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【 2008/10/23 】
子どもはわからないから問題を起こしているだけ
〜「魔法のiらんど」に聞く<前編>
[16:19]
10代のネット利用を追う

全国webカウンセリング協議会に聞く、ネットいじめへの対処法(2)

ネットいじめ対策には、教育が効果的

 前回に引き続き、全国webカウンセリング協議会の理事長である安川雅史氏に、プロフや荒らしサイトなどについて聞く。「ネットいじめカウンセラー検定」はどうしてできたのか。保護者ができることは何だろうか。


プロフでのなりすまし、援交

全国webカウンセリング協議会・理事長の安川雅史氏
 質問に答えていくことで無料で自分のプロフィールサイトが作れるサービス、通称「プロフ」が流行っている。問題もよく耳にするが、実際のところはどうなのか。

 「大きい企業が運営しているところはまだいいですが、今はあちこちの企業がプロフサービスを運営しています。その多くは出会い系になってしまっています。今いちばんプロフを見ているのは中年の男性です。いわゆる出会い系サイトでは若い女の子と会えないし、サクラがいるし、お金がかかるとわかってきたのでしょう。一方、プロフは無料な上に、本物の若い子が登録していて、顔写真まで見られます。」

 中年男性が見ていることがわかっていて、援助交際を求めてプロフを作る女子中高生もいる。例えば、そのようなプロフに書かれている「苺佐保」という言葉は、「15,000円でサポート(援助交際)してください」ということ。「WU吉」は「諭吉2枚(20,000円)で寝ます」、「差4.5」は「45,000円で寝ます」という意味だ。これらの隠語はすでに広まっているようだ。

 他人になりすましてプロフを作る子もいる。援助交際を目的としたような、なりすましプロフのURLを学校裏サイトに貼られてしまい、先生からも責められて転校せざるを得なくなった子もいるそうだ。プロフはなりすましができるという知識が先生になかったためだ。

 「10代に人気の某コミュニティサイトは、中年の男性の間で若い女の子と確実に出会える場として広がりました。年齢が離れている人とメールができない設定ですが、年齢を偽って登録すれば可能です。電話番号は交換できませんが、『ぜろきゅうぜろ』などと書いたら、それも可能です。何らかの方法で連絡先を交換してしまえば、あとはサイトの外でやりとりできるのです。」


表に出てこない被害や有害情報も

 「プロフ内での性犯罪はマスコミに出てこない」と安川氏は言う。「子どもは親に言えないし、未成年に手を出している大人も言いません。お互いに貝になっているから表に出ていないだけ。ニュースで報じられているのは、事件になった場合だけです。なっていないものは耳に入ってきませんが、表面に出てこない被害が山のようにあるのです」。

 プロフは無料で提供される代わりに、アダルトビデオやデリヘル、ホストなどの風俗広告が表示されるようになっているという。性に関する興味・関心が高まっている時期に、そういう情報がすぐ近くにあるのだ。自ら飛び込んでいってしまう子どもが出てくるのも無理はないのかもしれない。


荒らし依頼サイトによって炎上

 もう1つ、ネットで怖いのが“炎上”だ。子どもの世界でも、炎上や荒らしがあるという。「クラスの中で気にくわない子のブログを、その子の仲良しになりすまして荒らす例があります。ひどいケースになると、荒らし依頼サイトに依頼することもあります」。

 「荒らし依頼サイト」とは、その名の通り「このブログを荒らしてください」と依頼すると、見ている人たちが協力して一斉に荒らしに参加するというサイトのことだ。ここで依頼されると、1日で炎上することもある。中には、社会人も憂さ晴らしで参加していることがあるそうだ。

 「荒らし依頼サイトが広まったのは、芸能人ブログの荒らしから身近な人にターゲットが移ったため」と安川氏は言う。匿名で簡単に人を陥れられることを喜ぶ層は存在する。では、どれだけ警察が動いてくれるかと言えば、生徒同士ではまず動かないのだという。「殺す」と書かれれば動くが、名前を書いたくらいでは相手にしてもらえない。それがわかっていて、グレーゾーンで追い詰めていくのがやり口なのだ。


匿名性に隠れた凶暴性

 これらのネットいじめや荒らしに共通点はあるのか。「共通するのは、全部匿名ということ。ネットでは、名前もメールアドレスも隠せます。匿名だと人間は凶暴化するし、見られていないと悪いことをする人は多い」。

 ケンカしても言い返せないおとなしい子が、ネット上で悪口を書く例もある。書き込みをした人物が判明したあるケースでは、校長先生がクラス全員の家庭にその旨を電話し、その後、書き込みをした生徒の親子に全校集会で謝まることを要求したという。「学校はそういうことはしてはいけません。もともと弱い子がさらに孤立してしまいます。しかし、学校でもどう対処していいのかがわからないから、犯人捜しや警察沙汰になってしまうのだと思います」。

 ネットに子どもの悪口が書き込まれていると聞いた母親が、そのサイトを見ているうちに面白くなって自分も情報を書き始めてしまった例もある。子どもではなく、母親が犯人だとわかってしまい、その子は学校に通えなくなってしまったそうだ。大人・子どもに関わらず、匿名性に隠れると人は理性を失いがちということがよくわかる例だ。


