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筑波大学大学院山海研究室が開発したロボットスーツ「HAL-5」
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幕張メッセで開催中の「CEATEC JAPAN 2005」で、筑波大学大学院山海研究室(システム情報工学研究科)が開発したロボットスーツ「HAL-5」の体験デモを行なっている。
ロボットスーツとは、装着することで生身の人間の身体機能をパワーアップさせることを目的に開発されたもの。身体障害者が装着することで動作の拡張・強化・補助が期待できる。山海研究室では数年前からロボットスーツを研究しており、今回出展した「HAL-5」は名前の通り5世代目。サイバネティクス、メカトロニクス、インフォマティクスなどを融合した「サイバニクス」テクノロジーを駆使して開発した。装着した人間の皮膚表面から生体電気信号を読み取り、装着者の思い通りに動作する「随意的制御機能」と「ロボット的自律機能」を搭載している。
会場ではHAL-5を展示しているほか、8kgのダンベルを持ち上げる腕の部分のデモンストレーションを体験できる。デモではまず、両腕にセンサーを装着。その上で腕をロボットスーツに通し、肘をしっかり固定した上でダンベルを持ち、準備完了となる。ロボットスーツの電源が入り、ゆっくり肘を曲げるとその動きに追随するようにロボットスーツが力強く腕を曲げる動作を行なう。
事前の説明で「油断しないで注意して扱ってください」と言われてはいたが、実際も思った以上に素早く動く印象だ。体験版では、安全対策として急に動かないように若干の遅れが設定されているため、動き始めるまでには若干のライムラグがあった。コツをつかむには数回の試行が必要だろう。また、ロボットスーツに補助されない手首部分は自分で支えなければならない。
会場スタッフによると「HALでは生体信号を検知できない場合でもロボット的自律機能によって運動パターンを学習し、動作を補助することができる。出力についてもパラメータによって変更可能で、装着者の力の50%もしくは100%というように設定できる」という。
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ダンベルを持ち上げる腕の部分のデモンストレーションを体験できる
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両腕にセンサーを装着
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ゆっくり肘を曲げるとその動きに追随するようにロボットスーツが力強く腕を曲げる動作を行なう
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少々わかりにくいが、左上のグラフが検知した生体信号を表わしている
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展示していたHAL-5のサイズは、全身一体型で高さ1,600mm前後(装着者の体型による)、重量は全身一体型で24kg、下半身型で16kg。バッテリーで駆動し、稼動時間は2時間程度。立ち上がり、座り、歩行、階段昇降といった日常動作が可能だという。なお、HALでは装着者がHALの足の甲部分に乗るスタイルのため、基本的には重さは感じないな仕組だ。
山海研究室ではHALの実用化に向けてベンチャー企業「CYBERDYNE」を設立。2005年秋には病院で試験的にHALを導入するという。なお、価格は明らかにしていないが、会場スタッフは「高級車並の価格になる」としている。
関連情報
■URL
CYBERDYNE
http://www.cyberdyne.jp/
筑波大学大学院山海研究室(システム情報工学研究科)
http://sanlab.kz.tsukuba.ac.jp/
( 鷹木 創 )
2005/10/05 12:47
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