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ベトナムの首都・ハノイのインターネット事情

ネットカフェは1時間15円から、ADSL最安値は月額200円強

 ベトナムは、ちょっと昔はベトナム雑貨ブームなどで女性に人気の観光地だったが、ここ1、2年でビジネスパートナーとして、投資先として、またソフトウェア開発でも急激に注目を集めつつある。今回はそんなベトナムのインターネット事情をレポートしよう。なお、この取材は2005年12月に首都ハノイで行なった。為替レートは2,000ドン(ベトナムドン)=15円とした。


ネットカフェは学生相手の店、料金は1時間15円から

とあるネットカフェの外観

 現地でベトナム人や現地在住の日本人に聞くと、ベトナム人の多く(特に学生層)がネットカフェでインターネットを利用している一方で、自宅での利用はまだまだ少ないようだ。そこで、まずはベトナムのネットカフェを詳しく紹介しよう。

 ネットカフェは至るところにあり、どこも学生でごった返している。大人や老人の利用者はなかなか見かけることがなく、学生向けの店となっている。料金は1時間15円(2,000ドン)から。ベトナム人の平均月所得は10,000円弱だが、学生でも気軽に払える金額だ。料金は1時間単位で表記しているが、実際は15分刻みで課金しているところが多い。

 ネットカフェを利用する学生たちは何をしているのだろうか。ベトナム滞在中、さまざまな地区のネットカフェをはしごして調べてみた。

 ネットカフェの中では、若者の多くがゲームで遊ぶかたわら、チャットもしている。男の子はどちらかといえばゲーム中心、女の子はチャット中心。遊べるゲームはネットワークゲームと、PC単体で遊べるゲームが半々といったところだろうか。チャットソフトはYahoo! Messengerが人気がある。少数ながらOfficeの使い方などを勉強する学生も見かけた。

ネットカフェの中の様子 デスクトップには、ゲームがインストールされているのが目立つ
このネットカフェでは、みな一様にネットワークゲームを楽しんでいた こちらの店は2004年末に撮影したもの。1時間4,000ドンで、現在の相場より高かった

PCにはヘッドセットとWebカメラ、音楽も欠かせないサービス

 PCのスペックだが、多くのネットカフェでOSがWindows XP、CPUがCeleronやPentium 4、Athronの2.0GHz前後、光学ドライブは非搭載、グラフィックカードはGeForce 4 MX 4000やGeForce FX 5700が多かった(単にネットカフェのPCを専門に売る業者がNVIDIAを好きなだけかもしれないので、参考まで)。PC本体は足元か、目に付かぬところに隠して置かれている。机の上に置かれているのはディスプレイ、キーボード、マウス、それにヘッドセットとWebカメラだ。

 ヘッドセットとWebカメラを使ったチャットも、ネットカフェには欠かせないものだ。ネットカフェの利用者の中では少数派である大人が、特に海外に暮らす親戚との電話としてよく利用する。メッセンジャーやIP電話を利用して、Webカメラと向き合いながら長々と話をしている姿を見かけることができる。

 「音楽が自由に聞けること」も、ベトナムのネットカフェでは欠かすことができないサービスだ。音楽サイトのリンク集がホームページに設定されており、ブラウザを起動して数クリックで好きな音楽にたどり着く(それが著作権的にOKなファイルかどうかは怪しいが)。ヘッドセットを着けて音楽を聴きながら何かをやっているネットカフェ利用者は多い。

ヘッドセットが用意されているがわかるだろう ブラウザを起動すると、音楽サイトへのリンク集が開くようになっているネットカフェもある
女の子の利用者もけっこう見かけた 夜は利用者が少ない

 無線LANのアクセスポイントを提供するカフェも数軒見かけた。それらすべてがネットカフェのような学生相手の雰囲気というわけではない。

 ベトナムはコーヒー文化を持つ国で、カフェが至るところにある。その延長で「仕事ができる人のためのカフェ」があるのかもしれない。カフェが当たり前にある環境を考慮すると、今後こういった無線LANのアクセスポイントを提供するカフェは増え続ける可能性は大きい。


