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IE 7でのIDN対応も目前、日本語ドメイン名協会が活動を集大成


日本語ドメイン名〜インターネット標準策定の軌跡
 日本語ドメイン名協会(JDNA)は1日、書籍「日本語ドメイン名〜インターネット標準策定の軌跡」(宇井隆晴著、JDNA監修、インプレスR&D発行、定価2,415円)が出版されたのを記念して講演会を開催した。

 JDNAは、日本語ドメイン名の普及・促進を目的として、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)などが発起人となり2001年7月に設立された。当時は国際化ドメイン名(IDN)という言葉もあまり知られていない時期で、日本語ドメイン名を含むIDNを扱えるアプリケーションの開発・普及を促す必要があった。また、国内に向けてIDNに関する情報を提供したり、逆に日本国内のニーズをIDNの標準化の議論の場に持っていく役割も求められていたという。

 しかし現在では、同書の著者であり、JDNAの幹事も務める日本レジストリサービス(JPRS)の宇井隆晴氏によると「晴れて、Internet Explorer(IE)7のIDNサポートが目前に迫っており、JDNAもほぼ役割を終えてきたかと思っている」という。活動の集大成として、日本語ドメイン名やIDNの標準化に関してさまざまな関係者が取り組んできたことを書籍として記録に残すことにした。

 同書では、関係者同士でやりとりされたメールの文面なども紹介しながら、IDNの標準化の過程が描かれている。「日本語ドメイン名の歴史を知ってほしいということももちろんあるが、日本語ドメイン名に限らず、インターネットの標準を国際連携で作っていくプロセスとはどういうものなのか、多くの人にも知ってもらいたい」(宇井氏)としている。


IDNの標準化を日本が牽引してきたことは誇り〜JPRSの堀田博文取締役

日本レジストリサービス取締役の堀田博文氏
 講演会ではまず、JPRS取締役の堀田博文氏が「日本語ドメイン名の過去、現在、そして未来」と題して講演した。

 堀田氏は、IETFなどにおけるドメイン名の国際化へ向けた歴史を振り返った後、現在の状況について、ブラウザ用のプラグインを入れなければ日本語ドメイン名が使えなかった「氷河期」は脱したと表現。使い勝手の悪かった状況は解消されつつあり、「ブラウザや検索サービスではかなり日本語ドメイン名を使えるようになっており、ブラウザで未対応なのはIEだけと言ってもいい」と説明した。ただし、IEでも年内にリリース予定のIE 7で対応することになっており、日本語JPドメイン名の登録数も上昇傾向を示すとの予測を示した。

 また、2月に決定した政府の「第1次情報セキュリティ基本計画」の中で、「政府機関のドメインであることが保証されるドメイン名」とは、「属性型jpドメイン名のうち『go.jp』ドメイン名、及び汎用jpドメイン名における日本語ドメイン名の中で行政等に関するものとして予約されたドメイン名」を指すとされていることを紹介。例えば、誰でも取得できる「自衛隊.com」ではなく、第三者が取得できない「自衛隊.jp」のような日本語JPの予約ドメイン名が、政府機関のなりすまし対策として重要視されていると説明した。堀田氏によれば「今後、政府機関のドメイン名は日本語JPドメイン名が標準になっていく」という。

 さらに未来については、「『.jp』の部分が『ドットニッポン』と書ける日がいつ来るのか」という議論があることを挙げた。TLDの部分まで国際化したいという要求は、特にアラブや中国で強いという。技術的課題のみならずポリシー的課題もあり、ICANNの中で検討が始まっていると説明した。

 さらに、アットマークの左側も日本語や中国語にしたいという、メールアドレスの国際化についてもIETFで集中的に議論されているという。時期については「技術的標準化に2年ぐらい、メールアドレス全体が日本語になるのは早ければ3〜5年ぐらい」との見通しを示した。

 最後に堀田氏はインターネットの国際化という観点で、インターネットで物理的に世界とつながっていることや各言語のスクリプトが使えること、自国語ドメイン名が使えることなどは「環境でしかない」と指摘。「環境だけではなく、アプリケーションでその字が使える、コンテンツがあるというところまで行かなければ、インターネットは国際化されたとは言えない」と強調した。「例えば、書き言葉がないような言語は世界中にあるが、そういう言語を使う人々がインターネットを使うにはどうすればいいか?」といった議論も必要だという。そして、このようなインターネットの国際化の中で、日本語ドメイン名を含むIDNの標準化を「日本が牽引してきたことは誇っていいことだ」と述べて講演を締めくくった。


信頼できる日本語ドメイン環境の確立が課題か〜成城大学・野島久雄教授

成城大学社会イノベーション学部の野島久雄教授
 講演会では続いて、成城大学社会イノベーション学部の野島久雄教授が「“日本語.jp”はわかりやすいか? 国際化ドメイン名の心理的評価」と題して講演。ローマ字や英語のアルファベットによるドメイン名と比較して日本語ドメイン名がわかりやすいかどうか、心理実験の枠組みから検証した結果を紹介した。

 この実験は、20歳代の大学生や60歳代の高齢者を被験者として行なったもので、広告や雑誌記事などを想定したテキスト、音声などでドメイン名を提示し、認知のしやすさや記憶のしやすさ、入力のしやすさなどを検証した。

 全般的に日本語ドメイン名は、テキスト・音声いずれの方法で提示した場合も、認知のしやすさや記憶のしやすさなどの点でローマ字や英語よりも優れていたという。ローマ字は文字を読み取るのが困難であり、英語は文字を書くところが困難だった。これに対して、日本語はいずれも優位性があった。また、単語の長さについて見ると、ローマ字と英語は長い単語になると成績が悪化したが、日本語は長い単語でも優位だったとしている。さらに、日本語の単語では文字数が少ないことから、携帯電話からの入力に日本語ドメイン名が向いているという。結果から明らかなように「言うまでもなく日本語が使えたほうがいい。日本語ドメイン名環境があると考えれば、間違いなく、日本人にとっては日本語のほうが英語やローマ字よりはわかりやすい」(野島教授)。

 ただし、この実験では被験者に対して事前に日本語ドメイン名についてレクチャーするなどしている。そもそも、日本語ドメイン名というものがあるということを知っており、実際に日本語ドメイン名が使えるということが前提となっている。野島教授は「問題は、日本語ドメイン名があると思わない、あるいは、あるかどうかわからないという段階になると、『日本語ドメイン名があるのかな、ないのかな』という1つ余計な判断をしなければならない」と指摘する。

 その例として野島教授は、電車内で見かけたという「エイズ予防財団」の広告の例を挙げた。野島教授が後で調べようと思ってドメイン名を覚えようとしたが、複雑な英語の訳語でなかなか覚えられなかったという。このような場合、日本語ドメイン名があるかどうかわからなれば、試しにいったん日本語ドメイン名でアクセスし、エラーになったらGoogleで検索し直すという作業が必要になる。「『エイズ予防財団.jp』というドメイン名が確実にあるんだよ、という信頼感を持たせることができれば、あるいはそういう環境が出来上がりさえすれば、日本語ドメイン名は非常に有利な側面があることは間違いない」との見方を示した。

 なお、この研究結果は、「日本語ドメイン名〜インターネット標準策定の軌跡」内の1つの章で紹介されている。


関連情報

URL
  日本語ドメイン名協会
  http://jdna.jp/
  日本語ドメイン名〜インターネット標準策定の軌跡
  http://home.impress.co.jp/reference/2260.htm
  関連記事:「日本語ドメイン名協会」が発足
  http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0713/jdna.htm


( 永沢 茂 )
2006/06/06 15:33

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