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「ネット世論に信憑性はあるのか?」インターネット選挙の今後を議論


会場には、メディア関係者やブロガー、学生などが詰めかけた
 「ネットは参院選に影響を与えたか?」。29日に投票が行なわれた参議院選挙にインターネット上の言論が与えた影響について議論するシンポジウムが、東京都内で30日に開催された。

 パネリストは、ジャーナリストの佐々木俊尚氏、ブロガーの藤代裕之氏、駒澤大学グローバルメディアスタディーズ学部准教授の山口浩氏、司会は上智大学新聞学科教授の橋場義之氏が務めた。会場には、メディア関係者やブロガー、学生など60人が詰めかけた。

 なお、今回のシンポジウムは、パネリストらが執筆した書籍「メディア・イノベーションの衝撃 爆発するパーソナル・コンテンツと溶解する新聞型ビジネス」の刊行を記念して開催されたもの。主催は、情報ネットワーク法学会・デジタルジャーナリズム研究会。


メディアとネットが「自民けしからん」で一致、ネット世論が盛り上がらず

上智大学新聞学科教授の橋場義之氏(左)とジャーナリストの佐々木俊尚氏
 「ネット選挙と騒がれたが、全然盛り上がらなかった」と語るのは佐々木氏。前回の総選挙では、小泉前首相を支持する意見が多かったインターネット上の言論と、マスメディアの意見が対立する構図が見られた。しかし、今回の参院選では、マスメディアとネットの世論が、「自民党けしからん」という意見で一致。対抗する言論が生じる余地がなかったことから、インターネット上の言論が盛り上がらなかったのではないかと分析した。

 インターネット上の選挙活動については、民主党の小沢一郎代表が出演した「ニコニコ動画」のコメントが“炎上”状態になったことを引き合いに出し、「インターネットには善意も悪意もある。今までマスメディアだけを相手にしていればよかった国会議員が、どれだけ耐えられるか」という試練が出てくると指摘。「今後は公職選挙法改正の動きが高まりそうだが、このような問題が出てきて、『やっぱりネットはダメだよね』となる可能性もある」との考えを示した。

 今回の参院選を「安倍自爆選挙」と命名したブログ「ガ島通信」運営者で元新聞記者の藤代氏は、当初、多くのブロガーが民主党と自治労の関係に着目していたことを指摘。しかし、この問題が争点となる前に、自民党が数々の失策を犯してうまく対処できなかったことと、赤城徳彦農相の実家の門構えを見て投票が決まってしまったと話した。

 ただし、参院選で大勝した民主党とネット世論の関係については、自民党のスキャンダルを追求すると、民主党にも同様の問題が発生する「ブーメラン現象」がインターネット上で話題になるなど、「脇の甘さが目立つ」とコメント。今後、自民党と民主党のどちらかを選ぶかという状況になったとき、脇の甘さが致命傷になりかねないと述べた。


支持政党に好意的なブログをばらまく「ネット世論オプティマイゼーション」も

駒澤大学グローバルメディアスタディーズ学部准教授の山口浩氏(左)とブロガーの藤代裕之氏
 ブログ「H-Yamaguchi.net」を運営する山口氏は、自らのブログに寄せられたトラックバックの大半が「ボット」によって作成されたブログであったことを挙げ、ブログ検索サービスで収集するネット世論の信憑性に疑問を呈した。山口氏によれば、これらのボットブログは、ニュースを自動収集してリンク集のように仕立てられたもので、トラックバックを自動送信する機能があるという。

 山口氏は、ボットブログの技術が政治の世界で悪用された場合、「ブログ検索サービスが収集するネット世論は、ボットブログの集積という恐れも出てくる」と指摘。検索結果のページの表示順の上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫する「サーチエンジンオプティマイゼーション(SEO)」ならぬ、「ネット世論オプティマイゼーション」が導入されかねないとして警鐘を鳴らした。

 この意見については、藤代氏と佐々木氏からも賛同する意見が寄せられた。「政党に好意的もしくは悪意的なブログをばらまくことは技術的に可能。ブログに書かれたキーワードだけを収集してネット世論を抽出するだけではボットブログを防げない。マスメディアが、この『ネット世論』に引っ張られて記事を書いてしまうこともあり得る」(藤代氏)。「検索エンジンの性能が低かった頃、何度検索してもポルノサイトが最上位に表示されることがあった。その対策方法と同じように、トラックバックの量ではなく質を判断するような集合知のレベルに行かざるを得なくなるだろう」(佐々木氏)。

 このほかインターネットと選挙の関係については、「ネット選挙はまだ何も始まっていない。議論の材料はこれから出てくると思うが、それを一つ一つ考えればいい」(佐々木氏)、「公職選挙法はテレビの活動までしか想定していない。ネットが発達したという意味では、有権者が自由にアクセスできるようになればいい」(橋場氏)、「ネットの選挙活動だけでなく、投票も紙を投票箱に入れるだけでいいのかも考える余地がある」(山口氏)など、公職選挙法の改正によりネット選挙の解放を求める意見が多く寄せられた。


関連情報

URL
  FPN-イベント案内
  http://www.future-planning.net/x/modules/eguide/event.php?eid=45

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( 増田 覚 )
2007/07/31 16:11

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