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【 2009/06/11 】
アナログ停波後の周波数帯域を利用したマルチメディアサービス
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【 2009/06/10 】
CO2排出量が都内最多の地域、東大工学部のグリーンプロジェクト
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IPv4アドレス枯渇で「Google マップ」が“虫食い”に!?
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「Interop Tokyo 2009」展示会が開幕、今年はひろゆき氏の講演も
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HTML表示だけではない、近未来のWebブラウザとは


 16日に開催されたイベント「Firefox Developers Conference 2008~次世代Webとプラットフォーム~」では、Firefoxに関するセッションが中心となったが、Firefoxの枠を超えたWebブラウザのあり方や、次世代のHTML規格「HTML 5」に関するセッションも行われた。


LEDもデジタルサイネージも服も「Webブラウザ」?

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の砂原秀樹氏(右)とAdrian David Cheok氏(左)
 Webブラウザの進化はめざましい。レンダリングエンジンの改良はもとより、プラグインによるリッチ化、タブインターフェイス、検索エンジン窓、携帯電話やゲーム機などへの組み込みなど数多くある。しかし、“コンピュータ上でHTMLを表示する”という根本の部分は変わっていない。未来のWebブラウザもその延長線上なのだろうか? パネルディスカッション「近未来ブラウザの形を考える60分―ユーザエクスペリエンスの視点から―」では、3年から5年先のWebブラウザに関する議論が交わされた。

 モデレータを務めた慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の砂原秀樹氏は、「今日は、3~5年先の話をしたい。Webブラウザをどんな場所で使うか、インターフェイスはどうなるのかなどを取り上げたい」とした。

 まずは砂原氏が現在のWebブラウザの利用シーンを説明した。「携帯電話からPC、最近ではMID(Mobile Internet Device)も含まれる」という程度だ。しかし3~5年で、小さい物はセンサー、大きい物はデジタルサイネージにまで広がるとする。デジタルサイネージは、文字や映像が中心で現在のWebブラウザと同じだが、「センサーで光るLEDもブラウザではないかと思っている」との考えを示した。

 時間や位置により表示される情報が異なるようになるとも指摘する。「ニューヨークでは、ディスプレイを付けたバスが走っている。このバスは、GPSで位置情報を取得している。インターネットにつながっており、場所や時間によって表示する情報が変わる」との事例を挙げた。

 次にインターフェイス。これまでは、キーボードとマウスなどのポインティングデバイスを組み合わせて操作をしてきた。未来のインターフェイスとしては、カメラ、音声認識、マルチタッチ、ジェスチャーなどを挙げた。「マイクもカメラも、多くのノートPCに付いている」として、すぐに実現できそうなものもある。そのほかに、RFIDタグや加速度センサーも可能性として示した。


Mozilla LabsのAza Raskin氏(右)、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科の加藤博一氏(左)
 パネリストとして参加したMozilla LabsのAza Raskin氏は、中国に2週間ほど滞在したときの体験を踏まえて、インターネットは「人を中心に成り立つ」との考えを説明した。中国では、インスタントメッセンジャーの「QQ」が多く使われている。「Firefoxはコンテンツが中心だが、QQは人を中心に成り立っている。そのせいか、中国はWebブラウザという概念が希薄かもしれない」という。

 現状のインターネットは、「サイト中心であり、そのサイトに情報を確認しに行かなければならない」とも指摘する。人が中心のインターネットでは、ユーザーの情報をトラッキングし、「例えば、相撲で誰が勝ったのかログインする前に情報が降ってくる」と表現。そうなると、「Webブラウザがインターネットの中心ではなくなるかもしれない」とした。

 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科の加藤博一氏も、砂原氏と同じくユーザーインタフェイスの進化を指摘した。音声認識で「食事をしながら、WebブラウザでニュースやYouTubeを見る」という使い方を挙げる。しかし、「進む」や「次」などの言葉ではなく、「ぶー」でスクロール、「ぷー」で前に戻るといった「Audio Recognition」という概念がいいのではないかとする。

 ここ数年のWebの進化としては、「情報検索ではなくタスク実行のツールになった」としながらも、「鉄道の経路検索をしたら次は予約を行うなど、いつもワンパターンの操作を行っている。ブラウザはそれを認識し先読みすべきだ」と指摘した。


