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世界のインターネットのつなぎ方<北欧編その3>

列車内ネット接続とデンマークの公衆電話~2つの“サプライズ”

 スウェーデンやフィンランド、ノルウェー、デンマークなど、北欧のインターネット事情を3回にわたって紹介しているが、最終回となる今回は、そこで出会った2つの“サプライズ”を紹介したい。


国際列車LINXで車内インターネット接続を体験

 北欧各国を結ぶLINXという国際列車がある。スウェーデンの首都ストックホルムとノルウェーの首都オスロの間、それにオスロとスウェーデン第2の都市であるヨーデボリを通り、デンマークの首都コペンハーゲンまで結ぶ国際列車なのだが、なんと、車内インターネット接続が可能なのである。

 駅で出発を待つLINX。各車両のドアのそばには大きく「www」という文字、そしてその下には「Linx Internet Ombord」と書かれており、車内でインターネット接続できることを強くアピールしているようだ。車内に入ると、飛行機の座席のような設備の各椅子のすぐそばにコンセントがあり、いつでもPCに電源を供給できる。PCとの接続には無線LANを使用する。

オスロ中央駅に停車中のLinx 側面には「Linx Internet Ombord」の文字が

 車掌が検札でまわってきた際にインターネットを使いたいという旨を申し出るか、もしくはビュッフェで同様に申し出ると、ユーザー名とパスワードを発行してくれる。通信速度に関しては、実際に速度を測ったわけではないので具体的な数字は出せないが、Webブラウジングはかなり快適。また、走行区間にトンネルは少なく、実際に通信が途切れることもなかった。インターネットに接続できる時間はログインしてから40分間に制限されていて、乗車中に1回は無料で利用できる。さらに継続して接続したい場合はビュッフェでアカウントを購入することになり、料金は40分間で5.5ユーロ(約750円)または時間無制限で8.8ユーロ(約1,200円)。ちなみに、持参したノートPCに無線LAN機能がない場合は、無料で無線LANアダプタの貸し出しにも応じてくれる。

 LINXの車内無線LANサービスは、インターネット接続だけがすべてではない。アカウントなしでもLINXの車内ポータルサイトは利用することができ、そのコンテンツは音楽が数チャンネル、Shockwaveによるゲーム、リアルタイムな現在位置の地図表示のほか、将来は映像も数チャンネル用意されるという。もちろん、LINXのWebサイトやスウェーデン国鉄のWebサイトも閲覧でき、時刻表や運行ルート、運賃などがこと細かに載っている。まるで最新の飛行機の機内サービスのようだ。国際列車なので、各Webサイトは英語ページもあるのでご安心を。また、北欧在住者向けだけだが、オンラインでのチケット予約もできる。

 ストックホルム~オスロで4時間半、オスロ~コペンハーゲンで8時間の車内の旅となるが、ゲームを楽しみ、情報を読むなどしてコンテンツを楽しんでいるうちにあっという間に時間が経ってしまう。というか、LINXでの旅はPCなしではありえないと思ってしまうくらいだ。まさに未来型の鉄道サービスといえよう。とはいえ、実際にノートPCを広げてこのサービスを使っている乗客は、1両に1人いるかいないか。日本人の筆者からするとあまりに便利なサービスだが、日本のモバイルPCのようなものが普及していないからなのか? それとも単に車内まで仕事を持ってきたくないのだろうか。

車内ポータルサイトの音楽サービスページ 現在位置の表示ページ。デンマークのコペンハーゲンとスウェーデンのマルメを結ぶ橋を走行中

時刻表ページで運行ルートを確認できる 同じく時刻表ページ

■LINXのWebサイト
http://www.linx.se/
■車内インターネット接続サービスの概要
http://www.linx.se/templates/Page.aspx?id=3108

誰でもメールを送信できるデンマークの公衆電話

デンマークの公衆電話の外観
 LINXの車内サービスは日本にはないもので驚いたが、もう1つ、北欧で驚いたものを紹介しよう。デンマークの公衆電話は、メールやGSM形式の携帯電話へのショートメッセージが送れるのだ。

 公衆電話の各ボタンは、携帯電話のように「1」が「a」「b」「c」と「@」、「2」が「d」「f」「g」といった具合に各文字に対応しており、本文、サブジェクト、相手先のメールアドレスを入力することで送信できる。料金は2デンマーククローネ(約36円)と書いてあったが、筆者が実際に使ってみたところ、なぜかタダで送れてしまった(結局、なぜタダで送れてしまったのか、その理由は不明で申し訳ないのだが……)。送信後、筆者のメールボックスを確認すると確かに届いていて、予想したこととはいえ驚きである。

 ただし、注意しなければならないのが、メール機能のボタンを押してから一定の時間が経つと強制終了してしまうことだ。公衆電話でのメール入力に慣れていない筆者は何度も最初からやり直しをするはめになり、1通のサンプルメールを送るのに30分近くかかってしまった。

 筆者が滞在中に限った話だが、このショートメッセージサービスを利用している人(公衆電話の前で受話器を取らず、ひたすらボタンを打ち続けている人)を見かけることはなかったのが残念。日本のICカード式公衆電話にも簡易インターネット機能があり、メールやLモードを楽しめるが、デンマークの公衆電話と比べると手続きが面倒ではある。誰でも事前手続きなしでメールが送信できるという意味では、デンマークの公衆電話は先進的といえよう。

電話機の横に説明書きが掲げられている 公衆電話のトップ画面

メールのサブジェクト入力画面(上)と、本文入力画面(下)。とりあえずテスト文章を入力してみた 公衆電話から発信したテストメールを受信したもの

( 山谷剛史 )
2004/11/18

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