採用し、イーサネットフレームによるデータ伝送速度で最大46Mbpsを達成した。展示されていた基地局は、光ケーブルを引き込むIFユニット「AP-IFU」と加入者側と通信するRFユニット「AP-RFU」、加入者宅のベランダなどに取り付ける加入者局「WT(Wireless Terminal)」などだ。
NTTではFWAの利点として、「ケーブル工事が不要なため迅速に開通できる」「豊富で安定した26GHz帯域により面的なサービス展開が可能」「宅内配線などの施工簡易化」などを挙げている。会場スタッフによれば、「無線アクセス系技術はこれからも発展する。NTTではIEEE 802.16(WiMax)など世界の技術動向にも注目し、最新技術を開発していく」という。
● 人工衛星を利用した通信システム
NTTアクセスサービスシステム研究所では、通信衛星による「ダイレクトマルチキャスト衛星通信システム」をデモンストレーション。
従来のマルチキャスト衛星通信システムは、通信衛星から一度地上の中継局に対して通信し、中継局から複数の基地局に対して送信する「スター型」といわれるものだった。今回展示されていたダイレクトマルチキャスト衛星通信システムは、「メッシュ型」といわれ、通信衛星から複数の基地局に対して直接送信できる。すでに官公庁への納入を開始しており、船舶などに搭載されているという。
なおデモでは、地上側基地局にNTT-ATの「マルチキャリアグループモデムモジュール」を使用。このモジュールは、19.2MHz~44.8MHzの帯域を入出力でき、最大256キャリアとの同時変復調が可能だ。
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ノートPCの下にあるのが「マルチキャリアグループモデムモジュール」を組み込んだ基地局
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受信状況をモニタリング
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関連情報
■URL
つくばフォーラム 2004
http://tsukuba-forum.jp/
関連記事:NTT東、福島県原町市で40MbpsのFWAサービス
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0613/nttfwa.htm
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・ 「100万回線を誇る日本のFTTHは本物」~NTT山田副社長(2004/10/21)
( 鷹木 創 )
2004/10/22 15:21
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