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NTT東日本の高部社長、Bフレッツの工事短縮化を急務に


NTT東日本(東日本電信電話) 代表取締役社長 高部豊彦氏
 「NTTグループ コミュニケーションEXPO」で21日、NTT東日本(東日本電信電話) 代表取締役社長 高部豊彦氏による講演「NTT東日本の光ブロードバンドの取り組み」が開催された。東日本エリアを担当する地域会社としてのブロードバンド戦略について、具体的事例を挙げながら解説した。


2005年はBフレッツが急伸

2004年11月を境に、フレッツ・ADSLとBフレッツの単月純増数が逆転
 高部氏はまず、ADSLを始めとした各種ブロードバンド回線全般の市場状況を説明。「9月末時点で国内のブロードバンド回線契約は約2,100万件。世帯ベースで計算すると、約40%の普及率だ」と語った。さらに「2,100万契約のうち、NTT東日本および西日本の合計シェアは37%前後」と補足、市場競争の激化を伝えた。

 一方、FTTHサービス「Bフレッツ」は急伸した。高部氏も「サービス開始当初こそは苦戦したが、2005年はかなりの勢いで伸びた」と話す。具体的には、全国で約400万のFTTHサービス契約のうち、約6割に相当する約240万件をNTT東西のサービスが占めるという。

 1カ月あたりの契約純増数の観点からみても、Bフレッツの勢いは顕著だ。「2004年11月には単月での純増数がフレッツ・ADSLを上回り、逆転した」と解説。今年11月時点では、フレッツ・ADSLの単月純増が1万件前後だったのに対し、Bフレッツは約8万5,000件と圧倒的。高部氏自身も、普及への手応えを感じていると話す。

 また高部氏は、「電話、高速インターネット、映像配信の3つを行なうトリプルプレイに通信各社取り組んでいるが、もはやクワトロプレイ(トリプルプレイに移動通信を加えた4種類のサービスを行なうこと)の時代ともいわれる」と、急激な市場変化に言及。取り扱い分野の拡大によって、異業種企業の参入が活発化しており、今後も企業間の提携や合従連衡が促進されていくだろうとした。


FTTHならではのサービス・コンテンツが重要に

光ファイバ環境向けに提供されるサービス
 一方で高部氏は、光ファイバ回線上で活用するアプリケーションの重要性を指摘。「どんなにBフレッツが普及したとしても、お客様から見て『何ができるのか』という点が重要なのは変わらない」とし、光ファイバならではの魅力的なサービスを提供しなくてはならないと語る。

 その具体的な取り組み例として、Bフレッツ利用者向けのIP電話サービス「ひかり電話」を挙げた。11月にはサービスを拡充し、複数の電話番号が使える「マイナンバー」、2回線分の同時通話が可能な「ダブルチャネル」をオプション提供している。

 広帯域サービスの筆頭である映像配信にも取り組んでいる。パソコン向けの「フレッツ・スクウェア」、NTT東日本の子会社であるぷららネットワークスがセットトップボックス向けに行なう「4th MEDIA」など、すでに複数のサービスを展開中だ。また光ファイバを使ったマンション向け映像配信サービスのオプティキャストとも協業し、戸建住宅への映像配信サービスも手がけたいという。

 社内の電話内線網をIP化・モバイル化する「モバイルIPセントレックス」という動きについても対応を始めた。すでにグループ会社であるNTTドコモからは無線LAN対応型携帯電話を法人向けにリリースしており、高部社長も「電話機が事務机の上にドンと置いてあるよりも、モバイル化したほうが利便性の向上にも繋がる」とコメント。固定電話機からモバイルへの移行が急速に進む現状を伺わせた。


光ファイバ設置工事期間の短縮へ

 NTT東日本は、国内の東日本エリアにおいてのみ営業する「地域会社」。それだけに、各地の地域特性を考慮したサービス展開に注力しているという。講演中では、自治体サービスや医療面での事例を紹介。福島県の一部地域では、過疎地域向けの公共タクシー配車事務や遠隔医療システムにNTT東日本のブロードバンド関連サービスが使われている。

 さらに、電話交換機を保守・運用する各地の電話局を、データセンターとして転用する試みも始めている。電話局は「もともと、重量のかさむ電話交換機を設置していたため、非常に頑強にできている。社内基準では震度7にも耐える設計」(高部氏)。災害対策上の観点からデータセンターを各地に分散化しようという需要にも応えられるという。

 そして高部氏が、Bフレッツの普及に向けて課題としたのが、「工事期間」だ。「現在、Bフレッツを申し込んでから開通までの日数がかなり長くなっている。またお客様から最初のお問い合わせをいただいた際に、明確な工事日が回答できていない」と説明。工事待ち期間の短縮や、土・日曜日の工事実施にも可能な限り取り組んでいきたいという。そのためには工事現場作業の効率化も急務としており、工事部材の仕様見直しも行なう予定だ。

 加えて、Bフレッツ関連サービスや周辺機器が増えている現状を踏まえ、専門サービスセンター「光サポートセンター(仮称)」を新たに設置する計画。利用者からの問い合わせや加入申し込み、修理依頼といった多種多様な案件に対して、ワンストップで回答できるようにする。

 最後に高部氏は、「NTT東日本は、地域に住むお客様にとって、NTTグループと接する上での『ファーストコンタクト』となる会社であり、身近な存在。今後とも引き続き、ご協力をお願いしたい」と聴衆に挨拶。講演を締めくくった。


申込から工事までの期間短縮が課題に 顧客向けのサービスセンターも新設予定

関連情報

URL
  NTTグループ コミュニケーションEXPO
  http://www.regi-expo2005.jp/
  NTT東日本
  http://www.ntt-east.co.jp/


( 森田秀一 )
2005/12/21 18:22

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