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「日本はWeb 2.0を飛び越してモバイルに」、オライリー氏と伊藤穰一氏対談


 Webの最新技術とビジネスに関するカンファレンス「Web 2.0 EXPO Tokyo 2007」が、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで15日と16日の2日間開催される。15日の午前中にはキーノートスピートとして、「Web 2.0」という名称を提唱した米O'Reilly Mediaの創業者でCEOのTim O'Reilly氏が登壇。日米のWeb 2.0を巡る状況の差などについて、ネオテニーの代表取締役社長である伊藤穰一氏と対談した。


Web 2.0はまだ発展途上、ビジネスの可能性はすべての企業に

Tim O'Reilly氏
 O'Reilly氏はまず、「Web 2.0」という言葉について改めて解説。「Web 2.0というのは、Webの新しいバージョンのことではない。2003年にいわゆる“ドットコムバブル”がはじけて、多くの人はWebの改革は終わったと思ったが、私たちはこれからもまだまだWebの可能性はあると思い、会議を開いた。そして、これこそがWebの2番目の波になるというものを、2.0と呼ぶことにした」と説明した。

 その上で、「ドットコムバブルがはじけた後も生き残った企業は、どのようにインターネットを使うのか、その可能性をどうやって最大限に活かすのかということを理解していた」という共通点があると説明した。

 インターネットで何ができるかという点では、最も重要となるのは製品の開発にユーザーが参加できる点であり、LinuxやMozillaなどのオープンソースソフトウェアがその代表例だとした。Webでも同様に、ユーザーが作ったコンテンツを集めてサービスを開発した所が成功を収めているとして、Yahoo!やGoogle、Wikipedia、Flickrなどの例を挙げた。

 O'Reilly氏は、「Web 2.0はまだ発展途上であり、ビジネスモデルも新しいものが次々と考え出されている。また、Web 2.0のビジネスの可能性はベンチャー企業だけでなく、すべての企業に与えられている」とコメント。これを日本にあてはめて考えてみるとどうなるかを、伊藤氏とともに考えてみようとして、壇上に伊藤氏を招いた。


Web 2.0の次の革命がモバイルで起きるとすれば日本にもチャンスが

O'Reilly氏と対談する伊藤穰一氏
 Web 2.0を巡る米国と日本の状況の違いについて意見を求められた伊藤氏は、日本には依然としてベンチャー企業は少なく、大企業も旧来のシステムをようやく置き換えた段階であり、Web 2.0のような革新への対応は遅れがちだと指摘した。

 また、米国のベンチャー企業などの日本進出についても、「日本の市場規模はとても大きく、日本国内だけを相手にしていても商売が成り立ってしまう。日本市場というのは世界から独立している所があり、海外のブランドもそのままでは通用しない」と説明。過去の例からは、マイクロソフトやヤフーは日本に強力なパートナーが存在したことが拡大の大きな要因になったのではないかとして、日本国内にパートナーがいないと海外の企業が日本で成功することは難しいのではないかとした。

 一方で、O'Reilly氏は日本の進んでいる点としてモバイル分野を挙げ、「米国では、『Web 2.0の次の革命はモバイルで起きる』といった話をする人が多い。日本はWeb 2.0を飛び越してモバイルに進んだと言えるのではないか」とコメント。伊藤氏もこの意見には同調し、日本では既に若年層ではWebよりもモバイルの方が影響力があり、データ通信の定額サービスなど、イノベーションが起きるための素地はあるとした。

 ただし、モバイルの分野でも日本は世界から見ると独自の部分があり、例えばキャリアが端末メーカーに強い影響力を持っているなど、海外での革新的なサービスやハードウェアがそのまま日本には入りづらい状況にある点などが問題点だろうとした。

 また、伊藤氏は日本の有利な点は「日本の消費者は最も先進的で、この消費者の志向からサービスのアイディアを得ることができる」ところにあるとして、ソフトウェアの分野でも消費者志向を追及することで、より革新的な製品が生まれるのではないかと説明。「日本の大企業にも起業家にもチャンスはあるか」というO'Reilly氏の質問には、「とにかくリスクを取ることが重要だが、日本も変わってきておりチャンスはあると思う」と期待を語った。


関連情報

URL
  Web 2.0 EXPO Tokyo 2007
  http://www.cmptech.jp/web2expo/


( 三柳英樹 )
2007/11/15 17:28

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