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「インターネット白書2004」で見るインターネットの現在(1)

インターネットユーザーの4人に1人が個人情報漏洩の被害に

 日本のインターネット人口や普及率、家庭や企業における利用実態などの統計データをとりまとめた「インターネット白書2004」(7,140円)が7月1日に発売された。主なデータについては本誌でもすでに紹介したが、同白書には他にも多くのデータが収録されている。そこで本誌では3回に分けて、注目されるデータを紹介していきたい。まず今回は、家庭におけるセキュリティ被害や対策について。

 なお、家庭のセキュリティ実態に関するデータは、調査会社のアクセスメディアインターナショナルが、自宅からインターネットを利用している全国の16歳以上を対象に4月17日から23日まで実施したWebアンケートによるもの。有効回答は8,014件となっている。


インターネットユーザーの4人に1人が個人情報漏洩の被害に

個人情報漏洩の被害経験
 全体の約8割がインターネットを利用するにあたってなんらかの不安や問題、危険を感じていたという。最も多いのは、個人情報の漏洩などに関する「Web上での情報の取り扱われ方」で60.7%、続いて「Webサイトの情報内容の信頼性」が40.8%、「Web上で取り扱われている製品/サービスの信頼性」が29.1%と続いている。

 実際の被害経験については、「遭ったことはない」とした人が昨年の61.4%から37.0%に大幅に減少。しかし、「コンピュータウイルス」が24.9%から48.2%へ、「プライバシー情報の流用」が4.1%から14.8%へ、それぞれ被害経験者が急増している。以下、「詐欺」が3.7%、「誹謗、中傷、デマ」が3.7%、「ねずみ講」が1.6%と続く。

 特に最近になって社会問題となっている個人情報の漏洩については個別に設問を設けており、被害を受けたことがあるとした人が約4人に1人にあたる24.9%に及ぶことが明らかになった。今のところ、被害を受けていないとした人のほうが43.6%と多いものの、「わからない」とした人が31.5%あった。この中には、被害を認知していないだけで情報漏洩の不安を抱えている人が含まれていると推測している。


家庭におけるパーソナルファイアウォールの導入率が5割を超す

 家庭におけるセキュリティ対策としては、パーソナルファイアウォールの導入率が昨年の37.5%から51.5%に増加し、半数を超えた。内訳は、「パソコン購入時に同梱されていたものを利用している」が15.1%、「別個に購入したものを利用している」が36.4%。特に、別個に購入した人が昨年から約10%増加しており、「個人のウイルス対策、セキュリティ対策への意識が高まっていることがうかがえる」としている。

 導入している具体的な製品は、シマンテックの「Internet Security」が最も多く35.0%で、以下、トレンドマイクロの「ウイルスバスター」が28.2%、シマンテックの「Norton Personal Firewall」が18.3%、McAfee.comの「インターネットセキュリティ」が10.6%、同「パーソナルファイアウォール」が8.2%、フォーバルクリエイティブの「ZoneAlarm」が2.1%となっている。


パーソナルファイアウォール導入の有無

 ウイルス対策ソフトの導入率も昨年から増加しており、約8%増の76.8%になったが、こちらは「パソコン購入時に同梱されていたものを利用している」が昨年の28.1%から今年は20.7%に減少。逆に「別個に購入したものを利用している」が48.2%から56.0%に増加した。

 この背景には、ウイルスメールを受信した人が、昨年より約20%多い66.3%に達したことが挙げられる。「個人がセキュリティソフトなどを積極的に取り込まなくてはならない状況になっていることがうかがえる」としている。

 導入しているウイルス対策ソフトは、シマンテックの「Norton AntiVirus」が最も多く55.1%。昨年の47.0%からさらに増加して、今年は半数を超えた。以下、トレンドマイクロの「ウイルスバスター」が29.1%、ネットワークアソシエイツの「マカフィー・ウィルススキャン」が9.6%で、それぞれ昨年とほぼ同比率だった。続いて、ソースネクストが低価格シリーズとして投入した「ウイルスセキュリティ」が4.1%で4位に入っている。


ウイルス対策ソフト利用の有無

定期的にパスワードを変更しているのはわずか1.6%

 このほか、初歩的なセキュリティ対策としてパスワードの管理があるが、ISP接続やメールのパスワードを定期的に変更しているユーザーはわずか1.6%だった。とはいえ、「(定期的ではないが)たまに変更している」が昨年の13.5%から17.2%に増加しており、「着実に利用者のセキュリティ意識が高まっていることがうかがえる」としている。

 また、「変更せずプロバイダーに指定されたものをそのまま利用している」が昨年は52.3%あったのに対して、今年は約1割減少して42.6%に。代わって、「プロバイダーに指定されたものを一度だけ変更し、そのまま利用している」が30.2%から37.0%に増加した。「パスワード変更を啓蒙するには、ISP側から定期的に利用者に対して警告を出すなどの対策が必要」と指摘している。


ISP接続やメールのパスワード変更状況

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.impress.co.jp/info/release/pages/20040629.htm
  「インターネット白書2004」商品概要
  http://home.impress.co.jp/reference/1948.htm

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( 永沢 茂 )
2004/07/13 20:30

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