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山谷剛史のマンスリー・チャイナネット事件簿

P2Pサイト、中国当局により次々閉鎖に追い込まれる ほか

2009年12月


 本連載では、中国のネット関連ニュース(+α)からいくつかピックアップして、中国在住の筆者が“中国に行ったことのない方にもわかりやすく”をモットーに、中国のインターネットにまつわる政府が絡む堅いニュースから三面ニュースまで、それに中国インターネットのトレンドなどをレポートしていきます。

P2Pサイト、中国当局により次々閉鎖に追い込まれる

BitTorrentを利用するP2Pサイト閉鎖に哀悼を示すべくつくられたコラージュ画像の例

 映像コンテンツを管理する国家広播電影電視総局は、12月に入って次々とP2Pサイトを閉鎖させた。P2Pサイトを別コンテンツのサイトへ転換させ、ダウンロードリンクは消去された。

 中国のインターネット利用者の中では、P2Pサイトは海賊版ファイルや海賊版ソフトなど違法なコンテンツが残る唯一のサイトとして認識されている。このたため、BitTorrentをはじめ、各サイトを利用するためのソフトをヘビーユーザーならずともインストールしている場合が多い。

 言い替えればユーザーからはそれだけ人気のあるサービスということになる。このため、P2Pサイトが閉鎖に追い込まれたことは、IT系メディアを中心に各中国メディアで大きく報じられた。また閉鎖により、P2P利用者によるサイト閉鎖を悲しむコラージュ画像が多数生成された。

CNNIC、個人によるcnドメイン取得を禁止に

 CNNIC(China Internet Network Information Center)は14日、個人がcnドメイン取得を禁止することを発表。禁止令は即日施行された。個人取得を禁じる理由としてCNNICは、「虚偽の申し込み情報でドメインを取得する利用者が多いための措置」としている。また、12月10日からは不良ドメイン名についての連絡窓口も開設、14日までに700弱のドメインを登録抹消した。

 2007年にCNNICが「cnドメイン取得1元キャンペーン」を開始して以来、cnドメインは急増していた。このCNNICのドメイン取得禁止措置の前には、中国のリサーチ会社「iResearch」がドメイン市場についての調査結果を発表。2008年の市場額は8億元(約108億円)であり、2009年には9億6000万元(約250億円)と見込んでいた。

中国における2006年から2012年までのcnドメイン数(単位は万) 中国における2006年から2012年までのgTLD数(単位は万)

ヤフー中国のアルバムサービス終了に利用者が猛反発

 9月に発表、サイトで告知済みだったヤフー中国のオンラインアルバムサービスが、2009年11月にサービス終了した。ところが、12月になってからサービス終了を知り、多くのアップロードした写真を失った利用者らが、ヤフーに対して怒りをぶつけている。

 ヤフー中国は、オンラインアルバムサービスを「永久無料」と銘打って提供していたが、2009年9月25日に当該サービスの終了を決定、サイト上に「10月30日にサービス終了」の告示をした。しかし、多数の利用者からサービス終了日時延長の依頼があったことから、11月にサービス終了した。

 しかし、この期間にサイトにアクセスしておらず、終了後に終了を知った利用者からは、「ただサイト上に告示をしただけで、利用者のメールアドレスにメールを送らなかった」「サーバーにデータが残っていない」「終了前にデータを各利用者に責任もって送るべき」などといった不満の声があがった。サービス終了に抗議する利用者らからは、集団訴訟を呼びかける動きも出ている。

 こうしたドタバタの背景として、利用者の要望により終了はもっと延長するはずだったが、ライバルサイトの関係者が中国では禁止されているポルノ画像をヤフーのアルバムサービスに大量にアップロードした上で中国当局に通報するという手を使い、早々にサービス終了に追い込んだとする報道もある。

