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総務省 情報通信政策局 地上放送課の今田(こんた)敏明課長補佐
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第6回ファイバーオプティクス EXPOの専門技術セミナーでは、総務省 情報通信政策局 地上放送課の今田(こんた)敏明課長補佐が登壇。2005年7月に公開された「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」の第2次中間答申の概要をベースとして、総務省の地上デジタルに対する取り組みを説明した。
今田氏は2005年7月に公開された第2次中間答申について、「光ファイバなどによるIPでの地上デジタル再送信で話題となったいわくつきの中間答申」と前置いた上で、「地上デジタルを今までの地上アナログの延長線であり、NHKも含めた民間主導で進めていくことが大原則」であると説明。一方で2011年に予定されている地上アナログ停波に際し、「あと6年という短い期間の中で地上デジタルを普及させていくために、デジタル技術を取り入れたあらゆる手段を検討し、その中で良いものは積極的に取り入れていく」姿勢を示した。
通信と放送の融合という観点に対しては、「放送と通信におけるデジタル化や通信のブロードバンド化、これらに伴う技術革新の観点から融合は当然の流れ」とした上で、「端末」「伝送路」「事業体」「コンテンツ」という4つの観点における通信と放送の融合を説明。制度上特別な制約の無い端末、事業体、コンテンツに対し、伝送路の融合に関しても放送法における受委託制度の導入や電気通信役務利用放送法などで対応を進めており、すでに役務利用法放送を利用した事業者は59社に上るとした。
ただし、地上デジタルのIP再送信に関しては、「地上波中継局を使って各家庭に届けることがあくまで原則」という姿勢を改めて強調。「地上デジタルを普及させるためとはいえ、なりふりかまわず無定義に配信することはない」とし、「テレビはほとんどの家庭に普及し、誰でも難なくできる操作性や、情報の同報性といったメリットも大きく、国民にとっての基幹メディアである」とコメント。「こうした基幹メディアとなり得たのは、東京タワーをはじめとする放送局から伝送されているからだ」と、あくまで地上デジタルは地上波放送を中心に進めていくとの認識を示した。
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第2次中間答申の骨子
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地上デジタルに対する基本的な考え方
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一方で、「50年もかけて整備してきた地上波中継局を、(残り6年という)限られた短期間で移行するには工夫も必要」であり、「既存の通信手段も上手に織り込んでいくことが必要ではないだろうか」との考えも披露。2006年にはSD品質(通常画質)で、2008年にはHD品質(ハイビジョン画質)で地上デジタルをIP再送信するという総務省の方針を踏まえ、3月までに遅延や品質などIP再送信における課題を検証する実証実験を実施、「放送事業者が納得できるものができるのか、各事業者が持っている情報を合わせて広く検討していく」と述べた。
光ファイバを利用したIP再送信以外のインフラも積極的に活用していく。今田氏は自治体などが独自に構築したネットワークインフラを例に挙げ、「こういったものも地上デジタルの伝送路として活用できるのでは」と話す。また、衛星を利用した再送信についても「離島や山間部など広範囲をカバーするための選択肢としてあるだろう」との考えを示した一方、「衛星の電波を携帯電話で受けることが難しいなど、ワンセグ放送に課題がある」と指摘。衛星経由の放送では天候の影響を受けやすいというデメリットも踏まえ、2月には雪対策を考えた北海道での衛フィールド実験を行なうとした。
今田氏は地上デジタルのコピーワンス見直しについても言及。「ユーザーから不満が多く上がっており、これが原因で地上デジタルの普及が滞っているのではいけない」との考えから、JEITAを中心に2005年から議論を進めているものの、「内容が非常に重たいものであり、2006年末の情報通信審議会に対する報告でも『引き続き検討が必要』とした。非常に白熱した議論が続いており、(コピーワンスの見直しは)もう少し時間をかける必要があるだろう」との現状を説明した。
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IPマルチキャストを利用した地上デジタル再送信を2006年に開始
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地方公共団体のインフラも積極的に活用
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関連情報
■URL
第6回ファイバーオプティクス EXPO
http://www.foe.jp/
関連記事:JEITA、「コピーワンス見直し」について提案内容を説明[AV Watch]
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20060111/jeita.htm
■関連記事
・ 総務省、2006年よりIP網を利用した地上デジタル再送信の方針を明らかに(2005/07/29)
( 甲斐祐樹 )
2006/01/19 20:31
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