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荒竹弁護士、“あやふや”なプロバイダ責任制限法を語る


さくら共同法律事務所の荒竹純一弁護士
 パシフィコ横浜で開催されている「Internet Week 2004」では、「ネット上の法律勉強会 ネット上の迷惑行為に耐え忍ぶISP〜一体いつまで?」と題したプログラムで、さくら共同法律事務所の荒竹純一弁護士がプロバイダ責任制限法についての講演が行なわれた。

 2002年5月に施行されたプロバイダ責任制限法は、「法律がなければ、名誉毀損や著作権侵害が発生した場合、プロバイダがどんな責任を負うのか見当もつかないため、ISPの要求でできたことになっている」という。例えば、作家が盗作した場合は、その管理責任を出版社に求められる。プロバイダ責任制限法以前は、同じようにISPにも監視義務があるという意見があった。荒竹氏は「しかし、監視の責任までISPにあるのでは、事業としては厳しい。ISP事業を発展させるために、責任を制限する必要があった」と成立の経緯を語る。

 一方、「ISPは出版社ではなく、通信事業者なのだから通信の秘密を守る必要があり、内容には一切責任を負わない」とする意見も紹介。荒竹氏自身は、「ISPの行なっている通信事業は1対1の電話のような通信ではなく、不特定多数に“開かれている通信”が多い。すべての責任を負わないという意見も極端なのではないか」とケースバイケースでISPの責任を認めるべきという見解を表明した。


プロバイダ責任制限法の有責事項は“あやふや”

 プロバイダ責任制限法施行以前の裁判では、2001年にNIFTY-Serve(現@nifty)のフォーラムで誹謗中傷があったとし、被害者がニフティとシステムオペレータ(シスオペ)を安全配慮義務違反などで訴えた事件を例に解説。「1審ではニフティとシスオペに責任を求める判決が出たが、その控訴審ではニフティとシスオペに責任なしとの判決が出た」。荒竹氏によれば、「1審、控訴審ともに『誹謗中傷が行なわれたと管理者側が知っていれば、削除義務がある』という考え方自体は一緒」とし、厳格に適用したかどうかで判決に“ブレ”が出たという。

 では、プロバイダ責任制限法はどこまで明確に「誹謗中傷が行なわれたと管理者側が知っていれば」を規定しているのだろう。荒竹氏はISPの免責が認められるには2つの要件のうちどちらかを満たす必要があると述べた。2つの要件とは、1つが「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当な理由があったとき」、1つが「被害者から送信を防止する措置を講するよう申し出があった場合に、誹謗中傷の発信者に対して防止措置を講ずることに同意するかどうか照会した場合において、7日を経過しても同意しない旨の申し出がなかったとき」だ。なお、ISPが権利侵害を認知している場合は、速やかにそうした情報を停止する義務があるとした。

 荒竹氏は、ISPに対しての免責事項「他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当な理由があったとき」については、「“相当な理由”が具体的に規定されていない。そのためにISPの責任を規定する有責事項があやふやになってしまうという技巧的な条文だ」と指摘。「こうした条文では、現場で問題が起きたときにも確定的な判断はできない。私のような弁護士に相談しに来られても、裁判をやらないとわかりません、というような情けない回答になってしまう」という。


匿名で意見を表明できる権利を守る必要があるのか

 また、発信者情報の開示請求権についても言及。プロバイダ責任制限法においては「通信の秘密があるため、無条件に認めているわけではない。権利侵害が明白で、かつ必要性がある場合に限って認めている」という。ただし、「無条件に認めて情報を開示し、その後はISPを介さず当事者間でやり取りしてください、という考え方もある」と紹介。また、荒竹氏は、「特定の人とやり取りするメールなどとは異なり、掲示板などを利用して不特定多数に送信されることを目的とした通信においては、匿名で意見を表明できる権利を守る必要があるのか」とする見解を示した。

 さらに限定的な開示といっても、権利侵害が明白であることや情報開示の必要性をISPが判断してしまっていいのかという問題もあるという。「本来は、誹謗中傷の被害者と、その誹謗中傷の発信者の間の争いだ。いわば『他人の喧嘩』について、権利侵害や開示必要性の度合いをISPが判断することが正しいのだろうか」と疑問を呈した。

 「実際の訴訟では被告であるべき発信者が不在なため、ISPが被告になる。しかし、他人の争いに一生懸命反論するといっても、むなしい気がする」とコメント。とはいえ、社団法人テレコムサービス協会などで構成する「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」からプロバイダ責任制限法のガイドラインも公表されており、「ガイドラインを遵守することでプロバイダの免責につながるほか、一定範囲の権利侵害については被害者の早期救済にもつながる」とし、プロバイダ責任制限法の活用はこれらガイドラインを含めた「これからの運用次第」と結論付けた。


関連情報

URL
  Internet Week 2004
  http://internetweek.jp/


( 鷹木 創 )
2004/12/02 21:40

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