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イベントレポート
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YouTube、オンラインゲーム、ニコニコ動画に共通する点とは

IGDA日本代表の新清士氏が講演

 14日に開催された「OGC 2008」で、国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本の代表である新清士氏が「オンラインゲームとニコニコ動画の間~ゲームの生産消費活動で何が起きているのか~ 」と題して講演を行なった。海外の著作などを紐解きつつ、ユーザー自身がコンテンツの作成を担うであろう将来社会のあり方を展望した。


「プロシューマー」の時代に確実に近付いている

国際ゲーム開発者協会日本の代表である新清士氏

スウェーデン製の物理演算ソフト「Phun」などは無料。ユーザー自身がコンテンツを作るためのハードルは下がってきているという
 新氏はまず、ユーザーによって作成されたコンテンツがムーブメントを巻き起こした例として、2007年に発売されたXbox 360用レースゲーム「Forza Motorsport 2」の例を紹介。四角形や丸形のステッカーを複雑に組み合わせて著名アニメキャラを再現する試みが積極的に行なわれ、さらにそのムービーが「ニコニコ動画」や「YouTube」で公開されて国内外の注目を集めた。

 これ以外にもPC用ソフトの内容をユーザーが改変し、既存のキャラクターと組み合わせてしまう例は多いという。これらは著作権的に問題のあるケースがほとんどだが、一方で質的に優れたものも登場している。「こういったMOD文化が世界に広がっている」と新氏は語る。

 コンテンツを作成するためのハードル自体も下がっている。「『Phun』というスウェーデン発の2D物理エンジンは無料で入手できるが、見ているだけで楽しいピタゴラスイッチ的な映像を簡単に作れてしまう。私の世代では高価な『電子ブロック』を思い出すが、こちらはタダ。なんなんだ、この時代は」と驚きを隠さない。

 ここで新氏は未来学者として国際的に知られるアルビン・トフラーが著書「富の未来」で提唱した「プロシューマー(生産消費者)」という概念を紹介。消費者自らがコンテンツを生み出すという時代へ確実に近づいていると新氏は話す。

 PCの処理能力向上や低コスト化も見逃せないポイントだ。「かつては数千万円はしたというシリコングラフィックス製ワークステーション並みの処理能力が、今やデスクトップPCで当たり前に実現できている」。


コンテンツの流通とフィードバック機能を担う動画共有サイト

海外の学者らによる著書などを紹介しつつ、講演は展開した
 このように、ユーザー自身がコンテンツを作成するための環境は限りなく整っている。そして次の段階で重要になるのが、コンテンツをいかに流通させるか。新氏によれば、この流通機能を担っているのがYouTubeであり、オンラインゲームであり、ニコニコ動画であるという。「これまでなら動画を配信するには何十MBものファイルをダウンロードしてもらわねばらないが、今は動画共有サイトにアップロードしてリンクを張るだけ」という手軽さだ。

 さらに、公開したコンテンツについて、他人からフィードバックを得るための機能も欠かせない。ニコニコ動画であれば再生回数や人気ランキング、映像を覆い尽くすほどの字幕による「弾幕」が格好のフィードバックであるという。

 新氏は「ユーザーにコンテンツを作成させ、それをネットで公開し、他のユーザーに評価してもらう。これがかみ合うことでエコシステムが確立する。ニコニコ動画はまさにこれを実践していて、じついにうまい」と語る。

 講演終盤、新氏はコンテンツを作成するにあたって個人と企業で決定的に異なる点として「自社リソースを有効活用するという意志」を指摘した。「企業であればすでに社内にあるリソースを活かそうという発想につながるのは当然。一方で個人は社内事情にとらわれず、あくまでもニーズにあったものを選べる」と語り、既成概念にとらわれることなく取り組める個人にも一定の強みがある点を示唆している。


関連情報

URL
  OGC 2008
  http://www.bba.or.jp/ogc/2008/


( 森田秀一 )
2008/03/17 14:07

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