趣味のインターネット地図ウォッチ
BLEによる屋内測位が可能、場所情報システム「ココシル池袋」公開
(2015/4/16 06:00)
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(YRP UNL)は、ウェブサイトおよびiPhone/Androidアプリで場所情報を提供するシステム「ココシル」において、新たに「ココシル池袋」および「ココシル横須賀」を提供開始した。アプリはApp StoreとGoogle Playからそれぞれ無料でダウンロードできる。
ココシルは各地の観光地や施設の紹介、店舗情報などを提供するアプリで、これまで銀座や東京都狛江市、栃木県那須塩原市などで情報提供を行ってきたが、新たに池袋と横須賀が加わった。今回、特に注目されるのは、ココシル池袋のスマートフォン版でBluetooth LE(Low Energy)技術による屋内測位機能が実装されている点だ。YRP UNLが提供する「ココシルマーカー」を池袋駅の地下通路に配置することにより、登録されている施設に関して場所の案内を行える。
ココシルマーカーとは、BLEの電波で「ucode」と呼ぶ識別番号を定期的に発信するビーコン端末だ。スマートフォンを持ってマーカーに近付くと、アプリは受信したucodeをもとに、場所に関する説明を呼び出すことができる。ココシルマーカーは乾電池で約1年動作可能だ。
ココシル池袋では、このココシルマーカーを使うことによって、地下にいても現在地を把握できる。アプリを立ち上げた状態で池袋駅の地下通路を歩くと、「『中央改札マーカー』のココシルマーカーを受信しました」といったメッセージが表示され、現在地が表示される。スマートフォン内蔵のコンパスにより、自分がどちらを向いているかを確認することもできる。
ただし、地図上ではマーカーを受信した時点の場所を示すだけで、そのまま歩き出しても、現在地を示す青い丸印が、連動して動くことはなかった。また、改札の内側にいるにもかかわらず、地図上には改札の外側に青丸が表示されるなど多少の誤差が生じたこともあったが、ほとんどの場合において、ビーコンを受信した直後であれば正確な位置を表示できた。
なお、ココシルではショップや施設の情報も収録しており、カテゴリー別に検索することができる。検索した施設の詳細情報を確認することも可能で、詳細情報ページから「この場所に行く」をタップすると、Google マップが立ち上がり、屋内ナビゲーションを利用できる。ただし、この屋内ナビ機能はGoogle マップの機能で、ココシルマーカーによる測位は行われず、Wi-Fi測位となる。
一方、今回のココシル池袋およびココシル横須賀については、「ココシルバリアフリーナビ」というアプリも提供される。こちらのアプリはiOS版は用意されず、Android版のみの提供となるが、ココシルアプリとは異なり、ルート探索/ナビゲーション機能も搭載している。こちらも池袋の地下通路においてはココシルマーカーによる屋内測位が可能だ。
しかも、ユーザーの属性に合わせて「車椅子」「ベビーカー」「高齢者」「健常者」という4種類の案内パラメーターを設定することが可能だ。属性ごとに、それぞれ「歩道のない道」「道路の横断」「エスカレーター」「車椅子対応されていないエレベーター」「階段」「スロープ」「段差」「幅員」「縦断勾配」「横断勾配」などさまざまな条件について、それぞれ「気にしない」「なるべく避ける」と段差やエレベーターなどを避けるかどうかを細かく設定できる。
ルートを探索する際には、これらの要素を考慮したルートが提示され、それに従って画面表示と音声案内によるナビゲーションが行われる。施設情報は地下通路だけでなく地上の施設も収録されており、複数のフロアにまたがってルート案内を行う時は階段やエスカレーター、エレベーターなどを利用するよう案内される。また、地図上ではトイレの場所も分かりやすく表示される。
ルート探索結果では、右左折や道路の横断など節目となるポイントが丸印で表示され、段差や急勾配などの注意箇所は黄色い丸で表示される。前述した通り、このアプリではBLEによる屋内測位でリアルタイムに自分の位置は更新されず、ココシルマーカーを受信しないと更新されないため、少し離れた場所にいきなり飛んでしまうこともあるが、わけが分からなくなるほど位置が狂うことはないため、目的地に向けて正しい方向に移動しているかどうかを確認するためのツールとしては役に立つ。なお、移動を開始して、次にココシルマーカーを受信した時点でルートから外れていた場合は、ルートの再探索も行える。
リアルタイムの現在地更新が行えないなど不満な点もあるが、池袋駅という大きな駅の地下通路において、BLEを使った屋内測位を不特定多数が試すことができるという点では興味深い。ココシルアプリだけでなく、Androidユーザーはココシルバリアフリーナビの方もぜひ試してみてほしい。