優酷網(YOUKU)などの動画共有サイト、広告で増益

易観国際(Analsys International)が発表した、2009年第3四半期の中国動画共有サイト市場調査による動画共有サイトベンダー別シェア

 易観国際(Analsys International)は2009年第3四半期の中国動画共有サイト市場を発表した。シェアトップとなったのは優酷網(Youku)でシェアは12.6%、以下PPstream(11.5%)、酷6網(10.7%)、UUSEE(10.7%)、PPLive(10.4%)、土豆網(9.7%)となった。

 土豆網は優酷網と並んで2大動画共有サイトであったが、一気にシェアを減らしている。しかし、土豆網CEOの王微氏は強気で、12月に「3年以内にナスダックに上場したい」と発言している。また、以前はこれら2サイト+「酷6網」と並んで人気だった「六間房」のシェアはわずか3.0%となっている。

 中国コンテンツのコンテンツホルダーによる、主に訴訟を通した動画共有サイトへの正規版コンテンツ採用の圧力は、本連載でも2009年の後半からたびたび報じてきた。

 そうした動きではたとえば、「酷6網」は2009年12月22日、脱海賊版への流れからニュースリリースで正規版コンテンツ配信を宣言している。しかし、そうした各動画共有サイトの正規版コンテンツへの動きは中国のコンテンツのみが対象で、アニメコンテンツを筆頭に、日本のコンテンツの海賊版などは正規版宣言後も多数アップされている。

 また、2009年第3四半期には、中国コンテンツについては海賊版から正規版の配信へと大きく変わっており減収が懸念されたが、結果から言えば、広告収入が大幅に伸びて増収となった。

 2009年12月1日には上海市政府がシェアを伸ばしている「PPLive」に資本参加することを発表。2009年12月21日には、優酷網が4000万ドルの融資を海外の投資会社から受けたことを発表するなど、動画共有サイトに対する投資も相変わらず活発に行われている。

脱海賊版宣言した「酷6網」サイトだが、それは中国コンテンツに関する話。日本コンテンツの海賊版は野放し状態のままだ 上海市政府が資本参加する「PPLive」サイトも同様の状態

2009年の検索キーワードトップ10にSNSサイト名が急上昇

 百度中国とグーグル中国は、それぞれ2009年のジャンル別検索キーワードトップ10を発表した。百度中国は総合での検索キーワードトップ10を発表。

 今年の検索キーワードトップ10には「開心網(1位)」「校内網(5位)」などSNSサイトがランクイン。

 人気のチャットソフト「QQ(3位)」、動画共有サイトの「優酷(4位)」、P2Pサイトの「迅雷(8位)」、オンラインショッピングサイトの「淘宝(10位)」といった人気のサイト名や、コンテンツとして人気の「NBA(2位)」や「小説(7位)」も上位に挙がった。

 また、大きな動きとしては、例年1位か2位の「mp3」がランクインしなかったことが挙げられる。また、事件などに関するキーワードでは、グーグルと百度、ともに「新型インフルエンザ」が多く検索された。

国によるネットテレビ「中国網絡電視台(CNTV)」サービス開始

 12月27日、メディアも「突然」と形容するほど突然に官製ネットテレビ「中国網絡電視台(CNTV)( http://www.cntv.cn/ )」がスタートした。基本的にCCTVと同じ番組が、ライブでもオンデマンドでも視聴可能となっている。

年も押し詰まった2009年12月27日、官製ネットテレビ「中国網絡電視台(CNTV)( http://www.cntv.cn/ )」が突然スタートした

中央銀行、オンラインバンキングプラットフォームを発表

 オンラインショッピングの人気とともに、オンラインバンキング利用者が急増している。こうした背景を受けて、中国各銀行もオンラインバンキングに力を入れ始めた。

 中国のリサーチ会社「易観国際(Analsys International)」の11月の発表によると、2009年第3四半期末の段階で、オンラインバンキングの利用者は前期比7.7%増となる1億200万人(登録者数は1億8200万人)、同四半期の間にオンラインバンキングで動いた金額は前期比8.8%増の104兆2000億元(約1400兆円)となった。