Adrian David Cheok氏が研究中のバーチャルタッチのシステム
 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科のAdrian David Cheok氏は、「服もカーテンもWebブラウザになり得る」とする。その1つとして、研究中の「バーチャルタッチ」を紹介した。「親がスイッチを押すと、子供がだっこされた感覚になる」というものだ。親が持っているスイッチが圧力を感じ、インターネットを経由し、子供が着ている服に伝わり圧力を与えるという仕組みだ。

 4人の考えには、WebブラウザはHTMLを表示するだけではない、ユーザーの行動をトラッキングして情報を配信したり処理をするべき、という2点が共通する。そこで会場から、このような行動のトラッキング情報はWebブラウザが持つべきかサービスが持つべきかという質問が出てきた。

 これに対し砂原氏は「どこに自分の魂を預けるかに近い」と重要な問題だとする。加藤氏は、「主導権はユーザーが握りたい。特定の会社が提供するサービスは使いたくない」として、情報はWebブラウザが持つべきだと述べた。

 最後に砂原氏が「討論を聞いているだけではなく、皆さんで次のブラウザを作ってください」と呼びかけて終了した。


FirefoxやOperaなどにすでに一部実装されている「HTML 5」

W3C HTML作業部会担当のMichael Smith氏
 現在のWebサイトは、10年も前に勧告された「HTML 4」がベースだ。しかし、JavaScriptやXMLなどを加え、Ajaxによるインタラクティブ化が進んでいる。そんな中、次世代のHTML規格として「HTML 5」を策定中だ。W3C HTML作業部会担当のMichael Smith氏が「今すぐ使えるHTML 5の新機能」として、HTML 5の特徴を説明した。

 W3Cは11月14日に、ドキュメント「HTML 5:The Markup Language」を発表した。このドキュメントは、「HTMLの仕様書は大きすぎる。関係ない項目が多すぎる」との声をもとに、デザイナーやWebサイトの開発者に必要な情報に絞っているという特徴がある。HTML 5では、HTML 4のような仕様書も公開するが、The Markup Languageと、「オーサリングガイド」も合わせた3種類のドキュメントを公開する計画だ。

 HTML 5で新たに追加する予定の仕様は数多くあるが、そのいくつかはFirefoxやSafari、OperaなどのWebブラウザに一部、実装している。代表的なものが、「video」と「audio」だ。「動画やオーディオのコンテンツを埋め込むためには、これまで標準がなく、プラグインが必要だった」が、videoとaudioのサポートにより、プラグインを使わずWebブラウザだけで再生できる。

 画像を表示する「canvas」も新しい。画像の表示には「img」もあるが、「imgはスタティック、canvasはダイナミック」という差がある。JavaScriptを用いてcanvasを操作すると、Flashなどと同じようにアニメーションが作れる。

 Webブラウザをオフラインで利用するための仕様が追加されたのも注目すべき点で、「クライアントのキャッシュがコントロールできる」という。セッション管理も容易になり、「ブラウザの中にSQL liteが入っているようなもの」と表現した。

 フォームの改良もいくつかある。これまでは、例えばテキストボックスに日付を入力した場合、正しいフォーマットなのか、送信前にWebブラウザ上のJavaScript、または送信後のサーバー上で確認する必要があった。HTML 5ではこれらが不要だ。日付の入力フォームがその1つ。HTMLに記載するだけで、プルダウンでカレンダーを表示し、正しいフォーマットの日付情報しか送信できなくなる。そのほかには、数値の範囲を指定するスライダーもある。

 まだ現在のWebブラウザで実現していない仕様も多くある。ダウンロードの残り時間などを表示するプログレスバー、ガソリンの残量メーターのようなアナログゲージ、Webアプリケーションにプルダウンメニューが作れるものなどだ。


「video」の記載例。プラグインを使わずに動画が再生できる 日付の入力フォーム。プルダウンでカレンダーが表示されるが、これはJavaScriptではなく、HTML 5に実装されているものだ

関連情報

URL
  Firefox Developers Conference 2008
  http://mozilla.jp/events/2008/fxdevcon/

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「Firefox 3.1」、開発者向けアルファ版が公開(2008/07/29)
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( 安達崇徳 )
2008/11/17 16:52

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