家庭でのADSL接続が増加中、最安値は月額200円強

ADSLサービスの広告

 ネットカフェの人気がある一方で、家庭におけるインターネット利用、特にADSL接続が増えている。現在参入している事業者は郵電総局系の「VNN」、ベトナム最大のIT企業である「FPT」、国防省系の「Viette」の3社。最大手はVNNだ。ダイアルアップとADSLのサービスがあるが、ADSLは最安値で月額200円強(28,000ドン)と非常に安い。

 ベトナムでは好景気を背景に所得が増え、余裕ができた家庭でPCを導入してインターネットを繋ぐ人が増えているとか。ベトナム人と話す際に聞いてみると、特にハノイやホーチミンなどの大都市において、その雰囲気にあることを感じた。

 ベトナムでのISP関連情報は、現地在住の日本人らで運営している「ベトナム生活倶楽部」というサイトの「インターネット」のページで非常に細かく紹介しているので、興味がある人はこちらをどうぞ。

URL
  ベトナム生活倶楽部
  http://www2m.biglobe.ne.jp/~saigon/index.htm

ホテルなら、交渉しだいで自前ノートPCが接続可能

公衆電話と、インターネット接続サービスの広告

 最後に、ベトナムに行くときのインターネットのつなぎ方を紹介しよう。

 ビジネスマンが主に利用するであろう高級ホテルは、ホテル日航のような日系ホテルはもちろん、そうでないホテルも、客室の中にLANコネクタがある。また、そういったホテルでは客室以外にもビジネスセンターがあり、説明すれば回線を借りて自前のノートPCなどで接続が可能だ。

 安ホテルも主に外国人の個人旅行者相手にしているため、客室にLANは引いてないものの、多くのホテルでフロントに数台のPCを用意しており、宿泊客が自由にそれを利用できる(ただし、日本語が入力できるように設定してあるPCは少数のようだ)。また、ホテルの従業員に回線を借りたいと言えば、とにかく宿泊客を獲得したいため、あっさりOKと言う可能性も高い。念のため宿泊する際には、それができることを確認しておこう。高級ホテルだろうが安ホテルだろうが、説明すればたいていつながせてくれるのは、いい意味でアバウトなアジアの国のサービスならではだ。

 ダイアルアップ接続であれば、電話のある場所ならベトナム中どこからでも接続できるそうだ。ベトナムの観光地でない地方都市まで足を運ぶような旅行者やビジネスマンなどには、この方法によるインターネット接続の準備が必要となる。iPassやGRICなど国際ローミングサービスが利用できるプロバイダーにあらかじめ加入しておこう。

今はまだ珍しい、無線LANが使えるカフェ

 無線LANについては、まだ公衆無線LANスポットもなく、上記で紹介した無線LANカフェも少ない。数日の滞在ではまず見かけることは極めて少ないので使うことはないだろう。

 CDからLinuxを起動できる「KNOPPIX」やUSBメモリは、ベトナムに持っていって出先のPCで使うことは難しいだろう。ネットカフェの端末ではそもそも物理的に光学ドライブが搭載されていない。あったとしても、ネットカフェのオーナーがKNOPPIXの存在を知らないので説明できない。一方、ホテルのビジネスセンターや旅行者用にネット端末を開放しているような安ホテルなら、多くの場所で説明次第では利用可能だろう。

 なお、日本の速度測定を使ってハノイのネットカフェで回線速度を測定したところ、いずれも下りは750kbps前後だった。これならば、日本のサイトのネットサーフィンや動画コンテンツの視聴、添付ファイルの容量が大きいメールの送受信もけっこう快適にできるはずだ。

( 山谷剛史 )
2006/01/26
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