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【レポート】

世界のインターネットのつなぎ方~香港編

 2002年に本誌で、中国本土でのインターネット事情などをまとめたことがある(「世界のインターネットの繋ぎ方~中国・東南アジア編」参照)。その中国と陸続きではあるものの、香港のこうした事情は中国とは大きく異なる面がある。そこで今回は、香港のインターネット事情をレポートしよう。旅行や出張で香港を訪れる人に向けての情報もまとめているので、参考になれば幸いだ。

●香港中央図書館に最新IT事情を見た

香港イメージ  香港に通じた人にインターネット事情を聞くと、「香港中央図書館(以下、中央図書館)に行くといい。あれには驚かされるだろう」と口々に言われる。早速、香港島側の銅鑼湾にある中央図書館を訪れてみた。

 中央図書館は、現代的で落ち着いた地上11階建ての建物だ。各階にPC端末が数台置かれていて、本の検索はもちろんのこと、Webも閲覧できる。各机には電源とLANポートが設けられていて、PCを自由に繋げることが可能だ。ただしその際、プロキシーを図書館の指示どおりに設定する必要がある。こうすることで、図書館で見るには相応しくないWebページを遮断しているからだ。回線は提供するが、何に使っても構わないというわけではないのだ。

 このLANポートを利用している人は結構多く、それぞれ自分のノートPCを持ちこんでネットワークに繋げている。上階部には「図書館電脳資訊中心」、日本語にすれば“PC情報資料センター”という名前のパソコン室があり、数十台のPCが設置されている。各階のPC端末、LANポート、およびパソコン室の利用はいずれも無料で、日本語が読める環境にもなっている。ADSL相当の体感速度で快適に利用できる。

 ところで、パソコン室に置かれたPCでは、Webブラウザーのスタートページは「ITHK」(IT Hongkong)というプロジェクトのサイトになっている。そのサイトによると、中央図書館だけでなく、香港の全エリアの図書館や郵便局、役所などの公共施設にこのような設備があるらしい。例えば郵便局には「Information Kiosks」と呼ばれる端末が置かれていて、これも無料で利用できる。詳しくは「ITHK」のサイトを参照してみてほしい。

香港中央図書館 館内のいたるところにPCが置かれている
図書館内のモバイルユーザー 子供エリアにもPCは多い
【URL】
・ITHongkong
・香港中央図書館
●ブロードバンド化する香港

 香港政府による公共施設への無料ネット端末以外にも、私営企業が繁華街などに無料ネット端末を設置するケースもある。

 例えばショッピングセンターの端末では、客がメールアドレスを登録して、そこに企業が広告を配信する代わりに無料で利用できる端末を設置している。ブロードバンド接続を提供するプロバイダーが、ブロードバンド体験ができる無料端末を設置する場合もある。こうした端末は、例えば香港都心にある地下鉄の中環駅の構内や、九龍側・尖沙咀のフェリー乗り場近くの巨大ショッピングモールの中などに置かれている。ちょっとWebページを閲覧したいときやHotmailなどでメールチェックするなどの場合は、こうした端末で充分かもしれない。

 さらに、街中にインターネットカフェもある。香港のインターネットカフェは、店内に入ると大きな騒音が耳に付く。学生がオンラインゲームをしていることが多く、ある意味でゲームセンター化しているのだ。実際にインターネットカフェのPCを使ってみると、チャットツールや人気オンラインゲームをはじめ、日本のフリーウェアのゲームまでインストールされている。料金は1時間で10香港ドル前後(百数十円)。日本語を読める環境が整っていることも多かった。日本のWebサイトから情報を得る香港人も多いようなので、そのためかもしれない。

 もちろん、家でインターネットをするユーザーもいる。繁華街や香港島側の湾仔や九龍側の深水歩や旺角にある電脳街の入り口では、ブロードバンド接続を提供するプロバイダー数社が、客引き合戦を行なっている。1.5/3MbpsのADSL接続の勧誘が主だが、その中には光回線の業者も客引きに混じる。価格は1.5Mbpsが各社150香港ドル前後、3Mbpsが1.5Mbpsプランの1割増。FTTHを提供する「i-cable」の場合、使用料は月250香港ドルとなっていた。前述の電脳街のパソコンショップの多くでは、無線LAN機器を売っている店も普通に見かける。ただしPCカード型の無線LAN端末は置いていても、PCI、つまりデスクトップ用の端末はほとんど見かけなかった。モバイル接続やノートPCが普及しているということなのだろうか?

