スウェーデンやフィンランド、ノルウェー、デンマークなどは調査会社のIT国家ランキングで常に上位に入り、PC所持率やインターネット普及率が世界でもトップクラスだ。そんな北欧のIT先進国家におけるインターネット事情を、今回から3回にわたって紹介しよう。
● ショウウィンドウにあふれる「www」の文字
北欧の街を歩くと、多くの店のショウウィンドウや入口、壁などにWebサイトのURLが記されている。意図としては「詳しくはWebサイトを見てください」ということなのだろうか、「www」からはじまる文字列がまさに街中に氾濫している。インターネットバンキングや電子政府のシステムも発達・普及していて、国のIT化の度合を示す指標の1つである電子政府の項目でも北欧各国はトップクラスに位置している。
例えばインターネットバンキングについては、実際に北欧を歩いてみて、日本に比べて銀行の支店が少ないことや銀行内に従業員がとても少ないことからも感じられた。支店が少ない代わりに、インターネットバンキングの専用端末がショッピングセンターや市の中心駅、繁華街の地下道などでけっこう見かけた。しかし、その専用端末を利用している人は残念ながら滞在中お目にかかることはなく、対し通常のATMには常に人が並んでいた。推測だが、インターネットバンキングの習慣が浸透したため、ATMで出金する以外は、PCなどで済ませてしまうのではないだろうか?
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フィンランドのインターネットバンキング端末
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インターネットバンキング端末の場所を示す標識
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フィンランドのショッピングセンターにあるインターネット端末
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ノルウェー・オスロのショッピングセンター内のインターネット端末
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● 日本よりも遅くて高いADSLやFTTH
家庭内でのインターネット接続の用途は、ホームユースあるいは趣味的な情報収集だけではない。これらの国々では自宅勤務の制度が社会的に普及しているため、ビジネス用途にも家庭内のインターネット環境は使われる。また、一部の学校では小・中学校のテキストの一部がネット上で閲覧でき、家庭のPCから児童がオンラインで復習するなんていうシステムもあり、そのためにも家庭からのインターネット接続のニーズは高い。
北欧のインターネット接続の実際を知る一例として、各国のADSLやFTTHの料金と速度について、一部のプロバイダーについて簡単にまとめてみた。
国名 | プロバイダー名 | 回線種別 | 月額料金 | 通信速度(下り/上り) |
スウェーデン | Bredbandsbolaget | ADSL | 449SEK(約6,735円) | 24Mbps/1Mbps |
ADSL | 399SEK(約5,985円) | 10Mbps/1Mbps |
FTTH | 320SEK(約4,800円) | 10Mbps/10Mbps |
フィンランド | Dna | ADSL | 29EUR(約3,973円) | 256kbps/256kbps |
ADSL | 48EUR(約6,576円) | 512kbps/512kbps |
ADSL | 58EUR(約7,946円) | 1Mbps/512kbps |
ADSL | 98EUR(約13,426円) | 2Mbps/512kbps |
ノルウェー | TELE2 | ADSL | 299NOK(約4,784円) | 704kbps/128kbps |
ADSL | 399NOK(約6,384円) | 1,024kbps/256kbps |
デンマーク | TDC | ADSL | 359DKK(約6,462円) | 512kbps/128kbps |
見ていただければおわかりのとおり、日本よりも遅く、高い。日本はインターネット環境が世界一安く、速いといわれているが、実際こうも違うわけだ。もっとも、北欧ではADSL並みにケーブルテレビも発達しているわけだが、そちらも料金と速度はそう大差ない。また、ADSLの普及が進む一方でアナログダイヤルアップやISDNも現役だ。未だにPCショップの棚にはや56kbpsモデムやISDNのターミナルアダプタが陳列されている。
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ノルウェーのPCショップでは、ISDNのターミナルアダプタやアナログモデムも売られている
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ノルウェーの携帯電話ショップの壁に貼られていたインターネット接続サービスの広告
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デンマークのPCショップで販売されているオンラインサインアップCD
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( 山谷剛史 )
2004/11/04
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