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藤沢市長と慶應大SFC教授が、地域WiMAXの将来を展望


テレビ会議で出席した藤沢市長の海老根靖典氏(右)と慶應義塾大学の國領二郎氏(左)
 慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)による研究成果発表イベント「SFC Open Research Forum 2008」の会場で22日、メインセッション「ICTと地域活性化の未来を語る 次世代に“使われる”インターネットの設計」が行われた。SFCの所在地である神奈川県藤沢市の海老根靖典市長がテレビ会議で参加し、 慶應義塾大学の村井純教授らとともに地域におけるインターネット活用の方策、中でもWiMAXの将来像を語った。

 セッションは海老根市長による基調講演からスタート。藤沢市は1996年にIT基本計画を策定し、現在は3代目の計画を遂行中という。市民間の対話を支援する「市民電子会議室」や、市民による運営を目指した「えのしま・ふじさわポータルサイト」などの取り組みが評価され、2008年版情報通信白書の地域ICT活用指標では全国1位になっている。

 海老根市長は「市主導によるインフラ整備以上に、NPOやボランティアによる自主的なIT運営体制こそ重要だ」と発言。行政サービスを利用する市民自身が主導することの意味を強調する。モデレーターを務めた慶應義塾大学SFC研究所長で総合政策学部教授の國領二郎氏は「地域免許が発行されるWiMAXであれば、地域市民自身がインフラ整備すらできる可能性もある」と指摘する。


SFCらのWiMAX会社、電波の到達距離を逆手にとった活用法を模索

(左から)慶應義塾大学の村井純教授、中村修教授、三次仁准教授
 慶應義塾大学SFC研究所は20日、藤沢市において研究目的のWiMAXサービスを企業4社らとの連携で始めると発表している。サービス運営会社「湘南オープンワイヤレスプラットフォーム合同会社(仮称)」の技術顧問を務める同大学環境情報学部教授でアンワイヤード研究コンソーシアムリーダーの中村修氏は、地域免許制のWiMAXについて「(人に)優しいインターネット、人に近いインターネットが今再びできないか」という観点から大きな期待を寄せる。現状のインターネットはその広大さゆえに負の側面が強調されるのに対し、電波の到達距離に限りのある無線という特性を逆手にとった活用法があるのではないかという考えだ。

 また、インターネットは1対1のサーバー間通信をリレー状に連続して行っていくのが基本的な構造だが、無線はブロードキャスト型の1対多通信が可能である点も異なる。中村氏は、藤沢市で最終的に17本程度のアンテナを設置し、臨海部にのみ津波情報を発したり、“揚げたての天ぷらができました”という情報をスーパー周辺だけに配信するようなエリア限定サービスならではの可能性を模索したいという。

 村井氏は無線ならではの1対多通信を「放送型サービスに適している」と、技術的にも注目すべきだと指摘。エリア限定通信にはうってつけだと補足する。また「情報インフラとしての無線ネットワークを誰が作るのか」という視点も提示された。村井氏は、クウジットが手がける無線LAN位置情報サービス「PlaceEngine」に触れ、一般ユーザーがあくまでも個人的に設置している無線LANアクセスポイントがビジネスのきっかけになっているとも解説。地域視点からの無線活用には大きな可能性があるとした。

 慶應義塾大学環境情報学部准教授でアンワイヤード研究コンソーシアムに所属する三次仁氏は、衛星通信を長年にわたって研究。15年単位での衛星開発や打ち上げを見てきた立場からは「無線では、自分で(容易に)できることが増えている」とその身近さに言及。Open Research Forum会場で行っている無線チップでの人間別移動履歴管理なども非常に容易としており、その容易さは市民主導型サービスで利用する上での大きな武器になると解説する。海老根市長も徘徊老人の発見や障害者の生活サポートなど、身の回りのサービスに応用できる可能性に期待を寄せた。


最初のサービスは“WiMAX防犯ベル”?

 中村氏は、2009年3~4月をめどに、SFCと最寄り駅である湘南台駅を結ぶ周辺エリアでWiMAXの電波送受信を始める計画だという。「開発したサービスをすぐに使える、試してもらえることが“オープン”の意味」「何はともあれ実際に利用できる環境を作ることが大事」と、なるべく早急なスタートを目指すとした。一方で「ここのところSFC周辺で学生が恐喝目的の暴行に遭う事件があった。周辺が田園地帯ということもあって防犯ベルもあまり効果が無い。個人的には“WiMAX防犯ベル”を最初に作りたい」という具体案も披露している。

 海老根市長は、2月に行われた市長選挙の投票率が直前の参議院選挙より低かった例を指摘。「生活に直結しているという意味では、市長選挙の投票率が高くてもおかしくないはず。これはマスコミによる報道量の差が大きいと考えられる。地域情報をしっかりと伝えるメディアの重要性、ひいては地域志向のWiMAXに大変期待している」と述べた。


関連情報

URL
  SFC Open Research Forum 2008
  http://orf.sfc.keio.ac.jp/

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慶應SFC研究所と企業4社、研究開発目的の地域WiMAX運営会社を設立(2008/11/20)


( 森田秀一 )
2008/11/25 13:47

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