 また電脳街では、デスクトップ本体よりもノートPCやPDAを売る店が目立つ。パソコンショップには、PCカード用やUSB用、CompactFlash用の通信機器、前述した無線LANはもちろんのこと、モデムやBluetooth機器の品揃えが日本よりも充実しているように見える。新品のショップがメインだが、中古品を取り扱う店舗も存在し、価格は秋葉原の中古屋よりも安い。PC本体は日本のものを持って行き、香港で周辺機器を調達するのも手だろう。

 書店を覗くと、ADSL+無線LANの組み合わせによる家庭内ネットワークの設定方法が書かれた本が複数並べられている。このことからも、ADSLなどがけっこう普及している様子がうかがえる。ちなみに中国本土の場合、書店で必ずといっていいほど見かける中国独自のチャットソフト「OICQ」の本は、香港では見かけることはなかった。代わりに日本のWebサイトの閲覧方法を書いた本(例えば日本のタレントのポータルサイトやファンサイト、テレビ局などのURL集)や、台湾で出版された本が置かれている。中国は簡体字で、台湾や香港は繁体字。フォントひとつとっても、陸続きの中国本土と香港の事情は異なるわけだ。

ショッピングセンターに置かれた端末 地下鉄中環駅内のブロードバンド端末
郵便局にも端末がある ネットカフェのPC画面。日本製のソフトもたくさんインストールされている
【URL】
■香港でADSL接続を提供するISP
・So-net(香港)
・HKNET
・ONEBB.com

■FTTH接続を提供するISP
・i-cable
●旅行者のための香港接続案内

 香港を訪れた場合のインターネット接続はどうすればよいか? 海外旅行や出張に慣れている人なら、まずiPassやGRICといったローミングプロバイダーを思い浮かべるだろう。ただ、こうしたローミングサービスを利用しなくても、香港限定ならば、香港に独自のアクセスポイントを持つ日本のプロバイダーを利用する方法がある。例えばBIGLOBE、DION、KCOM、nifty、OCNなどのプロバイダーならこの方法が可能で、iPassなどより安価に利用できるのもポイントだ。電話線は高級ホテル内のビジネスセンターや、部屋に電話のある中級ホテル以上であれば、1コネクト5香港ドル(約75円)で使用できる。

 なお、前述の中央図書館にノートPCなどを持ち込んで利用する場合は、LANケーブルを用意することを忘れずに。ケーブルの貸し出しはしていないためだ。また電圧や電源プラグも日本とは異なるので、必要ならば持っていくこと。図書館の接続では、“IPアドレスを自動で取得”に変更したり、Webブラウザーの設定で、プロキシーを図書館指定のものに変更する必要がある。なおメールの送受信にもプロキシーの設定が必要となるが、たいていのメールソフトはプロキシーの設定ができない。自分が試した際も、受信はできたが、送信はできなかった。もし図書館からメール送信をしたい場合は、Webメールを利用するのも手だろう。

図書館のコネクター
【URL】
■香港に独自のアクセスポイントを持つISP
・BIGLOBE(UUNET)
・DION(KDDIグループアクセスポイント)
・KCOM(KDDI直営アクセスポイント)
・@nifty(ダイレクトローミング、UUNET)
・OCN(NTT香港)
※なおこのレポートは、今年3月末に取材した内容をまとめている。現在はSARS問題により、香港への渡航の延期が勧告されている。渡航される際は、外務省の「海外安全ホームページ」などを参照したうえでの検討をお勧めしたい。
・海外安全ホームページ

◎関連記事
世界のインターネットのつなぎ方<南アジア編 その1>
世界のインターネットのつなぎ方<南アジア編 その2>

(2003/5/7)

[Reported by 山谷剛史(yamaya@tc.xdsl.ne.jp)]

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