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「CCは2つの過激な極論へのアンチテーゼ」提唱者のレッシグ教授


スタンフォード大学ロー・スクール教授のローレンス・レッシグ氏
 インターネットの普及によりコンテンツのコラボレーションが実現可能となる一方で、デジタルコンテンツの複製や改変などを制限する著作権法が存在する。こうした状況は、著作権を尊重しない「過激主義者」を生み出して戦争が起こり、著作権制度の崩壊にもつながりかねない――。

 札幌で開催中の「iCommons Summit 2008」で30日、クリエイティブ・コモンズ(以下、CC)の生みの親である、スタンフォード大学ロー・スクール教授のローレンス・レッシグ氏が講演。コンテンツに対して著作権を保持しつつも一定の利用を認めることで、コンテンツの流通や創造を促すCCが、この戦争状態を緩和するとアピールした。


デジタル時代のリミックスは海賊版ではなく文化

 レッシグ氏は、コラボレーションによるリミックスは、消費者が金銭を支払って得たものではなく、自然的に発生したものだと指摘する。「インターネットがクリエイティブの自由を与えた。さまざまな音源をリミックスしたプロによる楽曲が出たり、日本ではアマチュアがアニメに音楽を付けて編集する動きもある。デジタル時代のリミックスは、海賊版ではなく文化だ」。

 PCがあれば、誰もがリミックスを活用して自分のアイデアを実現できる時代にあって、コンテンツの利用を規制する著作権法は、文化を大幅にコントロールするようになっているという。「技術が文化の共有を可能にしたが、同時に法律の制限も増えた。まっとうにコンテンツを使った人も犯罪者になりかねない状態だ。その結果、法律の制限をなくそうという『著作権撤廃主義者』も出てきている」。


クリエイティブ・コモンズは過激な極論へのアンチテーゼ

 CCは、コンテンツに対してあらかじめ権利者が許諾を付けることにより、「原則禁止」から「一定範囲で原則自由」に変換できる制度だ。この「バランス」こそが、CCの爆発的な普及につながり、現在では世界48カ国で展開、1億3000万件のライセンスが発行されているという。「CCは、著作権に反対するものではなく、過激な極論へのアンチテーゼ。『あらゆる利用を禁止する』と『権利を尊重しない』という2つの過激な極論の中で現実を直視したものである」。

 「既存の著作権制度は、クリエイティブな表現に対しては機能していない。そうした中では、創作活動をやめさせるか、法制度を崩壊させる革命が起こるかのどちらかだが、どちらも受け入れられない。著作権法はこれからも重要で、バランスが必要だと思う。CCは、限られたものを受け入れるためにできたもの。この技術を花開かせるには、アーティストやクリエイター、学者らが一段となって運動する必要がある。」


著作権の保護期間延長は「誰のインセンティブも高めない」

 このほかレッシグ氏は、著作権の保護期間延長について「誰のインセンティブを高めるものではない」と指摘。「この意見には保守的なエコノミストでさえ同意している」として批判的な見解を示した。

 「米国で1998年に制定された(保護期間を著作者の死後70年間とする)著作権延長法は、(ミッキーマウス作品の著作権切れが迫っていた)ディズニーの意を受けたもの。ミッキーマウスが誕生した1928年の映画『蒸気船ウィリー』は、バスター・キートンの映画『蒸気船ビル』がベースになっているが、これは最大のリミックスだ。また、ディズニー映画の多くは、パブリックドメインの素材に立脚している。にもかかわらず、お金を使ってまで権利を独占し続けようとするのは品格がない。米国議会の議員は、自分が再選に必要な選挙資金を集めるために、間違った政策を打ち出してしまった。金銭こそが政策の方向を誤らせるが、我々はこうしたものにも抵抗する必要があるだろう。」


関連情報

URL
  iCommons Summit 2008
  http://www.creativecommons.jp/isummit08/
  Lessig.org(英文)
  http://www.lessig.org/

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( 増田 覚 )
2008/07/31 12:31

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