お金や個人情報絡みでもトラブル

 さらに、個人情報に関する意識が低いせいでもトラブルが起きている。例えば、占いサイトで名前やメールアドレスだけでなく、住所や電話番号まで書かされるところがある。中には既婚か未婚か、恋人の有無、職業まで聞いてくるものもある。占いはしてくれるが、目的はもちろん個人情報を抜くことだ。

 メールアドレスを自分からプロフに載せてしまう子がいるが、メールアドレスから個人情報を買うこともできる。プロフにアドレスを載せてしまうような子はあちこちに情報を載せているので、裏のサービスに依頼すれば、住所や最寄り駅などまですべてわかってしまうというのだ。「どこにでも携帯番号を登録するのはダメ。ネットショッピングも同様。年齢も名前も全部書くと、利用されることも多い」。

 お金絡みのトラブルも多い。例えば、プリペイド電子マネーを使ってプチ援助交際でお小遣い稼ぎをしている女子中高生もいるという。自分の裸の写真を掲載してプリペイド電子マネーで払ってもらい、お小遣いとするわけだ。換金は不可能だが、ネット上での買い物に利用できる。また、パケット代に載せて携帯キャリア決済で買い物をして、こっそり両親にお金を払わせて物を得ている子もいるそうだ。


保護者ができること

 「未だに『フィルタリングって何ですか?』という保護者がいます。きちんとかけている家庭はまだまだ少ない。購入時に保護者の名前で登録すると、最初からフィルタリング対象外になってしまいます。かけないと何でも見放題です。タバコなどには規制があるのに、ネットだけはそうではない」と安川氏は現状を危惧する。

 「ある家庭でフィルタリングをはずせば、それに連れて他の子もはずします。かけていない子の携帯電話で見てしまうので、本当は全員がかけないと意味がありません。未成年の間はフィルタリングをかけるべきという意識が必要です。」

 何でもそうだが、いったん認めてしまうとエスカレートするものだ。「子どもが学校でタバコを吸っている場合は、家でも認めているケースがほとんど。匂いでわかるはずなのに、見て見ぬふりをしているのでしょう。そういうケースは、崩れると一気に行きます。フィルタリングも同じです。かけていない子がいると、最初からひびが入っている状態なので、そこから崩れていってしまいます。インターネットは便利ですが、学生は社会性がまだ身に付いていないので、社会に出てから使っていけばいい。調べたいことがあれば家族共有のパソコンを使ってほしい」。


「ネットいじめ対応アドバイザー検定」を始めた理由

「ネットいじめ対応アドバイザー検定」についてのページ(全国webカウンセリング協議会)
 「ネットいじめ対応アドバイザー検定」を始めた背景は、これまで述べてきたような状況に加えて、わかっていない大人が多すぎるという現状があるという。

 「親や学校の先生に、子どもたちに起きていることの正しい知識を身に付けてほしいのです。相談された時の正しい対処法を覚えてほしいのです。間違って対処すると、救われるものも救われません。ケアができる先生が1校に1人でもいると、全く違います。今は野放し状態なので被害が広がっていますが、対策できる人が増えれば徐々に沈静化していくと思っています。」。

 ネットの世界は日進月歩だ。今後、新しいタイプのトラブルが出てくるかもしれない。それを踏まえて、この資格は「これだけ覚えれば終わり」ではない。検定で資格を取った人には、随時メールで新しい情報と対策も発信していくという。さらに、テキストも改訂していく予定だ。

 4月から募集が開始されたが、すでに応募はかなり来ている。開始後2週間で、学校の先生など子どもに関わる職業の人を中心に250人ほどが集まっているという。


ネットトラブルの解決には、まず知識が必要

 全国webカウンセリング協議会という団体についても聞いてみた。もともとは2005年7月に、不登校と引きこもり、ニートの専門3団体が集まって出来たものだ。ネット上でも相談ができる仕組みを作ったため、直接会ってのカウンセリングに抵抗がある人からの相談が寄せられるという。協議会では、ネットでの相談のほか、対面での相談、自宅訪問も可能だ。

 ネットでの相談は、登録料1,000円で10回行なえる。「回数制限をしないと、やりとりが際限なく続いて、かえって結果が出づらいのです。それでも解決しないと、また10回になりますが、だいたいは最初の10回で解決するか、訪問カウンセリングなどに移行します。18歳からは有料ですが、子どもは無料。携帯電話からも相談できます」。2007年は全体で3,000件の相談が寄せられ、その中でネットいじめに関する相談は1,016件にも上ったという。

 ネットいじめや学校裏サイト、ネットでのさまざまなトラブルとその対処法についてわかっていただけただろうか。フィルタリングだけでは解決しない例も多い。今後は、まず先生や保護者がしっかりと知識を身に付け、子どもを導いていくべきだろう。それが一番早く、確実な解決法なのだ。


関連情報

URL
  全国webカウンセリング協議会
  http://www.web-mind.jp/


2008/05/23 11:04
高橋暁子(たかはし あきこ)
小学校教員、Web編集者を経てフリーライターに。mixi、SNSに詳しく、「660万人のためのミクシィ活用本」(三笠書房)などの著作が多数ある。PCとケータイを含めたWebサービス、ネットコミュニケーション、ネットと教育、ネットと経営・ビジネスなどの、“人”が関わるネット全般に興味を持っている。

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