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コンシューマ事業部担当上級副社長を務めるローワン・トロロープ氏
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米Symantecは12日と13日、「Norton Internet Security 2009(NIS2009)」および「Norton AntiVirus 2009」の発売を記念し、世界各国のブロガーと報道関係者を招待したイベント「Zero-Gravity Tour(無重力体験ツアー)」をラスベガスで開催した。
12日には、同社コンシューマ事業部担当上級副社長を務めるローワン・トロロープ氏がINTERNET Watchのインタビューに応じ、「Norton 2009は業界で最速最軽量」と優位性を訴えるとともに、「Norton=重い」というイメージを払拭すると意気込みを語った。
トロロープ氏は1991年に米Symantecに入社。現在はコンシューマ事業部担当上級副社長として、Norton製品の開発、エンジニアリング、ビジネス戦略などを手がけている。
● パフォーマンスを革命的に改善した「ノートン
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同一のPCで各社のセキュリティソフトのスキャン速度を計測した調査結果
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――NIS2009の特徴は?
トロロープ氏:システムリソースへの負荷が軽い「ゼロインパクト」を実現したことに加え、スキャンの対象をリスクのあるファイルのみに絞り込む「ノートン インサイト」など、数々の業界初の機能を搭載しました。
セキュリティソフトのスキャン速度は一般的に、スキャン対象となるファイルの数が少なければ少ないほど劇的に短縮されますが、「ノートン インサイト」によってNIS2009のパフォーマンスは、革命的に改善したといえるでしょう。
ちなみに、同一のPCで各社のセキュリティソフトのスキャン速度を計測した調査でNIS2009は、業界2位と比べて約1.5倍、業界3位とは2倍の差があるという結果も出ています。
――「ノートン インサイト」ではどのようにしてリスクのあるファイルを判断しているのでしょうか。
トロロープ氏:Symantecが持っているホワイトリスト、Nortonユーザー1800万人からのフィードバック、プログラムのふるまいからリスクを分析する「SONAR」技術などに基づいて判定しています。
弊社のネットワークには、世界中で数多くのPCがつながっていますが、これらのPCにはMicrosoft OfficeやWindows Vista SP1など同じファイルが重複して入っています。こうしたファイルは「安全」と判断し、一度スキャンを行った後は、スキャンを繰り返さないようになります。逆に、世界中のPCに数十個しか見られないようなファイルは「疑わしい」と判断しています。
● 「ゼロインパクト」を実現する機能
――NIS2009では、PCへの負担を軽減する「ゼロインパクト」をセールスポイントに掲げています。実際にはどのように「ゼロインパクト」を実現しているのでしょうか。
トロロープ氏:「ノートン インサイト」によりスキャン対象が減ることでPCへの負担が軽減しますが、それとあわせて、PCがアイドル状態、つまりユーザーがPCを操作していないときに定義ファイル更新やプログラムのアップデート、スキャンなどのタスクを実行する「スマート スケジューラ」も「ゼロインパクト」の実現に寄与しています。
毎年増え続けるマルウェアに対処するには、数多くのコードを書く必要がありますが、古いマルウェアに対するコードに新たなコードをどんどん追加することになるため、結果としてセキュリティソフトのパフォーマンスが重くなるという問題がありました。これは弊社に限らず他社も同じですが、NIS2009では「ノートン インサイト」や「スマート スケジューラ」などによって、こうした問題を解決しているのです。
また、一部のユーザーからインストールに苦戦しているという声が届いていたことから、NIS2009では独自のインストーラを搭載しました。これはMacの技術と似ていますが、ワンクリックすれば1分程度でインストールが完了するというものです。初めてNortonを使う人にとっても、使い勝手が良いものになっています。
● 他社製品の「軽い」とはレベルが違う
――NIS2009では軽量化を図るために、必要最低限以外の機能はプラグインで提供しています。日本ではペアレンタルコントロール機能が公開されていますが、今後はどのようなプラグインを提供するのでしょうか。
トロロープ氏:米国では、検索結果のリンク先を評価するプラグイン「Safe Web」をベータ版として提供しています。しかし、日本向けのローカライズに時間がかかっていて、残念ながらまだ提供できる段階ではありません。
詳細は明らかにできませんが、ペアレンタルコントロールについては今後機能強化を図る予定です。
――日本ではシマンテックのほかにトレンドマイクロやカスペルスキーも新製品を発表しましたが、いずれも「高速化」をうたっています。これらの製品との違いは?
トロロープ氏:各社、高速化をセールスポイントに掲げているようですが、革新的な機能は見られず似たり寄ったりで、NIS2009には及ばないと考えています。NIS2009では「ノートン インサイト」をはじめとする機能を追加したことで「ゼロインパクト」を実現しましたが、こうした機能は一朝一夕には追いつかれない自信があります。言い換えれば、高速化を実現するための投資額では、他社とは雲泥の差があると自負しています。
● 中南米ではUSBメモリでNortonを試験的に販売
――Symantecはグローバルな個人向けセキュリティ対策ソフト市場では最大手ですが、日本ではシェアが均衡しています。その要因のひとつに、ライセンス更新料無料のソフトが台頭していることが挙げられると思いますが、こうした手法を導入する考えはあるのでしょうか。
トロロープ氏:現段階では検討していません。多くのユーザーは、品質の高いものには毎年でもお金を払うと考えているためです。Nortonユーザーは、機能が充実していることを十分認識していると思っています。
――今後はウルトラモバイルPC(UMPC)市場の伸びが予想されますが、日本ではCD-ROMドライブを搭載しないUMPCでもすぐに使えるように、USBメモリにソフトを入れて販売する事例も出てきています。こうした販売手法を取り入れる考えはあるのでしょうか。
トロロープ氏:NIS2009はUMPC上でも快適に動作することもあり、現状では「ある」とは言えません。しかし、中南米地域の一部では、USBメモリで販売するプロモーションを試験的に行っています。ただし、CD-ROMと比べるとコストが高く付くこともあり、やはり現段階ではUSBメモリでの販売が好ましいとは言い切れません。
● 「Norton=重い」のイメージを払拭する
――インターネット上では「Norton=重い」という声もあります。NIS2009は「ゼロインパクト」をうたっていますが、こうした負のイメージを払拭するのは難しいのではないでしょうか。
トロロープ氏:「受けて立とう」というのは冗談ですが、とにかく使ってもらえればわかるというのが正直なところです。サイト上では無料体験版も公開しているので、まずはNorton 2009を試してほしいですね。NIS2009について書かれたブログを見ても、「この製品はすばらしい」と賞賛するコメントが圧倒的多数です。
――今回の無重力体験イベントは大変なコストがかかっていると思いますが、ここまで大々的なイベントを催した理由は?
トロロープ氏:いかに「Norton=重い」というイメージを払拭するか、という質問の答えにもなりますが、Norton 2009が「最速最軽量」かつ「ゼロインパクト」であるということを大々的にアピールしたかったのです。その意味で、世界中の著名なメディアやブロガーに声をかけたのです。
――日本のノートンユーザーに一言お願いします。
トロロープ氏:「百聞は一見にしかず」と言いますが、とにかく、無料体験版でもいいので、まずはNorton 2009のすばらしい機能を体感してほしいですね。
――ありがとうございました。
関連情報
■URL
Symantec(英文)
http://www.symantec.com/index.jsp
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( 増田 覚 )
2008/09/19 11:06
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