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米Macromediaエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフソフトウェアアーキテクトのケビン・リンチ氏
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マクロメディアは22日、東京・渋谷でFlashに関するカンファレンス「Macromedia Flash Conference 2004」を開催した。カンファレンスでは米Macromediaエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフソフトウェアアーキテクトのケビン・リンチ氏による基調講演のほか、「インタラクティブメディア」「エンタープライズ」「モバイル&コンテンツ」の3つのテーマによるセッションや、Flash関連製品の展示などが行なわれた。
リンチ氏は、Flashはインターネットに接続されているPCの98%にインストールされており、新しいバージョンをリリースしてから12カ月で80%のユーザーに行き渡るといったデータを紹介。Internet Explorer 6では普及率が80%に達するのに36カ月かかり、Java 1.4では39カ月かかって普及率は26%にとどまっているのに比べて、Flashは最も早くユーザーに普及する環境であると語った。また、現在ではPC以外にも、PDAや携帯電話、デジタル家電などにも採用が進んでおり、Flashはインターネットにおける強力なマルチプラットフォーム環境であることを強調した。
今後のFlashの展開としては、サーバーサイドで動作する製品を強化していくとして、18日に米国で発表された「Flex 1.5」を紹介した。Flashを基盤とするテクノロジーの全体像と今後の方向性が紹介された。Flexは、Flashをユーザーインターフェイスとして使用するアプリケーションを、XMLベースの言語で開発できるサーバーサイドのスクリプト処理システム。ユーザーからの操作によりサーバー側で動的にFlashを作成でき、システムはXMLベースで動作するために既存のXMLベースの環境と連動して動作する点が特徴となっている。
リンチ氏は、東京電力や日産などですでに利用されている、データベースと映像を動的に組み合わせた形でのコンテンツの実例を紹介。従来のWebベースのアプリケーションでは、ユーザーがデータを入力してボタンを押しサーバーにデータを送信し、ページがリロードされて次の画面に進むといった煩雑な操作になっていたが、Flexを利用することでこうしたアプリケーションをFlashベースにすることで、より簡単な操作でリアルタイムで応答し、ビジュアル面でも優れた「リッチインターネットアプリケーション」が提供できると語った。
このほか、講演ではFlashの次期プレーヤーとして開発中の「8 Ball」のデモを公開。8 Ballでは、パフォーマンスを大幅に改善するほか、フォントのアンチエイリアス表現を改善し、高品質な表示を可能にするという。
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特別講演を行なう東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏
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基調講演に続いては、東京大学大学院情報学環教授の坂村健氏による特別講演が行なわれ、ユビキタスコンピューティングの時代におけるコンテンツのあり方などが語られた。坂村氏はT-engineを搭載したPDAや、腕時計型のクライアントなどを使って電子タグを読み取る実演を行ない、今後のコンテンツはこうした多様なデバイスで動作することが前提となると述べた。
すでにT-engine上でもFlashは動作しており、ユーザーにわかりやすいインターフェイスを提供するためには、技術者だけでなくデザイナーなどにも利用者の多いFlashが動作する点は有利になるとした。また、これまではPCというバーチャル空間の中でのコンテンツ作成が主題となっていたが、今後はユビキタスコンピューティングが実現すると、現実世界の中で「商品」といったリアルな形のものと、バーチャルなコンテンツをどのように組み合わせていくのかといったことが、クリエイターには求められるだろうと語った。
会場ではほかにも、Flashを採用したNTTドコモの携帯電話や、ソニーの「AirBoard」などFlashが搭載された機器が数多く展示されており、マクロメディアの担当者がFlashの質問に答えるコーナーなどが多くの来場者を集めていた。
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T-engine搭載のPDA上で動作するFLash
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組み込み機器向けのMontaVista Linux上でもFlashが動作する
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関連情報
■URL
Macromedia Flash Conference 2004
http://www.macromedia.com/jp/macromedia/events/flashcon2004/
( 三柳英樹 )
2004/10/22 17:17
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