|
ニュースダイジェストの自動作成
|
NHK放送技術研究所(NHK技研)にて、5月22日から25日まで開催する「技研公開2008」では、1人1人に適応した放送サービスを実現する「AdapTV(アダプティービー)」を展示している。
AdapTVは、障害者向けの音声読み上げや、視聴者の嗜好に応じたニュースダイジェストの作成、携帯端末の画面に応じたトリミングなどを可能にするシステム。番組のメタデータを利用し、受信機側で自動変換する点が特徴だ。
拡大表示・音声読み上げでは、データ放送に含まれるメニューボタンの並びや図形の読み方、表示プログラムをメタデータとして番組内容と同時に放送波で送信する。受信機側では、メタデータを基に、視聴者の設定に応じて、自動的に表示を切り替える。
放送内容の自動レコメンドでは、「ニュースダイジェストの自動作成」機能を紹介している。個人の嗜好にあわせて、録画しておいたニュースからトピックを自動的に選び、10分~20分のダイジェストを作成する。これにより、自分の興味あるニュース、重要なニュースを効率的に視聴できる。
個人の嗜好の解析は、メタデータに含まれる字幕情報と視聴時間を組み合わせて行なう、例えば、「地震」という字幕が出ているニュースを長い時間見ていれば、ユーザーは地震に関心があると判断し、地震のニュースを優先的にダイジェストへ加える。さらに、放送局が判断した重要ニュースなども加味するという。設定は1人づつ可能で、視聴中の個人の特定はリモコン切り替えか、携帯電話を利用する。
画面の自動トリミングでは、ハイビジョン映像を携帯端末の解像度に応じて見やすい大きさに切り取る。字幕なども大きく表示することが可能だ。デモでは、サッカー中継の映像を表示していた。通常では、選手やスコアが小さくなって見づらいが、トリミング後はそれが改善されている。映像の判定は、画面に対する芝生の写り方でショットを分類し、選手の写り方で最適なトリミング処理を行なう。
現在は、AdapTVの概念に基づいたシステムを開発している段階。利用するにはAdapTV対応のテレビや携帯端末が必要となるため、「実現するとなれば、受信機の性能と放送規格が揃ってからになる」(説明員)という。「放送規格に関しては、Javaを利用したもので2011年の規格化を目指して進めている。その後、規格に対応するAdapTVをプログラムを放送にのせられるが、受信機側の対応も待つことになる」とした。
|
|
読み上げ・拡大表示の仕組み
|
ダイジェストの自動作成画面
|
|
|
携帯端末でのトリミング表示例
|
トリミング処理の手順
|
関連情報
■URL
技研公開2008
http://www.nhk.or.jp/strl/open2008/
■関連記事
・ スーパーハイビジョンが家庭に入ったら――NHK技研公開、22日から開催(2008/05/21)
・ 映像から特定の人物やシーンを判別してメタデータを付加する技術(2007/05/23)
( 野津 誠 )
2008/05/21 17:43
- ページの先頭へ-
|