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座談会の模様
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14日に開催された「OGC 2008」で、2ちゃんねる管理人のひろゆき(西村博之)氏らによる座談会が開催された。事前告知されたタイトルは「コミュニティが生み出す創造事例と、CGMの可能性」だったが、実際には特定のテーマをほぼ設けないフリートーク形式で進行。ひろゆき氏の仕事観から最近面白かったゲーム、「ニコニコ動画」の魅力まで、笑いを交えつつさまざまな話題を展開した。
座談会にはひろゆき氏のほか、国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本代表の新清士氏、日本技芸リサーチャーの濱野智史氏、さらにモデレーターとして早稲田大学大学院国際情報通信研究科客員准教授の境真良氏が参加した。
● 携帯フィルタリング、2ちゃんねるへの影響は「別に」
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2ちゃんねる管理人のひろゆき(西村博之)氏
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冒頭は、4名の中で最も知名度が高いであろうひろゆき氏への個人的な質問が集中。ひろゆき氏も「梅田望夫氏に対談を申し込んだら断わられた」「週に2~3日、ドワンゴや未来検索ブラジルへ顔を出している」「先週初めて目覚まし時計を買ったら遅刻が減った」などのエピソードを披露して聴衆を笑わせた。
2ちゃんねるの運営についても「趣味レベルで始めた。面白い人たちが集まってくれる“場”でさえあれば満足で、例えば携帯電話のフィルタリング強化でページビューが下がるのを心配されるけど、『別に』で終わってしまう」と、ひろゆき氏がそっけなく語ったときも会場からは笑いが起こった。
2ちゃんねるの特徴とされる匿名性も、決して特異なものではないという。「(数百名の観客が集まる)会場の中で、どれほどの人がお互いの名前を知っているのか。さらに突然殴りつけられたとしてその犯人が逃げた場合、現実問題として本当に捕まえられるのか」という疑問を投げかけ、リアルの世界でも匿名性はあると断じ、ここでも“ひろゆき流”をアピールした。
ニコニコ動画については「面白そうな場所だというイメージを持ってもらうことには気を付けている」と話す。「例えば、ダウンタウンと全く同じネタをやる見ず知らずの芸人が突然出てきても、いきなりは笑えないはず。観客側に『笑うための姿勢』を準備してもらわないと」と補足し、姿勢を生み出す土壌としての“場”の重要性を改めて強調した。
● 他のメディアにはない“ニコニコ動画的な忙しさ”
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国際ゲーム開発者協会日本代表の新清士氏(右)と日本技芸リサーチャーの濱野智史氏(左)
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早稲田大学大学院国際情報通信研究科客員准教授の境真良氏がモデレーターを努めた
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座談会後半では、ゲームや海外ドラマなどを中心に「ユーザーに暇を感じさせないようするコンテンツが増えているのでは」との指摘が参加者からなされた。ひろゆき氏もそれを受けて「古い日本映画では非常に“間”が多くとられており、今改めて見るとその間に飽き飽きすることがある。でもニコニコ動画なら間があるときでもコメントが流れており、それに注目している間に本編が始まる」と語り、ほんのちょっとした時間でも飽きないで済む、逆説的に言えば忙しさを与えてくれることが人気の一因ではないかと分析する。
ひろゆき氏は「携帯メールを送って30分返事がないと『嫌われたのかもしれない』と思う人もいる。暇な時間に耐える力が下がっているのか、人間側の処理能力が上がったからなのかわからないが、人間の感覚が変わってきているのかもしれない」と補足。さらに「“ニコニコ動画的な忙しさ”は他のメディアにはない特徴。ある意味で(中毒性のある)洗脳ツールとも言えそう」とも付け加えて笑いを誘った。
ひろゆき氏自身はニコニコ動画の将来について「来年頃に利用者数のピークを迎え、その規模を維持しながら細々とサービスが続くのでは」と話す。一方、参加者から挙がった「2ちゃんねる、ニコニコ動画の先には何がくるか」という質問には、「キーボード入力すら面倒だがコミュニケーションはしたいという不思議な層が現われてくるかもしれない」とコメントし、より省略された形で自身の感動などを伝える手段が求められるのではないかと答えた。
関連情報
■URL
OGC 2008
http://www.bba.or.jp/ogc/2008/
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( 森田秀一 )
2008/03/17 14:45
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