 12月4日、中国の中央銀行である中国人民銀行は、2010年の6月までに、全銀行の口座のやりとりが1サイトで完結するネット銀行のプラットフォーム「網上銀行互聯平台」をリリースすることを発表した。

国営全国テレビの番組で百度グーグルらをポルノ検索ができると非難

 2009年12月3日、中国中央電視台(CCTV)のニュース番組で、百度、グーグル、それに老舗ポータルサイト「捜狐(SOHU)」の検索サイト「捜狗」がやり玉にあがった。

 ポルノ的キーワードで検索すると、予測検索で関連するキーワードが表示されるほか、検索結果としてポルノコンテンツを想像するサイトがリストアップされることについて検索サイトが非難されたもの。

 また、CCTVは2009年12月14日のニュース番組でも、百度が提供する子供向けの検索サービスで、やはりポルノコンテンツが検索できるとして非難している。

 中国ではCCTVのニュース番組は非常に大きな影響力があり、やり玉にあがった各企業は早急に対策を強いられることになる。また、ネットサービス関連ではこのほか、2009年12月16日に、P2Pサイト(BitTorrent利用サイト)の粛清の内容が大きく報道された。

チャットソフト利用者は2億7700万人

 CNNICは中国におけるチャットソフトの利用状況について調査結果を発表した。利用者は前年比23.7%増の2億7700万人となる見込み。そのうちQQの利用者は97.4%を占める。

 これについては、本誌のニュース「中国のインスタントメッセンジャー事情、CNNICが調査報告( http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091222_338867.html )」に詳しく書いたので、興味のある方はそちらを参照していただきたい。

アバターアイテムが盗まれたユーザーが集い、ベンダーに抗議のデモ

 上述した人気のチャットソフト「QQ」の人気のひとつにアバター(QQにおいてはアバターは「QQ秀」という名称)がある。アバターのレアアイテムを集める利用者も多い。その一方で、ハッカーによる被害が多い中国らしく、人気サービスQQのアカウントを盗み、身代金を要求するような事件は絶えない。

 2009年12月1日、QQを提供する「騰訊(Tencent)」本社(深セン)前に、絶版となったレアアイテムを身にまとったアバターをハッキングされ、失ってしまったQQの利用者10数名が集結した。

 レアアイテムを保持する権利を求めるシュプレヒコールを行った。参加者の中には、1800近いアバターアイテム、価値にして6万元(80万円強)のアイテムを失ったと自己申告する人も。

 これに対してサービスを運営する騰訊は、「運営会社に訴えるのは見当違いで、ネット警察に訴えるべき」とそっけない対応。一方、ネット警察は「ハッキングされたのが、ユーザーが原因なのか、システムの脆弱性が原因なのかによる。いずれにしろ、証拠の提示が必要だろう」として、即答を控えた。

2009年のオンラインショッピング市場は3兆4000億円規模に

 中国のリサーチ会社「易観国際」によると、中国の2009年のオンラインショッピング市場は2526億元(約3兆4000億円)で、そのほとんどを淘宝網(TAOBAO)を筆頭にした個人対個人取引(C2C)サイトが占めた。

 易観国際はまた、2012年にはオンラインショッピング市場規模は小売売上全体の3.5%にあたる7130億元(約9兆6000億円)となるだろうと予測した。

 このほか、12月にはCNNICがオンラインショッピングについての調査結果を発表。中国の2009年6月末時点でのオンラインショッピング利用者は、インターネット利用者全体の26%に相当する8788万人となった。これについても、本誌のニュース記事「2009年の中国オンラインショッピング事情、CNNICが調査報告」( http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20091204_333400.html )で詳しくご紹介しているので、そちらを参照していただきたい。


関連情報

2010/1/13 06:00


山谷 剛史
海外専門のITライター。カバー範囲は中国・北欧・インド・東南アジア。さらなるエリア拡大を目指して日々精進中。現在中国滞在中。著書に「新しい中国人」。
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