「NTTグループ コミュニケーションEXPO」においてNTTグループの最新技術や現在進行形の研究開発を紹介するテクノロジーラボでは、ネットセキュリティ関連の出展が行なわれていた。
● 指先サイズのチップに指紋認証機能が納まる「ワンチップ指紋認証」
NTTマイクロシステムインテグレーション研究所では、指先サイズのチップに指紋認証機能を搭載した「ワンチップ指紋認証」を展示していた。指紋の読み取り・照合・登録など、指紋認証に必要な機能を11mm×15mm×1mm(幅×高さ×厚さ)のチップに搭載する。指紋の照合については、センサに指を置いてから約1秒で判定される。
従来は、センサで読み取った指紋をプロセッサで認証していたため、PCや携帯電話など大きなサイズの製品にしか適用できなかったという。ワンチップ指紋認証を用いることにより、サイズの小さな製品やプロセッサを持たない製品にも簡単に指紋認証を取り込めるため、あらゆる製品のセキュリティを向上できるとしている。
会場では、自転車のロックや金庫に搭載したワンチップ指紋認証で、鍵の開閉を行なうデモや、ワンチップ指紋認証を組み込んだテレビリモコンなどが展示されていた。ワンチップ指紋認証は2005年10月にサンプル出荷を開始。現在の単価は3,000円程度だが、量産が進めば1,000円程度に抑えられるという。
|
|
指紋サイズのチップに指紋認証に必要な機能がすべて搭載される
|
ワンチップ認証を搭載したリモコンとUSBメモリ
|
● データトレーシングシステムで生鮮食品の物流過程の品質を管理
NTT未来ねっと研究所では、無線タグリーダを用いたデータトレーシングシステムを展示。2005年8月には青森県との共同実験において、青森県の倉庫から東京都の市場までりんごを運搬する過程の品質を管理するために同システムが用いられた。
このデータトレーシングシステムは、生鮮食品などの物流品に温度・湿度・照度・振動などのセンサ情報を取得する無線タグリーダを同梱することによって、物流過程の品質管理を行なうというもの。倉庫や市場に無線タグを設置することにより、りんごの移動経路を把握できるとともに、盗難された場合にすぐに気づくなどのメリットがある。
通常のトレーシングシステムではモノに無線タグを貼り付けて、無線タグリーダを各所に設置するケースが多いという。この場合、無線タグが発信する電波をリーダ受信し、モノの場所や移動状況を把握する。
今回展示したシステムでは、無線タグリーダを移動させ、リーダが移動する範囲に電池を内蔵したアクティブ型の無線タグを設置している。NTT未来ねっと研究所によれば、「無線タグはリーダに比べて安価で、しかもアクティブ型の無線タグは電源確保やネット接続が不要なため、低コストでトレーシングシステムを構築できる」としている。
そのほか、三菱電機との共同開発により、暗号プロトコルにおける標準規格(IETF Standard Track RFC)の暗号方式として採用された暗号アルゴリズム「Camellia」や、DDoS攻撃に対してファイアウォールをインターネット上の各所に配置することにより、攻撃元に最も近いところで不正パケットを遮断する「MovingFirewall」などを展示していた。
|
|
無線タグリーダ
|
青森県との実証実験では、りんご型の模型の中にリーダを内蔵した
|
関連情報
■URL
NTTグループ コミュニケーションEXPO
http://www.ntt.co.jp/expo2005/
( 増田 覚 )
2005/12/20 17:46
- ページの先頭へ-
|