インターネットの利用実態について統計データをとりまとめた「インターネット白書2007」(監修:財団法人インターネット協会、発行:インプレスR&D、定価:7,140円)が6月21日に発売された。INTERNET Watchでは、その内容の一部を3回にわたって紹介。最後となる今回は、同白書第2部の中から、個人のインターネットユーザーが利用している回線事業者や端末、セキュリティ被害についての調査結果をピックアップする。
なお、同白書第2部の調査は、NTTレゾナントの「gooリサーチ」モニターの中から自宅でインターネットを利用する13歳以上の男女を対象に4月18日から27日までオンライン調査で実施された。有効回答5,728サンプルの中から、第1部のRDD調査で把握した性別や年齢階層別、自宅PCからの1週間あたりのインターネット利用時間別の構成比に可能な限り整合するように2,000サンプルを抽出して分析している。
● FTTHでNTT東西のシェアが6割以上、DSLでもYahoo! BBに匹敵
まず、FTTH利用者(706人)が契約している事業者では、「NTT東日本(Bフレッツ)」が36.8%でトップ、次いで「NTT西日本(Bフレッツ/フレッツ・光プレミアム)」の27.2%だった。3位はかなり差が開いて「ひかりone(KDDI、旧TEPCOひかり含む)」が9.9%で、以下、「ケイ・オプティコム(eo光ネット)」8.5%、「USEN(GyaO光)」5.8%などが続く。
DSL利用者(928人)が利用している事業者は、「ソフトバンクBB(Yahoo! BB)」38.1%、「NTT東日本(フレッツ・ADSL)」21.6%、「NTT西日本(フレッツ・ADSL)」16.8%、「イー・アクセス」6.4%、「アッカ・ネットワークス」6.1%など。ソフトバンクBBがトップだが、NTT東西を合わせるとソフトバンクBBに匹敵するシェアとなる。
CATV利用者(266人)が利用している事業者は、「J:COM各社(ジュピターテレコム)」23.3%、「ZAQ加盟各社(関西マルチメディア)」6.4%、「iTSCOM.net(イッツ・コミュニケーションズ)」4.5%の順で、その他が45.5%を占めている。
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契約しているFTTH事業者
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契約しているDSL事業者
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このほか、契約しているISP(複数回答)では、「Yahoo! BB」が20.4%でトップで、以下は「OCN」13.4%、「@nifty」8.7%、「ぷらら」8.4%、「DION」6.8%などが続く。最も利用しているISPでもYahoo! BBがトップのほか、@niftyとぷららの順位が入れ替わるものの、これら上位5社が同じように上位にランクインしている。
ただし、FTTH利用者(706人)に限れば、最も利用するISPのトップは「OCN」の17.4%で、次いで「ぷらら」の11.6%。FTTH回線で高いシェアを誇るNTT関連のISPが上位に入った。以下は、「@nifty」9.2%、「BIGLOBE」8.8%、「DION」6.1%、「USEN」5.0%、「So-net」3.7%と続く。一方、DSL利用者(928人)では、「Yahoo! BB」が38.8%で他を圧倒している。
● トリプルプレイの認知度、IP電話は9割以上、IPTV/VODは5割強
IP電話の認知度についての設問では、「内容までよく知っている/どういうものか説明できる」が21.7%、「どのようなものかだいたい知っている」が47.5%、「名前は聞いたことがある」が25.1%、「まったく知らない」が5.7%だった。「名前は聞いたことがある」まで含めると、インターネット利用者の94.3%がIP電話を認知していた。
IP電話利用者(690人)が利用している事業者は、「BBフォン(ADSL)」が32.3%でトップで、以下、「NTTひかり電話」18.1%、「OCNドットフォン」8.6%などが続く。
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IP電話の認知度
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セットトップボックス(STB)を利用してテレビで映像を視聴するIPTVやVODの認知度については、「内容までよく知っている/どういうものか説明できる」が7.9%、「どのようなものかある程度知っている」が19.1%、「名前は聞いたことがある」が28.5%、「まったく知らない」が44.6%だった。「名前は聞いたことがある」まで含めた認知率は5割強にとどまり、同じトリプルプレイサービスでもIP電話とはまだ大きな開きがある。
なお、有料・無料にかかわらずその他のインターネット動画の視聴状況をたずねる設問(複数回答)では、「Yahoo!動画」が57.0%でトップ。次いで「GyaO」45.9%、「YouTube」42.5%となった。「特にない」も22.1%あった。
● 「ニンテンドーDS、DSLite」の所有率が32.7%に
利用しているインターネット機器(複数回答)で最も多かったのは「デスクトップパソコン」の64.6%で、2位が「ノートブックパソコン」の57.3%。次いで「携帯電話端末(3G)」14.8%、「携帯電話端末(2G)」5.7%、「携帯ゲーム機(ニンテンドーDS、DSLite)」4.2%などが続く。「携帯ゲーム機(PSP)」も3.3%で10位だった。
当然ながらパソコンと携帯電話が上位だが、ニンテンドーDSがこれに続く点が注目される。携帯ゲーム機が無線LAN機能を搭載していることから、今後、自宅外での利用も増えることが考えられるとしている。
なお、インターネット機能付きゲーム機の所有状況を見ると、「ニンテンドーDS、DSLite」が32.7%に達した。また、携帯ゲーム機では「PSP」も12.0%が所有していた。このほかのゲーム機では、「Wii」が7.5%、「PS3」が4.4%、「Xbox360」が1.6%だった。
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所有している機器トップ30
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● 4割の人が“迷惑行為”の被害経験
セキュリティ面の調査結果としては、“迷惑行為”の被害経験をたずねる設問(複数回答)で、「遭ったことはない」と回答した人が50.2%で半数を占めた。ただし、「コンピュータウイルス」の被害経験者が25.4%に上ったほか、「スパイウェア」も10.8%、「個人情報の漏洩」も9.7%が被害経験があった。
「自分のプライバシー情報の流用」2.5%、「誹謗、中傷、デマ」2.2%、「ねずみ講」1.3%など、その他の被害も比率は少ないが経験者がいる。迷惑行為に「遭ったことはない」と、「わからない」の9.9%を除くと、約4割の人が何らかの被害を受けた経験があることになる。
有害情報の接触経験(複数回答)については、「わいせつ物」が48.4%でトップで、「コンピュータウイルス」41.0%、「誹謗、中傷、デマ」31.4%などが続く。
スパムメールについては、「受け取ったことはない」とした人は18.6%にとどまり、「受け取ったことがある」とした人は62.5%に上った。「スパムメールがどういうものかわからない」は8.5%、「わからない」は10.5%だった。
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迷惑行為の被害経験
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関連情報
■URL
ニュースリリース
http://www.impressholdings.com/release/2007/052/
インターネット白書2007
http://direct.ips.co.jp/book/Template/Goods/go_BookstempGR.cfm?GM_ID=2410&SPM_ID=1&CM_ID=004000E60&PM_No=&PM_Class=&HN_NO=00400
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( 永沢 茂 )
2007/07/05 11:14
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