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【 2009/06/12 】
ひろゆき氏&夏野氏が講演「日本のネットは決してダメじゃない」
[18:57]
携帯ゲーム機のような見た目のNGN対応回線品質測定器
[14:28]
ISAO、IPデータキャストを利用したサービスイメージを展示
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【 2009/06/11 】
アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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[18:36]
UQ Com田中社長、高速&オープン志向「UQ WiMAX」のメリット語る
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主催者企画コーナーでは「ServersMan@iPhone」のデモも
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国内初のデジタルサイネージ展示会、裸眼で見られる3D映像など
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【 2009/06/10 】
CO2排出量が都内最多の地域、東大工学部のグリーンプロジェクト
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IPv4アドレス枯渇で「Google マップ」が“虫食い”に!?
[19:29]
UQ Com、7月の有料サービス開始に向けて「UQ WiMAX」をアピール
[19:20]
「Interop Tokyo 2009」展示会が開幕、今年はひろゆき氏の講演も
[14:53]

「オープンな規格でビジネスを作ることが次世代のテーマ」伊藤穰一氏講演


デジタルガレージの共同創業者・顧問の伊藤穰一氏
 デジタルガレージは30日、同社の設立10周年を記念した「ニューコンテクスト カンファレンス 2005」を開催した。午前中に行なわれたキーノートスピーチでは、デジタルガレージの共同創業者・顧問である伊藤穰一氏が「ネットコミュニティ/ブログの未来 ~次なる10年を考える~」と題した講演を行なった。

 伊藤氏はこれまでの10年を「インターネットバブルの時期には、社会を変える本当に重要なインターネットの技術をベンチャーキャピタルや大企業がねじまげてしまい、本来もっと面白くなるはずのものが腐ってしまったと思う」と振り返った。一方で最近の動きについては、「バブルがはじけた結果、インターネットのルーツに戻ることができたのではないか」として、「オープン」「コミュニティ」「シェアリング」といったキーワードを挙げた。

 伊藤氏は、「もともとのインターネットで一番重要だったのはオープンだったこと、つながるものはなるべくつなげようという考え方」として、「一方で、例えばインスタントメッセンジャーは、Yahoo!やMSN、AOLなどが相互に接続できない。これはインターネット以前のパソコン通信の状況と同じで、顧客を抱え込むというビジネスモデルだ」と述べた。しかし、こうした状況は変わってきているとして、Googleが公開したインスタントメッセンジャー「Google Talk」を紹介。「Googleはオープンソース技術であるJabberを使っている。いかに規格をオープンにしながらビジネスを作るかということが、次世代のインターネットのテーマになってきている」と語った。

 また、「もう1つ重要なのはコミュニティ。例えばメールはインターネットのキラーアプリケーションだったが、このことを多くの人は間違えてしまう」として、「企業はコンテンツなどをいかに消費者に売るかというコンセプトばかり考えているが、インターネットで本当に儲かっているのは、個人対個人で何かをやっているところ。eBayは個人対個人のコマースで、ブログは個人対個人のパブリッシング。コミュニティは必ずキラーアプリケーションになるということを忘れてはいけない」と語った。

 こうしたコミュニティを中心に考えた場合には、他人との共有を行なうシェアリングが重要だとして、「例えばLinuxは個人が少しずつ手伝い合ってできたもので、パブリックなもの。あるいはブログを見ていても、ほとんどのブロガーはお金が欲しくてやっているわけではなく、発言したいという欲求からやっている。基本的に個人には、人と人がつながって一緒に何かを作っていきたいというものがニーズとしてあるし、ビジネスモデルとしてもあると思う」と述べた。

 シェアリングによって新たに価値が生まれる例としては、Linuxのようなソフトウェアだけではなく、Wikipediaのようなコンテンツも重要性を増していると指摘。また、著作権については作者が他人に対する利用権限などを明示する「クリエイティブコモンズ」を紹介し、クリエイティブコモンズのライセンスにより利用できるコンテンツが5,400万件に達していることや、米Yahoo!でもクリエイティブコモンズのコンテンツが検索できることなどを紹介した。


 ブログの動向については、「ブログは個人ページの延長でもあるが、記事という小さなコンテンツが流通していくという側面が大きい」として、デジタルガレージが設立したテクノラティジャパンのブログ検索サービスを紹介。通常のキーワード検索だけでなく、ニュース記事に対するブロガーの反応や、ブロガーの間で話題になっているテーマなどを見ることができるようになったとした。また、今後の方向性としては記事や画像にさまざまなタグが付加されていくことで、「例えば現在地の半径1km以内で、10時間以内にラーメンについて書かれている記事、といった条件での検索が可能になる」とした。

 伊藤氏は最後に次世代のWebの概念を表わす「Web2.0」というキーワードについて触れ、「Web2.0と呼ばれるものの中で成功しているのは、周りのものとつながっていて、リアルタイムに関係していて、タグなどでお互いにリンクしているもの。いかにオープンなネットワークの中でやっていくかが重要で、大企業の中で作られていくオープンなプロジェクトもあるだろうが、小さな組織で作るプロジェクトが数多く生まれてくるのではないか」と語った。


関連情報

URL
  デジタルガレージ
  http://www.garage.co.jp/
  テクノラティ
  http://www.technorati.jp/

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( 三柳英樹 )
2005/08/30 18:40

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